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Blank Generation/Amos Poe(ブランク・ジェネレーション/エイモス・ポー)

エイモス・ポーとアイヴァン・クラールが監督をしたこの作品は、1976年作、ニューヨーク・アンダーグラウンドシーンを切り取った、本編が1時間にも満たないショート・フィルムである。

粗い、モノクロのザラザラとした質感の画面ゆえの緊張感とリアリティが充満している。

この作品のことを語る時、その特徴として多くの人達が口々に言うのは映像と音が全くシンクロしていないことである。

そう、この作品、映像と音が一致しておらずバラバラなのである。音無しで映像を先に収め、後付けでそのアーティストの曲を付け加える、という暴挙(!?)で仕上げられているのだ。

何故このようなことになったのか、調べたことがないので分からないが、予算の関係か、はたまた製作期間が原因なのかは分からない。

ただ、それを補ってあまりある貴重で素晴らしいドキュメントであることに変わりはない。

その中でも、本作ラストに登場するニューヨーク・ドールズ(映像にはNEWYORKは省かれDOLLSとだけ表記される)とジョニー・サンダース率いるハートブレイカーズが白眉だ。

ドールズはかなり引きの映像。ステージが暗い。そんな中でも派手に動くデビッド・ヨハンセンとシルヴェインの存在ははっきり分かる。暗がりの中でも(ギタリストでなく)キーボードがいるのがなんとなく分かることから、ジョニーとジェリーが脱退した後の新生ドールズだと思う。ベースはアーサーではなくピーター・ジョーダンか。

そして、ラストのハートブレイカーズはリチャード・ヘル在籍時のライブ映像。音にはヘルヴォーカルのブランク・ジェネレーションがあてられている。ギターを聴けばウォルターとジョニーが担当しており、ヴォイドイズのモノでないことが分かる。

このブランク〜は他では耳にしたことのないヴァージョンで、これが無茶苦茶カッコいい。この1曲のためだけでも、観る価値があると思う。

ヘル在籍時のハートブレイカーズのことは、またいつか改めて書きたいと思う。

追記

CBGBでのニュー・イヤーズ・イブのパーティの模様がほんの一瞬挿入される。その場面では上記のお馴染みのバンドメンバーに加えて、ジョン・ケイルやポイズン・アイヴィーの姿も確認出来る。

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ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。  またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。

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