JOHNNY THUNDERS /QUE SERA SERA RESURECTED(ジョニー・サンダース/ケ・セラ・セラ・リザレクティッド) Vinyl Diary
『QUE SERA SERA RESURECTED』完全に生まれ変わっている!
JOHNNY THUNDERS
(ジョニー・サンダース1952年7月15日-1991年4月23日、アメリカ)シンガー・ソングライター、ロックンローラー。パンク・ロックに多大なる影響を与えたニューヨーク・アンダーグラウンド・ロック・アーティストの一人。「NEW YORK DOLLS」を経て、自ら率いる「THE HEARTBREAKERS」などで活動した。
NEW YORK DOLLS
Personnel David Johansen – vo,hp Johnny Thunders – gt,vo Sylvain Sylvain – gt,vo Arthur Kane – ba Jerry Nolan – ds
1971年、デヴィッド・ヨハンセン等と共にニューヨーク・ドールズ結成。サンダースはリード・ギターを務めた。1973年デビュー・アルバム『NEW YORK DOLLS』発表。翌年、2作目の『TOO MUCH TOO SOON』発表。1975年、日本公演直前にジョニーとジェリー・ノーラン(ドラムス)はニューヨーク・ドールズを脱退。解散後の1984年『RED PATENT LEATHER』リリース。
JOHNNY THUNDERS & THE HEARTBREAKERS DISCOGRAPHY
Personnel Johnny Thunders – Vocals & Guitar、Walter Lure – Guitar、Vocals、Billy Rath – Bass、Jerry Nolan- Ds
サンダースとノーランは、元テレビジョンのリチャード・ヘル(ベース)とウォルター・ルアー(ギター)と共にジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズ(ハートブレイカーズ)を結成。ここでサンダースはリード・ボーカルも兼任する。間もなくヘルが脱退し、ビリー・ラスを後任に迎える。バンドはロンドンに渡り、セックス・ピストルズ、クラッシュ、ダムドらとアナーキー・ツアーに同行。1977年に唯一のオリジナル・アルバム『L.A.M.F.』 を発表。
アルバム表記はリリース年順
1977 L.A.M.F
1979 『live at MAX’S kansas city』
1982 『D.T.K live at SPEAK EASY』
1986 『D.T.K.L.A.M.F』
1991 『What Goes Around』
1993 『Live At Mothers』
1994 『L. A.M.F the lost ’77 mixes』
2015 『live at the Village Gate』
SOLO DISCOGRAPHY
ハートブレイカーズ解散後、サンダースはロンドンに留まり、豪華ゲストが大挙参加したソロ・デビュー作『So Alone』を発表。
アルバム表記はリリース年順
1978『So Alone』
1983『In Cold Blood』
1983『Diary of a Lover』
1983『Hurt Me 』 アコースティック・ギター弾き語り作品
1985年『Que Sera Sera』
1988『Copy Cats』 with パティ・パラディン
1988 書籍 初版 Johnny Thunders /In Cold Blood
1991 4月、4度目の来日公演後、4月23日、ニューオーリンズのホテルで死亡、死因はオーバー・ドーズとも言われてるが、真相は謎に包まれている。享年38歳。
1992『Living Dead The All Stars featuring Johnny Thunders』
2008『The First, The Last』(The Living Dead名義)
2009 『Sticks & Stones』
2014 『Real Times EP』
2015『Looking for Johnny ジョニー・サンダースの軌跡』(ドキュメンタリー映画公開)
2020 『Que Sera Sera Resurrected』
2020 書籍『Johnny Thunders Complete Works』
『Que Sera Sera Resurrected』
インナーにはサンダース本でお馴染みのニーナ・アントーニア女史の手記がありそこに触れてあるのだけど、この時期は音楽業界的にもサンダース個人にも色々あり過ぎて、良くないことが重なっており、こういった背景にも踏み込んでいてとても興味深い読み物となっている。
