PRIMAL SCREAM/MAXIMUM ROCK’NROLL THE SINGLES vol.2(プライマル・スクリーム/マキシマム・ロックンロール2) Vinyl Diary
『Maximum Rock ‘n’ Roll: The Singles vol.2』『Maximum Rock ‘n’ Roll: The Singles vol.2』はプライマル・スクリームの35年に渡る活動を網羅したシングル・コレクションで、Volume.2は「Accelerator」(2000年)から「100% or NothingKill All Hippies」(2016年)までのシングル曲全14曲を発売順に収録した2枚組アナログ盤である。
プライマルスクリーム
プライマル・スクリームは1982年にスコットランドのグラスゴーでボビー・ギレスピーとジム・ビーティによって結成されたロックバンドである。 プライマル・スクリームはその長きにわたる活動の中で、音楽性を多分に変化させてきており、アルバム毎にかなり趣向が変わるのが特徴である。
ヒストリー
1984年、バンドはクリエイション・レコーズと契約し、ビーティが作り出す12弦ギターの音色が特徴的な「オール・フォール・ダウン」、「クリスタル・クレッセント」というシングル2枚を発売した。(レビューには、しばしザ・バーズ、スモール・フェイセズなどが引き合いに出され た)
1987年、ファーストアルバム『ソニック・フラワー・グルーブ』を発売。メディアの高い評価とは裏腹に商業的な成功は収められなかった。
1989年に発売されたセルフタイトルのセカンドアルバム『プライマル・スクリーム』は、ガレージ色の濃いアルバムとなった。アルバムはインディチャートでトップとなる。
1991年「ローデッド」を含むバンドの出世作『スクリーマデリカ』発売。アルバムは50万枚のヒットを飛ばした。
1994年、70年代中期のローリング・ストーンズを模倣したような内容の『ギブ・アウト・バット・ドント・ギブ・アップ』発売。
1997年「コワルスキー」を先行シングルに、『バニシング・ポイント』発売。ダブの影響が色濃い作風となった。『バニシング・ポイント』は1971年アメリカで公開されたロード・ムービーで公開から年月が経った当時でもカルト的な人気を持っていた。アルバムタイトルはこの映画から採られたもので、「コワルスキー」はこの映画の主人公の名前である。同曲中には映画の中から取られた台詞、音声がいくつもサンプリングされている。
同年10月にはエイドリアン・シャーウッドによるダブ・リミックス・アルバム『エコー・デック』発売。
000年1月に発売された『XTRMNTR』(エクスターミネーター)』はクリエイション・レコーズ最後のアルバムとなった。今までにない政治的姿勢を打ち出した攻撃的な歌詞が並んだ。売り上げはさほど伸びかったものの、多数のメディアから好意的なレビューを贈られた。
2002年「ミス・ルシファー」を先行シングルに『イーブル・ヒート』発売。前作の路線を継承しつつパンクっぽさは減った。
2006年6月 『Riot City Blues 』発売。近作のエレクトロニクス路線から大きく転換したストレートなロックンロール・アルバムになった。
2008年7月、Bユニークレーベル移籍後第1弾となるアルバム『ビューティフル・フューチャー』発表。
2013年、イグニッション・レコードから5年ぶりのスタジオ・アルバム『モア・ライト』リリース。同アルバムではジェイソン・フォークナー(元ジェリーフィッシュ)大部分の曲でベースを弾いた。
2016年『カオスモシス』リリース。
2018年10月『Give Out But Don’t Give Up: The Original Memphis Recordings』
2019年『Maximum Rock & Roll The Singles vol.1』、『Maximum Rock & Roll The Singles vol.2』
『Maximum Rock ‘n’ Roll: The Singles vol.2』
このシングル・コレクションは2019年にリリースされた。発売順にシングル曲が収められていて、プライマルの作品の変遷が分かりやすく編集されている。
【収録曲】
[LP1]
A1. Accelerator、A2. Miss Lucifer、A3. Autobahn 66、A4. Some Velvet Morning、
B1. Country Girl、B2. Dolls (Sweet Rock and Roll)、B3. Sometimes I Feel So Lonely
[LP2]
C1. Can’t Go Back、C2. UptownA3. 2013
D1. It’s Alright, It’s OK、D2. Goodbye Johnny、D3. Where the Light Gets In、D4. 100% or Nothing
ラウドでノイジーでキャッチーなA-1. 「Accelerator」。凶暴で、かつセクシーなレイブ・チューンA-2. 「Miss Lucifer」。クラフトワーク・チックなエレクトロ・ポップ、A-3. 「Autobahn 66」と、A-4. 「Some Velvet Morning」。一転してオーガニックなロックンロールのB-1. 「Country Girl」。スリージーなタイトルもそのまんまのB-2. 「Dolls 」。美しく荘厳なバラード、B-3. 「Sometimes I Feel So Lonely」。唯一無二のエレクトロ・パンクなC-1. 「Can’t Go Back」。ストリングス・アレンジが秀逸なC-2. 「Uptown」。ミレニアルの究極のロックンロールの形、サックスにシビれるC-3.「2013」。ストーンズ風のアメリカ南部っぽさが楽しめる、D-1. 「It’s Alright, It’s OK」。サイケデリックな香りが濃厚に漂うメロディアスなナンバー、D-2. 「Goodbye Johnny」。女性とのツイン・ヴォーカルという新しい形のコマーシャルなナンバー、D-3. 「Where the Light Gets In」。エレクトロとモータウンの完璧な融合、D-4. 「100% or Nothing」。全14曲。これほど振り幅の大きいバンドも少ないのではないだろうか。
最後に、ギレスピーがシングル・レコードについて語った言葉を一部抜粋する。「1985年のデビュー作“オール・フォール・ダウン”からというもの、僕たちはシングルを美的な選択肢ととらえてアプローチしてきた。ラジオからデヴィッド・ボウイの“サフラジェット・シティ”やT・レックスの“メタル・グルー”が流れてくる中で育ってきた。セックス・ピストルズの4枚のシングルは素晴らしかった。」
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。