ECHO & THE BUNNYMEN / THE FOUNTAIN(エコー&ザ・バニーメン/ファウンテン) Vinyl Diary

『THE FOUNTAIN』
『SIBERIA』から4年のインターバルを経て09年にリリースされた、デビュー30周年を飾る節目の一枚
エコー&ザ・バニーメン
イアン・マッカロク – ヴォーカル、ギター
ブルージーで粘りがありエモーショナルな声、表現力。伸びのある太い声は時々ホーンのように聴こえたりする。公言する影響を受けたミュージシャン、アーティストはジム・モリソン、ヴェルヴェッツ、デビッド・ボウイ、レナード・コーエンなど。ロンドンよりもニューヨーク・パンク(テレヴィジョン、パティ・スミス他)からの影響が強いそうだ。
ウィル・サージェント – ギター
リバーブなど空間系のエフェクターを巧みに操るギタリスト。フェンダー、グレッチ系の粒立ちの良いギターの音色と攻撃的なハイ・テンションのキレの良いカッティングが持ち味。現在もイアンと共に活動を続けている。
レス・パティスン – ベース
竹を割ったような正確なフレージング、ベースだけでも曲を引っ張れるような個性的かつ立体的なベース・リフが作れる職人。解散した後の復活1作目には参加したが、その後は家庭の事情により不参加(メンバーとの不和ではない)
ビート・デイ・フレイタス – ドラムス
メンバー募集により最後にバンドに加入したドラマー(ピート加入までバンドは生ドラムの代わりにドラムマシンを代用していた、ピートが加入した当初はマシンを使っていたバニーメンを支持する声もあったらしい)セルフタイトルの5作目「ECHO & THE BUNNYMEN」を完成させた後、バイク事故により死亡。
ビートルズを産んだリヴァプール出身のバンドである。
アルバム・ディスコグラフィー
1980年 1st『CROCODILES』 全英17位。評論家の称賛を受け、イギリスでトップ20入りを果たす
1981年 2nd 『HEAVEN UP HERE』全英10位、全米184位。イギリスのアルバムチャートで10位に達し、NME紙の読者人気投票で年間ベスト・アルバムに選ばれた
1983年 3rd『PORCUPINE』全英2位、全米137位。先行シングルの“The Cutter”がイギリストップ10に入り、満を持して発表されたアルバムは英チャート2位にまで上り詰める
1984年4th 『OCEAN RAIN』全英4位、全米87位。“Killing Moon”、“Silver”、“Seven Seas”などのヒット曲が生み出された。また、同年4月には初来日も果たした
1985年 『SONGS TO LEARN & SING』(シングルを集めたコンピレーション・アルバム)リリース
1987年 5th『ECHO & THE BUNNYMEN 』全英4位、全米51位
1988年 『NEW LIVE AND RARE/まぼろしの世界』(12”+LIVEレア・トラック集)リリース
イアンは『ECHO & THE BUNNYMEN』を最後にソロアーティストに転身するため脱退。ドラムのピート・ディ・フレイタスが交通事故により他界する
1990年 6th『Reverberation』全英19位
残されたメンバーのサージェントとパティスンは、リードシンガーとしてノエル・バークを、ドラマーとしてデイモン・リースを、キーボーディストとしてジェイク・ブロックマンを参加させ活動を継続。新体制で『Reverberation』をリリースしたが評論家には酷評され、マッカロクからも「Echo & the Bogusmen (偽者ども)」と揶揄される。商業的にも失敗に終わり、バンドは1993年5月に解散した。
1994年 二枚のソロアルバムを発表した後、マッカロクは新プロジェクトElectrafixionで再びサージェントと手を組み、セルフ・タイトルのアルバムをリリースするも単発で終わる。
1997年 『EVERGREEN』全英8位。マッカロクとサージェントはパティスンと一緒にエコー&ザ・バニーメンを再始動させた。(3人が集うのは5th以来10年ぶり)アルバムは批評家に熱狂的に支持され、シングル“Nothing Lasts Forever”はイギリスでトップ10に入った。
1999年8th 『WHAT ARE YOU GOING TO DO WITH YOUR LIFE? 』 全英21位。パティスンが2度目の脱退(家庭の事情による脱退で、仲違いしたわけではない)をしたが、マッカロクとサージェントは新たにメンバーを加え活動を続ける。
2001年 9th『FLOWERS』 全英56位
2002年 『LIVE IN LIVERPOOL』
2005年 10th『SIBERIA』全英83位
2009年11th 『THE FOUNTAIN』 全英63位
2014年 12th 『METEORITES』全英37位、全米138位
2019年 『 JOHN PEEL SESSIONS1979~1983』(スタジオ・ライブ・コンピレーション)リリース
『THE FOUNTAIN』
Track List
1,”Think I Need It Too” 、2”,Forgotten Fields”、3,”Do You Know Who I Am?”、4”,Shroud of Turin”、5”,Life of a Thousand Crimes” 、6”,The Fountain” 、7”,Everlasting Neverendless”、8”,Proxy” 、9”,Drivetime”、10”,The Idolness of Gods”
『SIBERIA』から4年のインターバルを経て09年にリリースされた、デビュー30周年を飾る節目の一枚、『THE FOUNTAIN』。このアルバムも瑞々しい10曲が収められている。本作でもヴォーカルのイアン・マッカロク、ギターのウィル・サージェントを中心に、キーボードは前作に引き続きポール・フレミング、ベースはゴードン・グディ、ドラムスはニック・キルローが担当。BustedやFiveで知られるジョン・マクラフリンがプロデュース(マクラフリンは曲作りにも参加している)。またノー・クレジットながら(バニーメン・ファンを公言している)コールドプレイのクリス・マーティンがゲスト参加している。
バニーメンの場合、ギタリスト、ウィル・サージェントのアプローチが、その楽曲の雰囲気を決めるところがあるが、本作では凝ったギミックが少なく、アップ・テンポの曲が多い関係もあるのか、全体的にシンプルでストレートに演奏している曲が多い。特にオープニング・ナンバーの 1,”Think I Need It Too” は、出色の仕上がりで、本作を象徴する1曲ともいえる。
一方、リズム・アプローチはいままでのバンド・サウンドと違い、冒険していることを感じさせる曲がある。例えば3,”Do You Know Who I Am?” は、明らかにデジタルのリズム・サウンドを採用していることが分かる。また 6”,The Fountain” や 9”,Drivetime”、で聴かれる軽めのドラムは、これまでのバニーズにはなかったように思う。
それぞれの曲ごとに表情があり、ヴァラエティに富んだ楽曲群が並んでいるが、( 8”,Proxy” 未だにこんなキュートなナンバーが書けるなんて!)全体を通して聴くと非常に整合感のある一枚になっている。そして、このアルバムも、メロディが素晴らしい曲ばかりである。クロージング・ナンバー 10”,The Idolness of Gods” は、この上なく美しいスロー・バラードである。
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。