ECHO & THE BUNNYMEN / EVERGREEN(エコー&ザ・バニーメン/エヴァー・グリーン) Vinyl Diary

『EVERGREEN』
1997年にリリースされ各界から絶賛された、バニーメン奇跡の復活アルバム!
エコー&ザ・バニーメン
イアン・マッカロク – ヴォーカル、ギター
ブルージーで粘りがありエモーショナルな声、表現力。伸びのある太い声は時々ホーンのように聴こえたりする。公言する影響を受けたミュージシャン、アーティストはジム・モリソン、ヴェルヴェッツ、デビッド・ボウイ、レナード・コーエンなど。ロンドンよりもニューヨーク・パンク(テレヴィジョン、パティ・スミス他)からの影響が強いそうだ。
ウィル・サージェント – ギター
リバーブなど空間系のエフェクターを巧みに操るギタリスト。フェンダー、グレッチ系の粒立ちの良いギターの音色と攻撃的なハイ・テンションのキレの良いカッティングが持ち味。現在もイアンと共に活動を続けている。
レス・パティスン – ベース
竹を割ったような正確なフレージング、ベースだけでも曲を引っ張れるような個性的かつ立体的なベース・リフが作れる職人。解散した後の復活1作目には参加したが、その後は家庭の事情により不参加(メンバーとの不和ではない)
ビート・デイ・フレイタス – ドラムス
メンバー募集により最後にバンドに加入したドラマー(ピート加入までバンドは生ドラムの代わりにドラムマシンを代用していた、ピートが加入した当初はマシンを使っていたバニーメンを支持する声もあったらしい)セルフタイトルの5作目「ECHO & THE BUNNYMEN」を完成させた後、バイク事故により死亡。
ビートルズを産んだリヴァプール出身のバンドである。
アルバム・ディスコグラフィー
1980年 1st『CROCODILES』 全英17位。評論家の称賛を受け、イギリスでトップ20入りを果たす
1981年 2nd 『HEAVEN UP HERE』全英10位、全米184位。イギリスのアルバムチャートで10位に達し、NME紙の読者人気投票で年間ベスト・アルバムに選ばれた
1983年 3rd『PORCUPINE』全英2位、全米137位。先行シングルの“The Cutter”がイギリストップ10に入り、満を持して発表されたアルバムは英チャート2位にまで上り詰める
1984年4th 『OCEAN RAIN』全英4位、全米87位。“Killing Moon”、“Silver”、“Seven Seas”などのヒット曲が生み出された。また、同年4月には初来日も果たした
1985年 『SONGS TO LEARN & SING』(シングルを集めたコンピレーション・アルバム)リリース
1987年 5th『ECHO & THE BUNNYMEN 』全英4位、全米51位
1988年 『NEW LIVE AND RARE/まぼろしの世界』(12”+LIVEレア・トラック集)リリース
イアンは『ECHO & THE BUNNYMEN』を最後にソロアーティストに転身するため脱退。ドラムのピート・ディ・フレイタスが交通事故により他界する
1990年 6th『Reverberation』全英19位
残されたメンバーのサージェントとパティスンは、リードシンガーとしてノエル・バークを、ドラマーとしてデイモン・リースを、キーボーディストとしてジェイク・ブロックマンを参加させ活動を継続。新体制で『Reverberation』をリリースしたが評論家には酷評され、マッカロクからも「Echo & the Bogusmen (偽者ども)」と揶揄される。商業的にも失敗に終わり、バンドは1993年5月に解散した。
1994年 二枚のソロアルバムを発表した後、マッカロクは新プロジェクトElectrafixionで再びサージェントと手を組み、セルフ・タイトルのアルバムをリリースするも単発で終わる。
1997年 『Evergreen』全英8位。マッカロクとサージェントはパティスンと一緒にエコー&ザ・バニーメンを再始動させた。(3人が集うのは5th以来10年ぶり)アルバムは批評家に熱狂的に支持され、シングル“Nothing Lasts Forever”はイギリスでトップ10に入った。
1999年8th 『What Are You Going to Do with Your Life? 』全英21位。パティスンが2度目の脱退(家庭の事情による脱退で、仲違いしたわけではない)をしたが、マッカロクとサージェントは新たにメンバーを加え活動を続ける。
2001年 9th『Flowers」 全英56位
