THE VELVET UNDERGROUND & NICO produced by Andy Wahol(ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ) Vinyl Diary
『THE VELVET UNDERGROUND & NICO』1967年にリリースされたザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの1stアルバム
ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド
ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)は、1964年に結成されたアメリカのロック・バンド。ヴェルヴェッツという略称でも呼ばれる。リードによる文学的素養から生まれた、同性愛やSMなどの性におけるタブーやドラッグなどについての歌詞、ケイルによる実験的、前衛的サウンドが特徴。デヴィッド・ボウイ、ストゥージズ、ドアーズ、テレヴィジョン、エコー&ザ・バニーメン、ジーザス&ザ・メアリーチェーンら、数多くのアーティストに影響を与えた。1996年にロックの殿堂入り。「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第19位。
ドイツ人モデル、ニコをヴォーカルで参加させるというウォーホルからの提案(リードは不満ながらも)を受け入れ1stアルバムの制作が決まる。66年5月、シングル「All Tommrrow’s Parties/I’ll Be Your Mirror」でデビュー。12月、セカンド・シングル「Sunday Morning/Femme Fatale」リリース。1967年3月、1stアルバム『The Velvet Underground and Nico 』リリース。ビルボード最高192位(最初の5年間で3万枚ほどしか売れなかったという)。2ヶ月後の5月27日、ニコ脱退。ウォーホルとも袂を分かち、暴力性とノイジーさが際立った作品、2ndアルバム『White Light/White Heat 』(1968年)リリース。プロデューサーはトム・ウィルソン。アルバム制作中に関係が悪化していたケイルとリードであるが、新作も相変わらず売れないため、バンドをポップな方向にしたいリードと、過激な路線で攻めたいケイルが対立。同年9月28日、ボストン・ティー・パーティーでのライブを最後にケイルが脱退。翌10月新メンバーとしてダグ・ユールが加入。ベースとヴォーカルを担当する。3rdアルバム『The Velvet Underground 』(1969年)リリース。このアルバムは初のセルフ・プロデュース。リードのポップなセンスが開花した傑作であるが、これも売り上げが芳しくなく、MGMに契約を切られる。加えて4枚目のアルバムになる予定だったこの時期の録音は全てお蔵入り(後に『VU』、『Another View』、ボックス・セットなどで陽の目をみる)新たにレコード会社コティリオンとの契約が決まる。タッカーが妊娠中だったため、ダグ・ユールの弟ビリー・ユール他数人がドラムを担当。名曲揃いの4thアルバム『Loaded 』(1970年)リリース。このアルバムリリース前、8月のマスシズ・カンサス・シティでの連続公演の最終日リードが失踪。その後脱退。残されたユールを中心にメンバーを加えながらバンドは存続。1973年『Squeeze 』リリース。名義こそヴェルヴェッツだが、実質はダグ・ユールのアルバムといえる。
『THE VELVET UNDERGROUND & NICO』Track List
Side A 1.『Sunday Morning』2.『I’m Waiting For The Man』3.『Femme Fatale』4.「Venus In Furs』5.『Run Run Run』6.『All Tommrrow’s Parties』
Side B 1.『Heroin』2.『There She Goes again』3.『I’ll Be Your Mirror』4.『The Black Angel’s Death Song』6『European Sun』
Produced By Andy wahol
personnel
Lou reed:lead guitar.ostrich guitar.vocal、John Cale:electric viola.piano.bass guitar、Sterling Morrison:rhythm guitar.bass guitar、Maureen Tucker:percussion、Nico:chanteuse
このバンド、アルバムに関しては書籍や参考文献も多いので、多くは語らない。ここでは僕なりの各曲のコメントを記したい。
Side A
A 1.『Sunday Morning』
元祖パンクと言われるバンドの1stアルバムの、オープニング・ナンバーとは思えないスローでメロウな1曲。リードの声が優しい。でも逆に言うと、こういう曲を頭に持ってくるセンスと勇気は、余程自信が無いと出来ないのではないだろうか。先入観なしに聴くと非常に良く出来ており名曲である。
2.『I’m Waiting For The Man』
「こんなピアノ(の弾き方)あるか?」が恥ずかしながら最初の印象だった。でもこの打楽器のような弾き方が、聴き重ねるうちにじわじわとボディ・ブローのように効いてくる。ツバを飲み込む音さえ聴こえてきそうな、シャープで、刺さるリードの声、グルーブと呼べないグルーブというのか、なにしろ何度聴いても魅力的で飽きない曲である。
3.『Femme Fatale』
ニコがヴォーカル。今では大好きなシンガーの1人なのだけど、この人の声も馴染むまで少し時間がかかった記憶が。フォーキーな響きでメロディアス。リードの神経質そうな声と、ニコの柔らかく、包み込むような声との絡みが奥深い。
4.「Venus In Furs』
ジョン・ケイルの妖しげなヴィオラの響き、リードの硬質な声、これが“毛皮のヴィーナス“か、と感慨もひとしお、あの有名な小説を見事に音楽に昇華しているのには驚愕した。リードが実に丁寧に、噛み締めるように歌っている。
5.『Run Run Run』
ブギー調のロック・ナンバー。この曲を初めて聴いたのはECHO & THE BUNNYMENのカバー・バージョンだった。呪術的というか、トランスというか、なんともいえない吸引力のある曲。吐き捨てるようなリードの歌い方が抜群にカッコ良い。
6.『All Tommrrow’s Parties』
ニコ、アルバム2曲目のヴォーカル。僕が初めて聴いたのは JAPAN のバージョンで、そっちはどちらかというとポップで聴きやすい。(因みにニック・ケイブのバージョンもとてもかっこいい)このシンプル過ぎるモーリン・タッカーのドラムと、ハネさせたようなケイルのピアノの絡みが絶妙である。
Side B
B 1.『Heroin』
アフリカン・ビート的なタッカーのパーカッションの音、クリーンなギターの響き、ロング・トーンのヴィオラ、なんという音の重ね方であろうか。この曲も呪術的な雰囲気があり今聴いても新鮮で、聴くたびに驚嘆する曲である。聴き流しが出来ない、鮮烈なサウンドである。体力の要る1曲。
2.『There She Goes again』
ジャッキジャキのギターが往年のGSのような爽やかな音、コーラス・ワークも相まって本アルバム中、1番オーソドックスなロック・ナンバーといえようか。
3.『I’ll Be Your Mirror』
アルバム中3曲目のニコのヴォーカル曲。メロディアスで、これもフォーキーな響きを持つ佳曲。後年、リードが歌う同曲も良い。
4.『The Black Angel’s Death Song』
無調というのか(実際には無調ではないのだが)反復するヴィオラと、スターリング・モリソンのギターと、リードの語りとも歌ともつかないヴォーカルで曲は進んで行く。ドラムとベースは入っていない。個人的には、実験的なこの曲のハードルが1番高かったと思う。
5.『European Sun』
4に続き、このクロージング・ナンバーもどう聴けばよいのか、当初は消化出来ず悩んだ記憶があるが、今ではこの音の波にただ身を浸せば良いと思えるようになった。4人のメンバーが、一体感、スピード感を度外視してやりたい放題演ってる感じの演奏だが。最後の方で聴こえてくるギターのフィードバックがリードらしい。
LOU REED / VELVET UNDERGROUND ブログ一覧
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。