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JOHNNY THUNDERS & THE HEARTBREAKERS/LIVE AT MOTHERS(ジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズ/ライブ・アット・マザーズ)

LIVE AT MOTHERS

『Live At Mothers』はリチャード・ヘル在籍時、ザ・ハートブレイカーズの最初期を捉えた1976年のライブ・アルバム、1993年リリース。

JOHNNY THUNDERS

(ジョニー・サンダース1952715-1991423日、アメリカ)シンガー・ソングライター、ロックンローラー。パンク・ロックに多大なる影響を与えたニューヨーク・アンダーグラウンド・ロック・アーティストの一人。「NEW YORK DOLLS」を経て、自ら率いる「THE HEARTBREAKERS」などで活動した。

 

NEW YORK DOLLS

Personnel David Johansen – vo,hp   Johnny Thunders – gt,vo  Sylvain Sylvain – gt,vo  Arthur Kane – ba  Jerry Nolan – ds

1971年、デヴィッド・ヨハンセン等と共にニューヨーク・ドールズ結成。サンダースはリード・ギターを務めた。1973年デビュー・アルバム『NEW YORK DOLLS』発表。翌年、2作目の『TOO MUCH TOO SOON』発表。1975年、日本公演直前にジョニーとジェリー・ノーラン(ドラムス)はニューヨーク・ドールズを脱退。解散後の1984年『RED PATENT LEATHER』リリース。

JOHNNY THUNDERS & THE HEARTBREAKERS DISCOGRAPHY

Personnel  Johnny Thunders – Vocals & GuitarWalter Lure – Guitar、Vocals、Billy Rath – Bass、Jerry Nolan- Ds

サンダースとノーランは、元テレビジョンのリチャード・ヘル(ベース)とウォルター・ルアー(ギター)と共にジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズハートブレイカーズ)を結成。ここでサンダースはリード・ボーカルも兼任する。間もなくヘルが脱退し、ビリー・ラスを後任に迎える。バンドはロンドンに渡り、セックス・ピストルズ、クラッシュ、ダムドらとアナーキー・ツアーに同行。1977年に唯一のオリジナル・アルバム『L.A.M.F. を発表。

アルバム表記はリリース年順

1977 L.A.M.F

1979 『live at MAX’S kansas city』

1982 『D.T.K live at SPEAK EASY』

1986  『D.T.K.L.A.M.F』

1991 『What Goes Around』

1993 『Live At Mothers』

1994 『L. A.M.F the lost ’77 mixes』

2015 『live at the Village Gate』

2016 『Vive La Revolution!』

2019 『Yonkers Demo Live 1975/1976』

2021  『L.A.M.F the found ’77 masters』

SOLO DISCOGRAPHY

ハートブレイカーズ解散後、サンダースはロンドンに留まり、豪華ゲストが大挙参加したソロ・デビュー作『So Alone』を発表。

アルバム表記はリリース年順

1978『So Alone』 

1983『In Cold Blood』 

1983Diary of a Lover

1983Hurt Me アコースティック・ギター弾き語り作品

1985年『Que Sera Sera 

1988『Copy Cats』 with パティ・パラディン

1988 書籍 初版 Johnny Thunders /In Cold Blood

1991 4月、4度目の来日公演後、423日、ニューオーリンズのホテルで死亡、死因はオーバー・ドーズとも言われてるが、真相は謎に包まれている。享年38歳。

1992 『So Alone CD (+4tracks)』

1992『Living Dead The All Stars featuring Johnny Thunders』

2008『The First, The Last』(The Living Dead名義)

2009 『Sticks & Stones』

2014  『Real Times EP』

2015  『Daddy Rollin Stone EP』

2015Looking for Johnny ジョニー・サンダースの軌跡』(ドキュメンタリー映画公開)

