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THE STREET SLIDERS/WRECKAGE(ザ・ストリート・スライダース/レッケイジ)

『WRECKAGE』

WRECKAGE』は、日本のロックバンド THE STREET SLIDERS9作目のスタジオ・アルバムで19954月にリリース。 2023年デビュー40周年に初アナログ化された。

 

THE STREET SLIDERS

村越(HARRY)弘明(ボーカル・ギター)、土屋(蘭丸)公平(ギター・ボーカル)、市川(JAMES)洋二(ベース・ボーカル)、鈴木(ZUZU)将雄 (ドラムス)

1980年結成。

1983年にEPIC・ソニーからレコード・デビュー。

1983年3月  SLIDER JOINT

1983年12月 がんじがらめ

1984年11月 JAG OUT

1985年7月  夢遊病

1986年11月 天使たち

1987年10月 BAD INFLUENCE

1989年1月   SCREW DRIVER

1990年12月  NASTY CHILDREN

1995年4月  WRECKAGE

1996年11月  NO BIG DEAL

(ライブ、ベスト盤は割愛)

2000年に解散。

スライダーズデビュー40周年:2023年1月23日、豪華トリビュート盤とオリジナル音源の2枚組発売の告知。

The Street Sliders Hello!!(日本武道館公演):2023年5月3日に東京の日本武道館で「The Street Sliders Hello!!」ライブが行われ、解散後22年と半年振りにメンバー4人がステージに再集結。バックステージ開放席、立ち見席も含めた約1万4千人分のチケットは全て完売した。終演後、秋に全国ツアー『ROCK’N ROLL』を行うと発表。WOWOWより日本武道館からライブの独占生中継及びストリーミング配信も行われた。

『WRECKAGE』

SIDE A:1,WAVE ’95、2,BABY BLUE、3,WASTIN’ TIME

SIDE B:1,聖者のラプソディー、2,どしゃ振り雨に洗われて

SIDE C: 1,D.D.DANCE、2,FEEL SO SAD、3,日暮し

SIDE D:1,WHERE DO I GO、2,陽炎の道

アルバム通して気が付いたことをいくつか挙げると、まず一つめに前作以上にミディアム〜スローが増え、マイナー調の曲が多いことに気付く。これは、意図せず自然とそういう曲になったということなのだろう。二つめはハリーのヴォーカルの変化について。これまでの、喉からしぼり出すような歌唱を少し抑えているのか、あまり無理なく歌えるキーの曲が増えたように思う。これは聴き手の好みが分かれるところかもしれないが、ハリーのヴォーカルにこれまで以上に表現力、説得力が増した気がする。三つめは蘭丸のギターがこれまで以上に活躍している印象を受けたこと。特にギター・ソロに関しては、しっかり尺をとってある曲が増えたことが嬉しい。(これまで、もう少し彼のソロを長くしてほしいと密かに思っていたため)また、曲によっては蘭丸が3人をリードしているような雰囲気もある。

SIDE A

1,WAVE ’95

重くシャープなズズのドラム、シンプルなジェームスのベース、高低差のある蘭丸のギター、ザラついたハリーの声。アルバムのオープニングはいきなりのファンク・ナンバーである。しかも重量級の。この新作に懸けるスライダースの意気込みが伝わってくるようだ。研ぎ澄まされたバッキング、ワウ・ペダルを巧みに操る蘭丸の2コーラスのギター・ソロはキレッキレで聴き応えあり。ズズのハイハットもこの曲に新鮮なアクセントを与えている。かつてライブ会場で、この曲を聴きましたが、イントロのズズのドラムは、辺りに漂う空気を一瞬で変えてしまうほどの凄まじさでした。

2,BABY BLUE

緊張感の充満した1曲目から、カーム・ダウンの2曲めは横ノリのややリラックスしたミディアム・8ビート。これまでのスライダースの横ノリと比べて、リズム・セクションの重心が一段と低い印象を受ける。この曲でも蘭丸のギター・ソロが良く、倍音が出てブルージーに思う存分に弾きまくっている感じだ。割とサラッとプレイしてそうなのだが、スライダースが演ると、こうも重量感のある1曲になってしまう。

3,WASTIN’ TIME

これも比較的サラッと演奏していそうな1曲の、ジャキジャキとしたギターが軽快なロッキン・チューン。下で支えるジェームスのベースが、リズミックで尚且つよく歌っているのが印象的。前の曲に続きこの曲も過剰なオーバー・ダブはされておらず「4人が鳴らす音だけで充分なんだ」という自身に溢れているように思う。

SIDE B

1,聖者のラプソディー

鉄壁のアンサンブルで繰り出される成熟した大人のロック。R&Bのフォーマットを借りた雰囲気のあるミディアム〜スロー・ナンバー。エフェクト処理された、絵画のような蘭丸のギターと、説得力のあるハリーの詞、ヴォーカルは素晴らしいの一言。もちろんズズ、ジェームスのリズム・セクションは言わずもがな、コーラス・ワークも含めパーフェクトな演奏である。

2,どしゃ振り雨に洗われて

非常にオーソドックスな3コードのブルース。ハネるリズムの曲はこの頃のスライダースでは久しぶりの感じで、ブルース好きにはたまらない1曲だろう。肩の力を抜いたくだけたリラックスした雰囲気、楽しげな曲調。ハリーのヴォーカルには少し歪み系のエフェクト処理がされているようだ。ジェームスのウォーキング・ベースが良いし、蘭丸のギターも際立っていて、手グセだけでいくらでも弾けるのだろう、ブルージーなリックを次々と繰り出し、嬉々として演奏している様子が目に浮かぶようだ。2つ目のソロはハリーだろうか。

 

SIDE C

1,D.D.DANCE

スライダースの横ノリ、これを毎回楽しみにしているファンも多いだろう。ただ、これまでの横ノリとは趣きがいくらか違い、ストーンズ的なルーズさは殆ど感じない。ギターが意外と控えめな上に、ハリーと蘭丸のツイン・ヴォーカルに重きを置いてある印象で、タイトで立体的なサウンドに仕上げてあり、スライダースのオリジナルなロックンロールになっている。

2,FEEL SO SAD

スライダースのR&B。ここでも心憎いほどの4ピース・バンドの模範のような演奏である。「踊りたがっているのさ このかわいい靴が」というセンテンスがオシャレでキュート。

3,日暮し

中期以降、必ず1曲は入るレゲエ・チューン。本作は全体にマイナー調でリズムが重ための曲が多いが、この曲もまたマイナーである。曲調といい、歌詞の「この街におさらばさ」のリピートされるフレーズといい、当時のハリーの心境を反映しているのだろうか。奥行きのある質感にミックスしてあり、演奏はもちろん申し分なく、非常に味わい深い。ギター・ソロはウーマン・トーン?どちらが弾いているのか。

 

SIDE D

1,WHERE DO I GO

本作2曲目のヘビーな緊張感のあるファンク・ナンバー。前作に収録された「IT’S ALRIGHT BABY」系譜の曲といえようか、44様の演奏が有機的、立体的にに構築されて、実にカッコよく気持ち良いグルーブに溢れる曲に仕上がっている。蘭丸のギターが前面に出ているが、裏で等間隔に鳴らされるハリーのギターもカッコ良い。ジェームスのドライブするベースとズズのハイハットのコンビネーションも素晴らしい。

2,陽炎の道

クロージング・ナンバーはスローなバラード。ハリーがこれまで以上に丁寧に歌っているように感じる。

 

 

ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。  またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ他)絵画に興味ある方はご覧ください。

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