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ECHO & THE BUNNYMEN/NEW LIVE AND RARE (エコー&ザ・バニーメン/まぼろしの世界)

NEW LIVE AND RARE

来日時に編集盤として制作された1988年リリースの作品で、ドアーズ、テレヴィジョン他カヴァー曲が多数納められた企画盤

エコー&ザ・バニーメン

イアン・マッカロク  –  ヴォーカル、ギター

ブルージーで粘りがありエモーショナルな声、表現力。伸びのある太い声は時々ホーンのように聴こえたりする。公言する影響を受けたミュージシャン、アーティストはジム・モリソン、ヴェルヴェッツ、デビッド・ボウイ、レナード・コーエンなど。ロンドンよりもニューヨーク・パンク(テレヴィジョン、パティ・スミス他)からの影響が強いそうだ。

ウィル・サージェント  –  ギター

リバーブなど空間系のエフェクターを巧みに操るギタリスト。フェンダー、グレッチ系の粒立ちの良いギターの音色と攻撃的なハイ・テンションのキレの良いカッティングが持ち味。現在もイアンと共に活動を続けている。

レス・パティスン  –  ベース

竹を割ったような正確なフレージング、ベースだけでも曲を引っ張れるような個性的かつ立体的なベース・リフが作れる職人。解散した後の復活1作目には参加したが、その後は家庭の事情により不参加(メンバーとの不和ではない)

ビート・デイ・フレイタス  –  ドラムス

メンバー募集により最後にバンドに加入したドラマー(ピート加入までバンドは生ドラムの代わりにドラムマシンを代用していた、ピートが加入した当初はマシンを使っていたバニーメンを支持する声もあったらしい)セルフタイトルの5作目ECHO & THE BUNNYMENを完成させた後、バイク事故により死亡。

ビートルズを産んだリヴァプール出身のバンドである。

アルバム・ディスコグラフィー

1980 1st『CROCODILES』 全英17位。評論家の称賛を受け、イギリスでトップ20入りを果たす

1981 2nd 『HEAVEN UP HERE』全英10位、全米184位。イギリスのアルバムチャートで10位に達し、NME紙の読者人気投票で年間ベスト・アルバムに選ばれた

1983 3rd『PORCUPINE』全英2位、全米137位。先行シングルの“The Cutter”がイギリストップ10に入り、満を持して発表されたアルバムは英チャート2位にまで上り詰める

19844th 『OCEAN RAIN』全英4位、全米87位。“Killing Moon”“Silver”“Seven Seas”などのヒット曲が生み出された。また、同年4月には初来日も果たした

1985年 『SONGS TO LEARN & SING』(シングルを集めたコンピレーション・アルバム)リリース

1987 5th『ECHO & THE BUNNYMEN』全英4位、全米51

1988年 『NEW LIVE AND RARE/まぼろしの世界』(12”+LIVEレア・トラック集)リリース

イアンは『ECHO & THE BUNNYMEN』を最後にソロアーティストに転身するため脱退。ドラムのピート・ディ・フレイタスが交通事故により他界する

1990 6thReverberation』全英19

残されたメンバーのサージェントとパティスンは、リードシンガーとしてノエル・バークを、ドラマーとしてデイモン・リースを、キーボーディストとしてジェイク・ブロックマンを参加させ活動を継続。新体制で『Reverberation』をリリースしたが評論家には酷評され、マッカロクからも「Echo & the Bogusmen (偽者ども)」と揶揄される。商業的にも失敗に終わり、バンドは19935月に解散した

1994年 二枚のソロアルバムを発表した後、マッカロクは新プロジェクトElectrafixionで再びサージェントと手を組み、セルフ・タイトルのアルバムをリリースするも単発で終わる。

1997 Evergreen』全英8位。マッカロクとサージェントはパティスンと一緒にエコー&ザ・バニーメンを再始動させた。(3人が集うのは5th以来10年ぶり)アルバムは批評家に熱狂的に支持され、シングル“Nothing Lasts Forever”はイギリスでトップ10に入った。

19998th What Are You Going to Do with Your Life? 』全英21位。パティスンが2度目の脱退(家庭の事情による脱退で、仲違いしたわけではない)をしたが、マッカロクとサージェントは新たにメンバーを加え活動を続ける。

