JAPAN/OIL ON CANVAS (ジャパン/オイル・オン・キャンバス) Vinyl Diary
『OIL ONE CANVAS』JAPAN解散後の1983年にリリースされたライブ盤
Japan) (ジャパン)は、イギリスのニュー・ウェイブ・バンド。David Sylvian(デヴィッド・シルヴィアン:vo、gt、kb)と実弟Steve Jansen (スティーブ・ジャンセン:ds)、デヴィッドの親友であったMick Karn(ミック・カーン:b,sax)を中心に結成。その後、高校の同級であったRichard Barbieri (リチャード・バルビエリ:kb)を誘い更にオーディションでRob Dean(ロブ・ディーン:gt、5thアルバム製作前に脱退)を迎え入れ、デビュー当初のバンドの形態となる。
初期のサウンドは、黒人音楽やグラム・ロックをポスト・パンク的に再解釈した、ディスコティックながらもぎくしゃくとしたノリをもった音楽性で、イギリスの音楽シーンではほとんど人気がなかった。(日本ではアイドル的人気が先行し、初来日でいきなり武道館公演を行うほどだった)アルバム・リリース毎に初期の荒削りなロックサウンドから次第に耽美的な音像を強めていく。一見ポップなサウンドのなかにカーンのうねるフレットレスベース、バルビエリの抽象的なシンセサウンド、ジャンセンの堅実で豊かなリズムアレンジ、そしてシルヴィアンの頽廃的で内省的なボーカルとリリックといった独特のアレンジを加えることで、他に類を見ない個性を確立。本国でも評価を高め始める。
その後もバンドはアフリカン・ビートや東洋音楽にも接近、エスノ、アンビエント色も加え独特のリズム解釈やグルーヴを追求。シングル『Ghosts』(ゴウスツ)はバンド最高のヒットを記録した。
ディスコグラフィー
1978年『Adolescent Sex』 – 果てしなき反抗
1978年『Obscure Alternatives 』 – 苦悩の旋律
1979年 『Quiet Life』 – クワイエット・ライフ
1980年『Gentlemen Take Polaroids』 – 孤独な影
1981年『Tin Drum』- 錻力の太鼓
1982年 ーバンド解散ー
1983年『Oil On Canvas』 – オイル・オン・キャンヴァス(2枚組ライブ・アルバム)
1984年』『Exorcising Ghosts』- エクソサイジング・ゴウスツ
1991年『Rain Tree Crow』 – レイン・トゥリー・クロウ(名義は違うが事実上の再結成)
『OIL ON CANVAS』Track List
A-1.OIL ON CANVAS、 A-2.SONS OF PIONEERS、 A-3.GENTLEMAN TAKE POLAROIDS、A-4.SWING、B-1.CANTONESE BOY、B-2.VISIONS OF CHINA、B-3.GHOSTS、B-4.VOICES RAISED IN WELCOME HANDS、C-1.NIGHTPORTER、B-2.STILL LIFE IN MOBILE HOME、C-3.METHODS OF DANCE、D-1.QUIET LIFE、D-2.THE ART OF PARTIES、D-3.CANTON、D-4.TEMPLE OF DAWN
Side Aプロローグ A-1.OIL ON CANVAS はピアノとストリングスのインストルメンタル。 プリミティブに歌うドラム、縦横無尽にウネるベース、抽象的なキーボード、A-2.SONS OF PIONEERS、 がオープニング・ナンバー。一気にジャパンの世界に引き摺り込まれる。やや落ち着いたトーンの演奏。シルヴィアンの低音ヴォイスにシビれる。 次に4thアルバムからの2曲、ここから一気にボルテージがあがる。A-3.GENTLEMAN TAKE POLAROIDS、A-4.SWING、はどちらもスタジオ・アルバムよりダンサブルでアグレッシブで力強い。
Side BB-1.CANTONESE BOY、B-2.VISIONS OF CHINA、B-3.GHOSTS、とB面はは3曲続けて5thアルバムから。B-1 は反復するオリエンタルなバルビエリのキーボードとカーンの躍動するベースが聴きもの。意外とメロディもいい曲である、B-2のジャンセンのドラムとカーンの超絶技巧のベースは筆舌に尽くしがたく素晴らしい。ヒット・シングルの B-3はイントロ部分にアンビエントなアレンジが加わり、より世界観が広がった。
Side Cワルツ調のC-1.NIGHTPORTER、はオリジナルと比べて鍵盤の音に変化を持たせたようで、少し違った趣きになっていて、よりJAPAN独自の音に仕上がっていると思う。C-2.STILL LIFE IN MOBILE HOME、からはラストに向けて怒涛のダンス・ナンバーが続く。C-2は予測を裏切る力強いダンス・ナンバーになっている。 C-3.METHODS OF DANCE はこれまでも随分演奏してきたであろう自信と余裕が感じられる。
Side DD-1.QUIET LIFE、D-2.THE ART OF PARTIES、の2曲もまた然り。D-1は分かるがD-2がここまで踊れる楽曲に仕上がるとは想像出来なかった。JAPANに“熱“とはかなりかけ離れているようだが、とにかく熱を感じる演奏である。D-3.CANTON、オリエンタリズムたっぷりの荘厳なインスト・ナンバーを経て、D-4.TEMPLE OF DAWN がクロージング・ナンバーとなる。
デビッド・シルヴィアンの美学の結晶といえる、今も色褪せないライブ・アルバムである。
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。