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THE STREET SLIDERS/JAG OUT(ザ・ストリート・スライダース/ジャグ・アウト)

『JAG OUT』

『JAG OUT』は1984年にリリースされたザ・ストリート・スライダースの3枚目のスタジオ・アルバムである。

 

THE STREET SLIDERS

村越(HARRY)弘明(ボーカル・ギター)、土屋(蘭丸)公平(ギター・ボーカル)、市川(JAMES)洋二(ベース・ボーカル)、鈴木(ZUZU)将雄 (ドラムス)

1980年結成。

1983年にEPIC・ソニーからレコード・デビュー。

1983年3月  SLIDER JOINT

1983年12月 がんじがらめ

1984年11月 JAG OUT

1985年7月  夢遊病

1986年11月 天使たち

1987年10月 BAD INFLUENCE

1989年1月   SCREW DRIVER

1990年12月  NASTY CHILDREN

1995年4月  WRECKAGE

1996年11月  NO BIG DEAL

(ライブ、ベスト盤は割愛)

2000年に解散。

スライダーズデビュー40周年:2023年1月23日、豪華トリビュート盤とオリジナル音源の2枚組発売の告知。

The Street Sliders Hello!!(日本武道館公演):2023年5月3日に東京の日本武道館で「The Street Sliders Hello!!」ライブが行われ、解散後22年と半年振りにメンバー4人がステージに再集結。バックステージ開放席、立ち見席も含めた約1万4千人分のチケットは全て完売した。終演後、秋に全国ツアー『ROCK’N ROLL』を行うと発表。WOWOWより日本武道館からライブの独占生中継及びストリーミング配信も行われた。

『JAG OUT』

 

SIDE A:1,TOKYO JUNK、2,No More Trouble、3,カメレオン、4,OUT DOOR MEN、5,PACE MAKER

SIDE B:1,Feel So Down、2,Easy Come, Easy Go、3,All You Need Is Cash、4,one day、5,チャンドラー

 

SIDE A

1,TOKYO JUNK

スライダースにとって、その後のライブ定番曲となるオープニング・ナンバー、怒涛ののロッキン・チューンである。ミドルの強いギザギザしたハリーのリズム・ギターとピッチが良くツヤのある蘭丸のギターはこちらに挑みこんでくるかのような獰猛さで迫ってくる。もちろん、ジェームスとズズも手加減なしといった風情のパワフルな演奏。全ての楽器が全開で鳴っている。スライダースにはTOKYOを冠したタイトル曲がいくつか存在するが、やはり東京で生まれ育った人ならではの観点があるのだなあと思う。

2,No More Trouble

続く2曲目もアッパーなロックンロール。ここでのハリーと蘭丸はあまりキッチリ作り込まず、分担はあるにしても、歌詞通り比較的ラフに弾いている雰囲気がある。ラストまで一気に聴かせるドライブ感のあるチューン。

3,カメレオン

シングルに選ばれたミディアム・ナンバー。タメの効いたジェームスの耳に残るセンターのベース・ラインに続いて左右にくっきりと分かれたハリーと蘭丸ののギターが入る。4者の音が渾然一体となっている様は圧巻でシングル・カットされたのも頷ける。この曲もライブで定番化した、ファンにはお馴染みの1曲である。それにしてもハリーが吠えること、吠えること。

4,OUT DOOR MEN

蘭丸がリード・ヴォーカルを取る浮遊感漂う、全面にスライド・ギターを配したブルージーなナンバー。ややハネたベースのジェームスに対し、全くのイーブンなリズムで叩くズズのドラムとの絡みが妙。確か、初期のストーンズもこういうリズムの取り方にトライしていたという記憶がある。

5,PACE MAKER

ささくれだったようなハリーのギターが刺さるミディアム・チューン。「汚れた足を洗うならきれいな顔を汚すのさ」と歌うハリー。このやさぐれ感も彼の強烈な魅力の一つだろう。蘭丸のリフ・ワークも負けず劣らず、攻撃的でカッコいい。

SIDE B

1,Feel So Down

スライダース初のレゲエ・チューンなんだそう。レゲエ特有のコード主体のバッキング・ギターを入れず、2人のギタリストが手持ちのフレーズで適度にいなしている感があり、それがこの曲を大変ユニークな作品に仕上げている。計算されたラフさ、というか、計算していてもなかなか出来ない気軽さみたいなのが良く、タイトルに相反して心躍るウキウキするようなナンバーである。

2,Easy Come, Easy Go

イージー・カム・イージー・ゴーは諺で悪銭身に付かずの意で簡単に手に入るものは簡単に失うということ。この曲でのタイトなズズのドラムがたまらない。この手のドラミングはスライダースには他にあまりないような気が。ギターのせめぎ合いがなかなか凄まじい。

3,All You Need Is Cash

とびきりダルなムードのルーズなブルース・ナンバーで、ブルース好きにはたまらない1曲といえる。歌い出しからハリーと蘭丸によるツイン・ヴォーカルで、どちらかというと蘭丸のヴォーカルの方にウェイトを置いたミックスになっている気がする。この曲名は、ビートルズのあの名曲にかけたタイトルなのだろう。因みにルーズな、と書いたがそれはムードの話であって特に蘭丸は非常にタイトで正確なギターを弾いている。

4,One day

激しい曲群のなかにあって、アルバム中唯一の、まるで一服の清涼剤のような優しいバラード。ここではハリーのテリーも暖かみのある優しい音色、蘭丸はこの曲を包み込むような、これまた優しい音色のヴァイオリン奏法で応えている。ハリーの詞、歌い方も、ここまでの激しさとはうってかわって人肌感のあるぬくもりを感じさせる。

5,チャンドラー

アルバム・ラストのクロージング・ナンバーはこれもライブ定番曲として知られるミディアムの1曲。蘭丸のアウト寸前のウネるギターが良いし、Bメロの少しずつコードが上昇していくところが心憎いほど熱い。チャンドラーとはもちろんレイモンド・チャンドラーだと思うのだけど、こういうところに使うセンスがカッコいいよね。この曲も実際にライブで何度か体験したけど、頭も腰もクラクラになるような重量級のグルーブだった。

 

ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。  またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ他)絵画に興味ある方はご覧ください。

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