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JOHNNY THUNDERS & PATTI PALLADIN/COPY CATS(ジョニー・サンダース・アンド・パティ・パラディン/コピー・キャッツ) Vinyl Diary

『COPY CATS』

1988年リリースのこのアルバムはジョニーサンダースのキャリアを語る上では取り上げられることが比較的少ない作品だと思う。僕も最初に購入して聴いた時は、全然ロックンロールじゃない、と思ったものだ。しかし、なかなかどうして、ずっと所有していてもサビない、飽きがこない好アルバムなのである。もともとカバー曲を頻繁に取り上げるミュージシャンではあるが、本作は全曲がカバー曲。しかもオールディーズやR&Bなど、往年の名曲を集めたエンタテイメントの色濃い作品だ。

JOHNNY THUNDERS

(ジョニー・サンダース1952715-1991423日、アメリカ)シンガー・ソングライター、ロックンローラー。パンク・ロックに多大なる影響を与えたニューヨーク・アンダーグラウンド・ロック・アーティストの一人。「NEW YORK DOLLS」を経て、自ら率いる「THE HEARTBREAKERS」などで活動した。

 

NEW YORK DOLLS

Personnel David Johansen – vo,hp   Johnny Thunders – gt,vo  Sylvain Sylvain – gt,vo  Arthur Kane – ba  Jerry Nolan – ds

1971年、デヴィッド・ヨハンセン等と共にニューヨーク・ドールズ結成。サンダースはリード・ギターを務めた。1973年デビュー・アルバム『NEW YORK DOLLS』発表。翌年、2作目の『TOO MUCH TOO SOON』発表。1975年、日本公演直前にジョニーとジェリー・ノーラン(ドラムス)はニューヨーク・ドールズを脱退。解散後の1984年『RED PATENT LEATHER』リリース。

JOHNNY THUNDERS & THE HEARTBREAKERS DISCOGRAPHY

Personnel  Johnny Thunders – Vocals & GuitarWalter Lure – Guitar、Vocals、Billy Rath – Bass、Jerry Nolan- Ds

サンダースとノーランは、元テレビジョンのリチャード・ヘル(ベース)とウォルター・ルアー(ギター)と共にジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズハートブレイカーズ)を結成。ここでサンダースはリード・ボーカルも兼任する。間もなくヘルが脱退し、ビリー・ラスを後任に迎える。バンドはロンドンに渡り、セックス・ピストルズ、クラッシュ、ダムドらとアナーキー・ツアーに同行。1977年に唯一のオリジナル・アルバム『L.A.M.F. を発表。

アルバム表記はリリース年順

1977 L.A.M.F

1979 『live at MAX’S kansas city』

1982 『D.T.K live at SPEAK EASY』

1986  『D.T.K.L.A.M.F』

1991 『What Goes Around』

1993 『Live At Mothers』

1994 『L. A.M.F the lost ’77 mixes』

2015 『live at the Village Gate』

2016 『Vive La Revolution!』

2019 『Yonkers Demo Live 1975/1976』

2021  『L.A.M.F the found ’77 masters』

SOLO DISCOGRAPHY

ハートブレイカーズ解散後、サンダースはロンドンに留まり、豪華ゲストが大挙参加したソロ・デビュー作『So Alone』を発表。

アルバム表記はリリース年順

1978『So Alone』 

1983『In Cold Blood』 

1983Diary of a Lover

1983Hurt Me アコースティック・ギター弾き語り作品

1985年『Que Sera Sera 

1988『Copy Cats』 with パティ・パラディン

1988 書籍 初版 Johnny Thunders /In Cold Blood

1991 4月、4度目の来日公演後、423日、ニューオーリンズのホテルで死亡、死因はオーバー・ドーズとも言われてるが、真相は謎に包まれている。享年38歳。

1992 『So Alone CD (+4tracks)』

1992『Living Dead The All Stars featuring Johnny Thunders』

2008『The First, The Last』(The Living Dead名義)

2009 『Sticks & Stones』

2014  『Real Times EP』

2015  『Daddy Rollin Stone EP』

2015Looking for Johnny ジョニー・サンダースの軌跡』(ドキュメンタリー映画公開)

