DAVID BOWIE/LET’S DANCE(デビッド・ボウイ/レッツ・ダンス) Vinyl Diary
『LET’S DANCE』1983年に発表されたデビッドボウイ通算14作目のアルバム。僕がボウイに興味を持つきっかけになった作品でもある。
David Bowieデヴィッド・ボウイ(本名:デヴィッド・ロバート・ジョーンズ 1947年1月8日ー2016年1月10日)
スタジオ・アルバム・ディスコグラフィー
『DAVID BOWIE』(1967 6/1)
『SPACE ODDITY』(1969 11/4)
『THE MAN WHO SOLD THE WORLD』 (1970 11/4)
『HUNKY DORY』(1971 12/17)
『ZIGGY STARDUST』(1972 6/16)
『ALADDIN SANE』(1973 4/13 )
『PIN UPS』(1973 10/19)
『DIAMOND DOGS』(1974 4/24)
『YOUNG AMERICANS」(1975 3/7)
『STATION TO STATION』(1976 1/23 )
『LOW』(1977 1/14)
『HEROES』(1977 10/14)
『LODGER』(1979 5/18)
『SCARY MONSTERS』(1980 9/12)
「LET’S DANCE』(1983 4/14)
『TONIGHT』(1984 9/1)
『NEVER LET ME DOWN』(1987 4/27)
『TIN MACHINE』(1989 5/22)
『TIN MACHINE Ⅱ』(1991 9/2 )
『BLACK TIE WHITE NOISE』(1993 4/5)
『OUTSIDE』(1995 9/26)
『EARTHLING』(1997 1/30)
『HOURS』(1999 10/4 )
『HEATHEN』(2002 6/11 )
『REALITY」(2003 9/16)
『THE NEXT DAY』(2013 3/13)
『BLACKSTAR』(2016 1/8 )
『THE SOUL TOUR 74』(2020 8/29)
『TOY』(2021 11/26)
『LET’S DANCE』
本作に至るまでのボウイの背景を少し書くと、ベルリン3部作、そしてスケアリー・モンスターズをリリース。ここまで、イギリスではチャート上位を記録するものの、アメリカではトップ10に入るほどのヒットがまだほとんどない(この時期は俳優としてもいくつかの作品に出演している)ということで、なんとしてもアメリカで認知されるだけのヒットが欲しいというのが、当時の偽らざる心境だったと思われる。そこでこの頃アメリカでヒットを連発していたナイル・ロジャースにプロデュースを依頼した模様。本人からすれば一世一代の賭けだったのではなかろうか。結果、的中!で、世界中で大ヒットを記録。イギリスのカルトヒーローからスーパースターに変貌することに成功した。
Side A
1.Modern Love ギターのカッティングに導かれて入ってくるドラムが、この時点でウキウキさせる。控えめな歌い出しから一気にボルテージが上がり、燃えるようなソウルフルなボウイの声がオープニングとしては申し分のない、サイコーにカッコいい1曲。2.China Girl イギーポップと共作(イディオット収録)した、タイトル通り音階にアジアっぽさを感じる曲。イギーのヴァージョンと比べるとこちらは艶かしい雰囲気。小技の効いたリズムギター(ナイルロジャース)が◎。そして、STEVIE RAY VAUGHAN(スティービー・レイ・ヴォーン)のギターソロもよく歌っていて素晴らしい。3.Let’s Dance ビートルズ!(ツイスト&シャウト)のイントロから始まるタイトル曲。ギターとヴォーカルの音の揺らぎというのか、なんとも心地良いダンス・ミュージック。パーカッションとホーンで奥行きが強調される、いわゆるモダン・ビッグ・バンド・サウンドがこれか。曲中にも至る所ギミックがあり飽きない。ここでもアルバート・キングライクなスティービーのギター全開。4.Without You ファルセットで歌うダブルトラックのボウイの声がなんとも美しい。このアルバムの中ではちょっとしたカーム・ダウンを誘う、割と短い佳曲。レコードではA面ラスト。だからなのか、何かを残してきたような余韻のあるエンディングが印象的。B面に向かう序章といった雰囲気を意識して作ったのか。
Side B
1.Ricochet かけ合いの形でコーラスが絡み合う。とても生命力に溢れている印象の曲なのだけど、内省的な歌詞は“忘れ去られることに耐えられる者がいるだろうか?“と意味深である。とはいえ、ボウイのヴォーカルは生命力に溢れている。2.Criminal World アルバム中、一番メロディアスなのではなかろうか、踊れるミディアムという雰囲気の1曲。サビの曲調などはいかにもボウイが作りそうなメロディ。なのだがドラムとベースがここまでダンサブルだと、こんなにも新しくなるのか、という好例。3.Cat People (Putting Out Fire) これは同名映画のサントラに収録された曲のヴァージョン違い。こっちの方がテンポが少し早い。イントロのギターはスティービーか?オクターブ上と下を縦横無尽に歌うボウイ。Putting Out Fireのシャウトするところ、シビれる。4.Shake It アルバム最後を飾るのはA面ラスト同様ちょっとしたカームダウンて感じの曲。かといって、もちろん捨て曲ではない、本アルバム中、ギターが1番大人しいかもしれない。
太くパワフルなリズム隊に絡む、タイトで秀逸なアレンジのリズムギター、背景を覆うようにキーボードが隙間を埋め、煌びやかなホーンが要所要所でブロウする。ブルース・スケールで弾きまくるズ太く、乾いたレイ・ヴォーンのギター。そして表現力、瑞々しさ、生命力、説得力に溢れたボウイのヴォーカルが堪能出来る、いつまでも古さを感じさせないアルバムである。
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。