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SHEILA JORDAN/PORTRAIT OF SHEILA(シーラ・ジョーダン/ポートレイト・オブ・シーラ)

『PORTRAIT OF SHEILA』

1962年にブルー・ノート・レーベルからリリースされたシーラ・ジョーダンのデビュー・アルバム

Sheila Jordan シーラ・ジョーダン(シェイラと表記されることも)は1928年、ミシガン州デトロイト生まれ。1951年、ニューヨークに移り、チャールズ・ミンガス、レニー・トリスターノとハーモニー、音楽理論を学ぶ。1962年、ジョージ・ラッセルの「The Outer View」に参加。同年、初のリーダー・アルバム、Portrait of Sheila」を発表。以後も数多の作品を発表している。ビ・バップとスキャットの歌唱スタイルのパイオニアとして知られる。音楽に専念できるようになるなったのは58歳を迎えてからのことだったという。

Barry Galbraith (19191983) バリー・ガルブレイスは 1950 年代と 1960 年代にはNBC CBS のスタジオ ミュージシャンとして活躍したギタリスト。共演したミュージシャンはマイルス・デイビス、ミシェル・ルグラン、コールマン・ホーキンス、ジョン・ルイス、オスカー・ピーターソン、マックス・ローチ、シンガーのアニタ・オデイ、クリス・コナー、ビリー・ホリデイ、ヘレン・メリル、サラ・ヴォーン、ダイナ・ワシントンら、と実に幅広い。1970 年〜1975 CUNY で教鞭をとり、1982 年にはギター メソッドの本を出版。1976 年〜77 年、ボストンのニュー イングランド音楽院で教える。63 歳の時、ベニントンでがんのため亡くなった。

Steve Swallow スティーブ・スワロウは1940年、ニュージャージー州フェアローン生まれ。アップライトからエレクトリック・ベースに切り替えた開拓者として知られ、特に 5 弦のバリエーションを好んだ。ピック (Hotlicks 製の銅製) を使って演奏し、スタイルの特徴としては高音域の複雑なソロが挙げられる。彼は、ベース ギターのハイ C 弦の初期の採用者の 1 人だった。1980 年代半ば以来、DownBeat の年次投票で、批評家と読者の両方のエレクトリック ベース カテゴリで1位を獲得している。彼の作品は、ジム・ホール 、ビル・エヴァンス、チック・コリア、スタン・ゲッツ、ゲイリー・バートンによってカバーされている。

Denzil DaCosta Best (1917 – 1965) デンジル・ベストは、1917年、ニューヨーク生まれ。40年〜50年代にかけてベン ・ウェブスター、コールマン ・ホーキンス 、イリノイ ・ジャケ 、チャビー ・ジャクソン、ジョージ・シアリング、レニー・トリスターノ、リー・コニッツらと共演。1953年の交通事故で彼は両足を骨折し、一時引退を余儀なくされた が、1954年にアーティ・ショーと共演し、その後もエロール・ガーナー 、ニーナ・シモン、ビリー・ホリデイ、タイリー・グレンらと共演。196210月、シーラ・ジョーダンのファースト・アルバム (ポートレイト・オブ・シーラ) に参加。この後、彼は麻痺に苦しみ、プレーできなくなった。 1965 年、ニューヨーク市地下鉄の駅で階段から転落し、48 歳で他界。

『PORTRAIT OF SHEILA』

Personnel

Sheila Jordan – voice、Barry Galbraith – guitar、Steve Swallow – bass、Denzil Best – drums

 Track list

A1. Falling in Love with Love2. If You Could See Me Now、3. Am I Blue、4. Dat Der、5. When the World Was Young、6. Let’s Face the Music and Dance

B1. Laugh, Clown, Laugh、2. Who Can I Turn To Now、3. Baltimore Oriole、4. I’m a Fool to Want You、5. Hum Drum Blues、6. Willow Weep for Me