2020  『Que Sera Sera Resurrected』

2020 書籍『Johnny Thunders Complete Works』

2021 『Live In Osaka 91 & Detroit 80』

2022 書籍 完全版 Johnny Thunders /In Cold Blood

LIVE AT MOTHERS』

Track List

1.Love Comes In Spurts2.Chinese Rocks3.Pirate Love4.Can’t Keep My Eyes On You5.Hurt Me6.So Alone7.New Pleasure8.Blank Generation

 Personnel

 Johnny Thunders – gt,vo Walter lure – gt,vo Richard Hell – ba,vo Jerry Nolan – ds

1976年11月16日、まだ黄金期のメンバーが揃う前、リチャード・ヘルがベース+ヴォーカルの時の、ニューヨークはマザーズでのライブである。ドールズよりもシンプルでストレート、ギミックなしのいさぎよい演奏が聴ける。なんとなく緊張感が漂って感じるのは、すでにサンダースとヘルとの間で確執が生まれていたからだろうか。ラスが加入して以降のスピード、ドライブ感はないが、これはこれでカッコいいライブである。

演奏のテンポが全体的に遅いのはまだ良しとして、驚くのはサンダースのヴォーカル曲の少なさだ。ハートブレイカーズの曲はサビ部分は概ねユニゾンでコーラスなので、声はたびたび聴けるとしても、何せサンダースのリード・ヴォーカル曲が、3.Pirate Love 6.So Aloneの2曲のみで、あの名バラード、5Hurt Meさえもヘルのヴォーカルなのには最初はかなり驚いた。(もっとも、ヘルのヴォーカルが悪いわけではない)

ヘルはベース・プレイヤーとしては物足りないところはあるが、コンポーザーとしては申し分なかった。テレヴィジョンの前身バンド(ネオン・ボーイズ)をヴァーレインと共に作り、ハートブレイカーズの立ち上げに立ち合い、その後やっと自身のバンド、ヴォイドイズを結成した。早いテンポで次々と良い詞、良い曲を書き、しかも量産していて才能のある人だと思う。ヘルがこのままこのバンドを続けていたなら、3人のフロント・マンは皆歌えるし(ハモれるし)、メンバーみんな作曲も出来るし、第2のビートルズも夢ではなかったろうにと本気で思う。(もっとも、ビリー・ラスの加入で演奏は圧倒的に素晴らしくなったのだけど)この初期のハートブレイカーズのことを某イギリスの音楽ライターが残した「現存する世界で1番カッコいいバンド」との称号は嘘ではないだろう。

ライブのオープニングにふさわしいロックンロール1.Love Comes In Spurts、ヘル、サンダース共に軽快に歌っている。この曲は後のハートブレイカーズのOne Track Mindの元ネタとなる曲。2.Chinese Rocksはヘルのヴォーカル。聴かせどころであるサビ部分のノーランのドラムがジャングル・ビートでなく、イーブンな8ビートで、全盛期に聴けるヴァージョンには少し遠く、完成直前という印象を受ける。3Pirate Loveは気合いの入ったサンダースの声が聴ける。文句なしに完全に仕上がっていて、疾走感がありカッコいい。4.Can’t Keep My Eyes On You、ヘルのヴォーカルにサンダースがハモりをつける。5.Hurt Me  ヘルのヴォーカル。こういう重ための曲には、ヘルのベースだと軽すぎてちょっと物足りない感じはするが、サンダースのコーラスの献身的なサポートによりドラマティックに聴かせる。6.So Aloneはサンダースのヴォーカル。先の5.Hurt Meと同じく、ヘルのベースが聴き取りにくく残念だが、サンダースはこの曲でも力のこもった歌声を聴かせてくれる。またルアーの渾身のギター・ソロも熱くて良い。7.New Pleasureはヘルのヴォーカルで、後にヴォイドイズでも取り上げる曲。8.Blank Generation、ヘルのヴォーカル。ジャジーなAメロ部分がカッコいい。70年代のニューヨークの空気を捉えたヘル作の名曲である。

 

ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。  またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。

H・ペレット公式サイト

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