2001 9thFlowers 全英56

2005 10thSiberia』全英83

200911th The Fountain 全英63

2014 12thMeteorites』全英37位、全米138位

2019年 『 JOHN PEEL SESSIONS1979~1983』(スタジオ・ライブ・コンピレーション)リリース

NEW LIVE AND RARE

Track List

1. People Are Strange  2. The Killing Moon (All Night Version)  3. All You Need Is Love 4. Paint It Black 5. Run, Run, Run (Live) 6. Friction (Live)  7. Do It Clean (Live)

「NEW LIVE AND RARE/まぼろしの世界(12”+LIVE)』と題されたレア・トラック集

1988年の来日時に編集盤として制作された企画盤で、タイトル曲の「People Are Strange」はドアーズの名曲。しかもこの曲のプロデュースはドアーズのキーボーディストであるレイ・マンザレクが務めている。名曲「The Killing Moon」は「オール・ナイト・ヴァージョン」、後はすべてライヴ・ヴァージョンで初期の熱気の伝わる音源である。ラストの「Do It Clean」は1983年ロンドン・ロイヤル・アルバート・ホールでの伝説のライヴ・テイク。

1. People Are Strange は THE DOORS の2ndアルバムStrange Days”に収録されている曲。比較的原曲に忠実な演奏。時折り本家が歌っているのではないかと思うほどにマックの声はジム・モリソン似ている瞬間がある。大きな違いは2回目のソロの尺が長いこと。オルガンとピアノが加わりかなりドラマティックな印象を与える。この曲はプロデュースをレイ・マンザレク(ドアーズのオルガニスト)自身が担当していて、その影響もあるのかもしれない。曲中のオルガンも本人の演奏か。サージェントのギター、言うことなし。’88年、3回目の来日公演の際は、ソウル・キッチンを演奏したのだとか。また、この曲は映画「ロスト・ボーイ」にも使用された。

 2. The Killing Moon (All Night Version) 4thアルバム 『OCEAN RAIN』  収録。アルバム・ヴァージョンが545秒なのに対し、こちらは9分超え。個人的な感想になるが、今聴きかえしてみると、若干散漫な印象で、どうしてもアルバム・ヴァージョンの鮮烈さに軍配が上がる。当時はこういったロング・ヴァージョンが流行っていたものだと記憶している。

3. All You Need Is Love ビートルズ’67年の名作。イギリスのTV番組のサントラとして、教会で録音されたトラック。ここではマッカロク×アコースティック・ギター、サージェント×シタール、パティスン×ウッド・ベース、フレイタス×ブラッシュ、加えてハープシコード、サックスもフィーチャーされている。リスペクトする同郷の大先輩の曲をプレーするのは楽しかったのだろう、牧歌的な雰囲気が漂う、肩の力の抜けた演奏。ビートルズネタをもう一つ、来日公演ではツイスト&シャウトをプレーしていたそうだ。

ここからは、’854月のスカンジナビア・ツアー(カバー曲中心のライブ・ツアー)中にスウェーデン国営放送が収録した3トラック。どの曲も概ね原曲に忠実な演奏。

4. Paint It Black  THE ROLLING STONES   ’66年の作品。マッカロクの粘っこいヴォーカルがこの曲にとても合っている。ここでもサージェントはシタールをプレーしているようで、職人的な腕を披露している。(ギターはツアー・キーボーディストのジェイク・ブロックマンが担当)会場の熱気が伝わってくるようなテイク。

5. Run, Run, Run (Live)’66年リリースの1stアルバム  THE VELVET UNDERGROUND  に収録されている曲。これは凄い!演奏がこなれており、完全に自分達のモノにしている感がある。相当な回数プレーしてきたのではないだろうか。ネオ・サイケデリアという呼称はダテじゃないことが分かる。本作でのベスト・トラック。

6. Friction (Live)’77年リリースの TELEVISION1stアルバム収録曲。タイトなリズム隊、サージェントのフリーキーなギター、パンキッシュな香り漂う、これも文句なしのカッコ良さ。

7. Do It Clean (Live)’83年ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホールでの、今となっては伝説化しているライブ・テイク。この弾けるようなフレイタスのドラム、荒っぽいマッカロクのヴォーカル、突き抜けている。高速のサージェントのカッティングが熱い。パティスンは黙々と刻んでいる。混沌としていて、冷んやりとクールで、それでいて熱い、バニーメンの良いところが全て入っている。一体となった客席も熱い。

 

ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。  またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。

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