『Portrait Of Sheila 』は、Blue Note Records からリリースされたアメリカのジャズ歌手 Sheila Jordan 1962年のデビュー アルバム。ブルー・ノートのアルフレッド ・ライオンは、ジョージ・ラッセルから受け取ったジョーダンのプロモーション用カセットを前もって聴いており、グリニッジ・ ヴィレッジのページ ・スリー ・クラブで彼女の歌声を聞いた後、録音することを決めたという。ジョーダンは当初、『Portrait Of Sheila 』をベースと声だけの作品にしたかったが、そのアイデアは却下された。唯一、4 番目のトラック「Dat Dere」のみ、ジョーダンの声とスワロウのベースとのデュオ演奏が実現している。意に沿わない仕事は受けないことを信条としている人のようで、このアルバム以前にも、レコーディングの話はあったものの、押し付けがましい A&Rマンに嫌気がさし辞退した。という、いかにも芸術家肌のジョーダンらしいエピソードが残っている。また、ニューヨークへ行くよう進言したのは同郷のジャズ・ギタリスト、ケニー・バレルだったということから、彼女が地元ジャズ・シーンではかなり知られたシンガーであったことは容易に想像出来る。

ブルー・ノートは女性シンガーのアルバムは2作品しか手掛けていない。そのうちの1つはDodo Greene(ドド・グリーン)の『My Hour Of Need (アイク・ケベック、グラント・グリーン参加の名盤)と本作のみ、である。そのことからも、本作が非常に貴重なものであることと伺い知ることができる。

1963 1 月、ビルボード マガジンは4 つ星、ペンギン・ガイド・トゥ・ジャズはアルバムを「コア・コレクション」の一部として選び、4つ星、AllMusic 5 つ星 評価。ScAllMusic Albums of the Yearリストで、「Portrait of Sheilla : 1963 年の最も評価の高いアルバムの 1 つとして挙げられている。

 

Side A

A1.Falling in Love with Love

スワロウのウォーキング・ベースに導かれる、イントロ。ジョーダンのクリアな歌声。2コーラス目からガルブレイスのギターが入る。女性シンガーがよく取り上げるスタンダードをジョーダンは軽くさらりと歌っている。

2.If You Could See Me Now

一言一言、一音一音をとても丁寧に優しく歌うジョーダン。ガルブレイスのギターがジョーダンの声に呼応し美しい。この曲ではベストのドラムはほとんど聴こえず(叩いてない?)ヴォーカル+ギター+ベースのトリオ演奏のように聴こえる。

3.Am I Blue

同じ歌でもここまで変わるのか、というくらいここでのジョーダンのオリジナリティは驚くべきものだ。斬新な歌い回しに注目したい。因みにバード(チャーリー・パーカー)は彼女を「100万ドルの耳を持つ」と賞賛したのは有名な話。

4.Dat Dere

ジョーダンが望んだベースとのデュオである。自分の歌を最大限に活かすには、バックの演奏には余白があるのが良い、という考えだそうだ。確かに自分の声を楽器のように自在に操っている。スワロウのベースもジョーダンの歌の良さを引き出す心憎いプレーである。

5.When the World Was Young

ここでは、1コーラスはガルブレイスのギターとのデュオ・スタイル。途中からスワロウのベースが入る。こうして聴いていると、メロディが複雑、多彩で、思い付きで歌うよりも、声をメロディ楽器としてコントロールしているのが分かる。

6.Let’s Face the Music and Dance

ハイ・テンポなベースに乗って、ジョーダンも軽快に奔放に歌い上げる。

Side B

B1.Laugh, Clown, Laugh

前半はギターとのデュオ形式、途中からベース、ドラムが加わり一糸乱れぬグルービーなアンサンブルを展開する。彼女独特の節回しが楽しめる。

2.Who Can I Turn To Now

この曲は、まるまるギターとのデュオ。2人の呼吸がピッタリ合って、まるで言葉を交わし合う恋人通しの会話のようだ。

3.Baltimore Oriole

マイナー・ブルース。やさぐれ感を強調する技巧派ジョーダンならではの歌い方。この曲では、ギター無しで、ヴォーカル+ベース+ドラムのトリオでの演奏。一枚のアルバムの中で、いろいろなフォーマットで楽しませてくれるジョーダンである。

4.I’m a Fool to Want You

これも名唱の多い楽曲。ジョーダンはかなりスローにアレンジして歌っている。

5.Hum Drum Blues

マイナー・ブルース。こういったブルースも彼女の声、個性にとても合っている。というより、ブルース寄りに自分を演出しているというべきか。

6.Willow Weep for Me

4.同様かなりスローに演奏している。ガルブレイスのギターが実にブルージーで良い。ちょっと聴いただけではWillow 〜とは思えない瞬間がある程に、ジョーダンは自分のものにしており、個性豊かな1曲に仕上がっている。

 

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ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。  またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。

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