THE LIBERTINES/ANTHEMS FOR DOOMED YOUTH(ザ・リバティーンズ/アンセムズ・フォー・ドゥームド・ユース) Vinyl Diary
『ANTHEMS FOR DOOMED YOUTH』『Anthems For Doomed Youth』は2015年にリリースされたTHE LIBERTINESの3ndアルバムである。
Peter Doherty(ピーター・ドハーティ):1979年3月12日生まれ、英・ノーサンバーランド出身のミュージシャン。陸軍士官の父の影響で欧州各地の駐屯地で育つ。大学中退後はロンドンへ移り、ザ・リバティーンズを結成。2002年のデビュー・アルバムで一躍スターダムへのし上がり、商業的成功を収める。度重なるドラッグ中毒やスキャンダルによるトラブル・メーカーでもある。モデルや俳優、執筆活動など多岐に渡って才能を発揮。
THE LIBERTINESは、Pete Doherty : ヴォーカル、ギターCarl Barât : ヴォーカル、ギターJohn Hassall : ベースGary Powell : ドラムスの4人。ガレージ・ロック・リバイバル・ムーブメントにおけるバンドの1つ。バンドの中心人物、作詞・作曲を共同で行っていたカール・バラーとピート・ドハーティは当初は目立った成功を収められずにいたが、2000年代前半からしだいに注目を集め、2002年デビュー・アルバム『Up The Bracket』(リバティーンズ宣言)をリリース。ついにはイギリスチャートでアルバム1位、シングル2位を獲得するバンドとなった。2004年12月にリリースされた2ndアルバム『The Libertines』(リバティーンズ革命)ではNME年間ベストアルバムで2位に選ばれた。成功の一方で、バンド内部ではドハーティのドラッグ中毒を原因とするトラブルが絶えず、結果的にこれが2004年の解散につながった。断続的に再結成〜フェス出演などを繰り返し2015年9月、3rdアルバム『Anthems for Doomed Youth』をリリース。現在までに3枚のスタジオ・アルバムをリリースしている。
『ANTHEMS FOR DOOMED YOUTH』
A:1.BARBARIANS、2.GUNGA DIN、3.FAME AND FORTUNE、4.ANTHEMS FOR DOOMED YOUTH、5.YOU’RE MY WATERLOO、6.BELLY ON THE BEST
B:7.ICEMAN、8.HEART OF THE MATTER、9.FURY OF CHONBURI、10.THE MILKMAN’S HORSE、11.GLASGOW COMA SCALE BLUES、12.DEAD FOR LOVE
1.BARBARIANSはギター・ポップ風味のミディアム・チューン。ドハーティーとバラーのツイン・ヴォーカルのリバ節全開の1曲。2.GUNGA DINはレゲエ・ミーツ・ロックンロールな1曲。本作は全曲バラー/ドハーティーの共作だが、この曲だけはメンバー4人+ピーター・ウルフがクレジットされている。3.FAME AND FORTUNEはブリッジでワルツになるというアレンジで聴かせる凝った作りのマイナーのポップ・チューン。タイトル曲、4.ANTHEMS FOR DOOMED YOUTH、はこれぞリバティーンズ!なメロディアスなバラード。5.YOU’RE MY WATERLOOはバラーの弾くピアノが印象的なポエティックなスロー・ナンバー。ドハーティーのヴォーカルも良い。A面ラスト、6.BELLY ON THE BESTは軽快なロックンロール。ブイブイ唸るハッサールのベースがカッコいい。
B面1曲目、7.ICEMANはアコースティック・ギターが前面に出たフォーキーな仕上がり。バラーとドハーティーのハモりもしっかり作り込まれている。初期の頃の瑞々しさを取り戻したような、8.HEART OF THE MATTERはリズム隊のグルーブも心地良いロックンロール。9.FURY OF CHONBURI、は2人の激しいヴォーカルが楽しめるパンク・チューン。この曲もハモりりが美しい10.THE MILKMAN’S HORSE。本作ではコーラスのメロディも作り込まれ、メンバーも丁寧に歌っている印象が強い。11.GLASGOW COMA SCALE BLUESはスケールの大きな16ビートのロッキン・チューン。アルバムラスト、スロー・ナンバーの12.DEAD FOR LOVEは、打ち込みのようなリズム・トラックとストリングス・アレンジが美しい。この曲でもバラーのピアノが聴ける。
これまでのレコーディングでは、録音ソースが足りないにも関わらず、中途半端なまま強引に仕上げられた曲も結構多いリバティーンズであるが、(ドハーティーのいい加減さとプロデューサーのミック・ジョーンズの優しさで)ここでは勢いだけではない、以前よりも成熟した演奏が聴ける(不安定さが魅力のバンドなので、あまり上手くなり過ぎないで欲しいと個人的には思うのだが)それはプロデューサー、ジェイク・ゴスリングの手腕だろう。ソング・ライティングのセンスはやはり際立ったものがある。12曲全て良い曲ばかり。このアルバムをリリースした後は、さつぱり目立った活動のないリバティーンズである。
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。