2005年 10th『Siberia』全英83位
2009年11th 『The Fountain』 全英63位
2014年 12th『Meteorites』全英37位、全米138位
2019年 『 JOHN PEEL SESSIONS1979~1983』(スタジオ・ライブ・コンピレーション)リリース
1987年、5thアルバム『エコー&ザ・バニーメン』をリリース後、ヴォーカルのイアン・マッカロクはグループを脱退。89年に1stソロ・アルバム『キャンドル・ランド』を発表。(同年、バニーメンのドラマー、ピート・デ・フレイタスはバイク事故により亡くなっている) 92年にセカンド・アルバム『ミステリオ』をリリース。
レスとウィルはエコー&ザ・バニーメンの名を引き継ぎ90年にアルバム「リヴァーべレイション』を発表したが、この作品は酷評される結果となった。
その後和解したイアンとウィルは新バンド、エレクトラフィクションを結成、95年にアルバム『バーンド』を発表するもヒットには至らず。
イアンとウィルはレスを呼び寄せ、97年ついにリリースされたのが本作『EVERGREEN』である。
『EVERGREEN』
Track List
1 DON’T LET IT GET YOU DOWN 、2 IN MY TIME 、3 I WANT TO BE THERE (WHEN YOU COME)、4 EVERGREEN 、5 I’LL FLY TONIGHT 、6 NOTHING LASTS FOREVER 、7 BASEBALL BILL、8 ALTAMONT 、9 JUST A TOUCH AWAY 、10 EMPIRE STATE HALO、11 TOO YOUNG TO KNEEL 、12 FORGIVEN
爽やかなロング・トーンのウィルのギターが印象的なミディアム “DON’T LET IT GET YOU DOWN “がオープニング・ナンバー。新生バニーメンの第一声である。下から支える安定感のあるレスのベース、何よりリラックスしたイアンのヴォーカルがとても心地良い。 なお、本作ではマイケル・リーなる人物がドラムを務めている。
続くこれぞリヴァプール・サウンド!なイントロの “IN MY TIME”。この曲もミディアムで、要所にヴァイブラフォンやストリングスが適度に散りばめてあり、ウィルのギター(12弦か?)との絡みも功を奏している。 サビのモータウン風のリズムもカッコいい。
“I WANT TO BE THERE (WHEN YOU COME) “はストレートなロッキン・チューン。アルバム中1番アッパーなナンバーで、メンバー全員が溌剌として、とにかく瑞々しく響く。
アルバムのタイトルにもなっている“EVERGREEN “。ウィルの浮遊感漂うサイケデリックなギターが印象的な16ビート。リズム隊の力強さに耳を奪われる。
“I’LL FLY TONIGHT “はレスのシンプルなベース・ラインと小技の冴えるウィルのギターが対照的な好トラック。サビ部分のイアンの伸びやかなヴォーカルが素晴らしい。
アコースティック・ギターで始まる”NOTHING LASTS FOREVER ” は、感動的なバラード。本作前半の白眉となる屈指の名曲である。この曲にはオアシスのリアム・ギャラガーがコーラスとタンバリンで参加し華を添えている。
キャッチーなナンバーの “BASEBALL BILL”。時に軽快に、時にエモーショナルにイアンは歌っている。エッジの立ったウィルのギターも良い。
フォーキーなタッチのダンス・チューン “ALTAMONT” 。縦横無尽のウィルのギターが堪能出来る1曲。
“JUST A TOUCH AWAY “ はマイナーコードのAメロとメジャーコードのBメロとの対比が鮮やかな、スローな1曲。この曲ではウィルのギターはやや控えめで、代わりにピアノと、全体を包み込むような柔らかなストリングスが効いている。
続く “EMPIRE STATE HALO” もスローな聴かせるナンバー。マイナー調の曲だが、地に足の付いた、力強さを感じる曲である。
“TOO YOUNG TO KNEEL” もウィル得意のツヤがありよく伸びるギターが印象的な1曲。
クロージングの ” FORGIVEN” も、切々と歌うイアンの声が心に沁み入るスロー・ナンバーで、派手さは無いものの “NOTHING LASTS FOREVER ” と並ぶ名曲である。
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。