2020  『Que Sera Sera Resurrected』

2020 書籍『Johnny Thunders Complete Works』

2021 『Live In Osaka 91 & Detroit 80』

2022 書籍 完全版 Johnny Thunders /In Cold Blood

COPY CATS

Track List
A1.Can’t Seem to Make You Mine、2.Baby It’s You、3.She Wants to Mambo、4.Treat Her Right、5.Uptown to Harlem、6.Crawfish、
B1.Alligator Wine、2.Two Time Loser、3.Love Is Strange、4.I Was Born to Cry、5.He Cried、6.Let Me Entertain You, Pts. 1 & 2、
Personnel

Johnny Thunders – guitar, vocalsPatti Palladin – vocalsJohn Perry– guitar, synth stringsRobbie A. Gordon – guitarJimi Haynes – guitarHenry Padovani  – guitarBilly Rath – bassJerry Nolan – drumsSteve Washington – drumsChris Taylor – bass, drumsRobert Charles “Bob” Andrews – organ, pianoPedro Ortiz – tambourines, maracas, percussionJim Dvorak – trumpetNick Evans – tambourineJohn “Irish” Earle – saxophonesAlex Bǎlǎnescu – violinsMaribel La Manchega – castanetsChristine Hynde – backing vocalsJayne County – backing vocalsBlair Booth – backing vocalsSimon Humphries – backing vocalsPaul Long – backing vocalsJudd Lander – harmonicaAnthony Thistlethwaite – harmonica

先ず、アルバム全体通しての安定感、クオリティが素晴らしい。これは、本作でボーカルを務めつつプロデュース、ディレクターも兼任したパティパラディンの手腕だろうか。適度な緊張感を保ちつつエンタテイメントも忘れてないという、この匙加減がなかなか絶妙である。音もかなりキレイに録れてると思う。それから、管楽器とパーカッションがアルバム全体に上手く配置されている。そのため、音に奥行き、深みが生まれギターアルバムでは作り得ない親しみやすさを演出している。

パックのメンバーは、クレジットによるとリズム隊は概ねパーマネントなメンバーがいて、パーカッションや管は曲により、数人が参加している形だ。ほとんどの曲でギターを弾いているジョンペリーは僕も好きなTHE ONLY ONES のギタリスト。この人のつぷれすぎてない(粒立ちの分かるコード感というか)ギターの音がとてもマッチしている。出過ぎないし引きすぎない、主役を立てるギタリストだ。ピッチ、タイム感も良い。ベースとドラムは華やかさはないが、タイトで安定していて悪くない。6曲目のクロウフィッシュ(エルヴィスのカバー!)のみ盟友ジェリーノーランがドラムとビリーラスがベースを務めている。この曲はシングルで発売されてたようだから、この曲だけ録音された日も違うようだ。因みに書いておくと、他にジョニーゆかりのミュージシャンはというと、バックボーカルでクリッシーハインド、ウェィンカウンティが数曲で参加している。

この作品で唯一僕が残念に思うところはと言えば、ジョニー本人のギターがほとんど(クレジットによると6曲目クロウフィッシュのみジョンペリーと共に記載されてる)入っていないことだ。これは何故なのか。ボーカリストに専念したかったのか?もう少しギターを弾いて欲しかった。それがこのアルバムにジョニー色を僕があまり感じなかった要因といえると思う。更に、ボーカリストとしても、パティに完全に任せきりで一切歌っていない曲が数曲ある。もちろん、当人たちも納得の上で、こういう仕上がりになったのだと思うのだけど。

とは言いつつも、このアルバムでのボーカリスト、パフォーマー、表現者としてのジョニーにはそれを補ってあまりある素晴らしさがある。A1.Can’t Seem to Make You Mine、2.Baby It’s Youの優しくメローな感じ。4.Treat Her Rightのダンサブルな歌いっぷり。B1.Alligator Wineのノワールさたっぷりの雰囲気。パティとの掛け合いもかなりいい調子で淀みがない。声色も使え分けたりして、あのヘロヘロ感をあまり感じない。何よりもイキイキと楽しんでいる気がするのだ。パティパラディンも魅力的な声をしており、ボーカリストとして力量のある女性だと思う。可愛いし。今も活動してるのかな?

91年に亡くなったジョニーサンダース。彼のことが語られる時は大概ジャンキーだとか、ガラが悪いとかばかり書かれるのだけど、それだけじゃない。ビルボードにチャートインしてもおかしくないこんな芳醇で素晴らしい作品を残した優れたミュージシャンであることも覚えておきたいものである。

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ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。  またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。

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