このリザレクティッド盤は、オリジナル盤に比べると、サンダースはもとより参加ギタリストのギターがシャープな音のままで前に出て、より賑やかに、ロック色が濃くなっていて想像以上の仕上がりになっている。またアルバム未収録でシングルで発売された表題曲やジェリー・ノーラン作のカウントダウン・ラブなど聴きどころ満載。
加えて、この時期の未発表だったヨーロッパでのライブのディスク1枚、更にオリジナルのディスクも付いており、生まれ変わり盤と合わせて計3枚と気配りもとても嬉しいボリューミーな作品。
1.Alone in a Crowd 、サンダースのギターがしっかり骨格を支えていて、尖りつつも随分安定した仕上がり。 このアルバムの1つの目玉ともいえる2.Countdown Love はジェリー・ノーラン作、アップ・テンポでスリリングな展開のカッコいい曲だ。ギターはサンダースだけなのか、トリオ演奏のように聴こえる。 3.Blame It on Mom アンリ・ポールとサンダースのギターの絡みが鮮明になって、マイケル・モンローのサックスも前に出て賑やかなロックンロールといった仕上がり。 4.Talk About You これまで未発表だった曲でブッカー・Tのグリーン・オニオンが元ネタ。2本ギターが入っているが、どちらもサンダースのテイクか。かなり良い音で録音されている。 5.M.I.A と6.Little Bit of Whore、ジョン・ペリーとサンダースのツイン・ギター・スタイル。断然カッコよく仕上がっている。モンローのサックスが歌心に溢れていて沁みる。 7.Short Lives ナスティー・スーサイドの丸みのある柔らかいギターとハンズ・クラップが以前よりもしっかり聴こえるミックス。 8.I Only Wrote This Song for You サンダースのアコースティック・ギターが音量が大きくなって、パーカッションも過不足なく、オリジナルよりアーシーで奥行きのある仕上がり。 9.Cool Operator これはウイルコ・ジョンソンの小技の効いたギターと、モンローのサックス・リフの絡みがタイトル通りとにかくクールな1曲。個人的には、本作で改めてその魅力を見直した貴重な1曲となった。参加メンバーの力量か、実に魅力的なトラックである。 10.Billy Boy オリジナルの方はバックのトラックが強調されたような音だったが、こちらは数本のギターのメロディが入れ替わり差し込まれるというミックスがなされて、驚きの仕上がりになっている。(スライド・ギターを担当しているのはペリー、スーサイドのどちらなのだろう?) 11.Endless Party キース・ヨンのベースとモンローのプルージーな音を紡ぎ出すハープが良い。 12.Que Sera Sera シングルでリリースされていた曲。サンダースの声がこの上なく優しくて、この曲にとても合っている。 13.Copy Cat は若干音がこもった感じ、ギターがあまり聴こえないのがちょっと残念。 14.Blame It on Mom [Outtake] サンダースを核としたトリオ演奏のよう。 15.Taking You Up Avenue D コーザ・ノストラと同じコード進行か?エッジの立った音でシンプルながらもなかなかカッコいい1曲。モンローのサックスもかなり貢献していると思う。 16.Short Lives [Outtake] 完成前のリハといった感じ。サンダースのギターがメインの、おそらくトリオ演奏。曲の原型が知れる貴重なテイク。 17.I Only Wrote This Song for You [Outtake] これはレア!アコギ1本でのテイクで、キレイに録音されたテイク。残念ながら途中でコードを間違えてそこで演奏をやめるところがサンダースらしい。18.Cool Operator [First Version] 完成前夜か、まだ少し攻めあぐねていると感じる。
ライブ・ディスクはジェノバ(これはスタジオ音源?)が1〜6、アムステルダムが7〜13、リヨンが14〜18曲目。
メンバーはブラック・キャッツの2人、Keith Yon(ベース)、 Tony St Helene(ドラム)がリズム隊として、古い曲でも、なかなか骨太でタイトな演奏で頑張っている。
気になるギタリストはジェノバがHenri Paul、アムステルダムがMatt Kellett、リヨンがMichael Thimrenの3人。ヘンリー・ポールはサンダースとたびたび一緒にやってるから分かるけど、あとの2人は分からない。音質、演奏の内容ともにヘンリー・ポールと演ってる6曲がベストかなと思う。
きっとジョニーも天国で喜んでいる1枚。
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。