ECHO & THE BUNNYMEN/PORCUPINE(エコー&ザ・バニーメン/やまあらし) Vinyl Diary
『PORCUPINE』1983年発売、ゴールドアルバムに認定されたエコー&ザ・バニーメンの3rdアルバム
エコー&ザ・バニーメン
イアン・マッカロク – ヴォーカル、ギター
ブルージーで粘りがありエモーショナルな声、表現力。伸びのある太い声は時々ホーンのように聴こえたりする。公言する影響を受けたミュージシャン、アーティストはジム・モリソン、ヴェルヴェッツ、デビッド・ボウイ、レナード・コーエンなど。ロンドンよりもニューヨーク・パンク(テレヴィジョン、パティ・スミス他)からの影響が強いそうだ。
ウィル・サージェント – ギター
リバーブなど空間系のエフェクターを巧みに操るギタリスト。フェンダー、グレッチ系の粒立ちの良いギターの音色と攻撃的なハイ・テンションのキレの良いカッティングが持ち味。現在もイアンと共に活動を続けている。
レス・パティスン – ベース
竹を割ったような正確なフレージング、ベースだけでも曲を引っ張れるような個性的かつ立体的なベース・リフが作れる職人。解散した後の復活1作目には参加したが、その後は家庭の事情により不参加(メンバーとの不和ではない)
ビート・デイ・フレイタス – ドラムス
メンバー募集により最後にバンドに加入したドラマー(ピート加入までバンドは生ドラムの代わりにドラムマシンを代用していた、ピートが加入した当初はマシンを使っていたバニーメンを支持する声もあったらしい)セルフタイトルの5作目「ECHO & THE BUNNYMEN」を完成させた後、バイク事故により死亡。
ビートルズを産んだリヴァプール出身のバンドである。
アルバム・ディスコグラフィー
1980年 1st『CROCODILES』 全英17位。評論家の称賛を受け、イギリスでトップ20入りを果たす
1981年 2nd 『HEAVEN UP HERE』全英10位、全米184位。イギリスのアルバムチャートで10位に達し、NME紙の読者人気投票で年間ベスト・アルバムに選ばれた
1983年 3rd『PORCUPINE』全英2位、全米137位。先行シングルの“The Cutter”がイギリストップ10に入り、満を持して発表されたアルバムは英チャート2位にまで上り詰める
1984年4th 『OCEAN RAIN』全英4位、全米87位。“Killing Moon”、“Silver”、“Seven Seas”などのヒット曲が生み出された。また、同年4月には初来日も果たした
1985年 『SONGS TO LEARN & SING』(シングルを集めたコンピレーション・アルバム)リリース
1987年 5th『ECHO & THE BUNNYMEN』全英4位、全米51位
1988年 『NEW LIVE AND RARE/まぼろしの世界』(12”+LIVEレア・トラック集)リリース
イアンは『Echo & the Bunnymen』を最後にソロアーティストに転身するため脱退。ドラムのピート・ディ・フレイタスが交通事故により他界する
1990年 6th『Reverberation』全英19位
残されたメンバーのサージェントとパティスンは、リードシンガーとしてノエル・バークを、ドラマーとしてデイモン・リースを、キーボーディストとしてジェイク・ブロックマンを参加させ活動を継続。新体制で『Reverberation』をリリースしたが評論家には酷評され、マッカロクからも「Echo & the Bogusmen (偽者ども)」と揶揄される。商業的にも失敗に終わり、バンドは1993年5月に解散した。
1994年 二枚のソロアルバムを発表した後、マッカロクは新プロジェクトElectrafixionで再びサージェントと手を組み、セルフ・タイトルのアルバムをリリースするも単発で終わる。
1997年 『Evergreen』全英8位。マッカロクとサージェントはパティスンと一緒にエコー&ザ・バニーメンを再始動させた。(3人が集うのは5th以来10年ぶり)アルバムは批評家に熱狂的に支持され、シングル“Nothing Lasts Forever”はイギリスでトップ10に入った。
1999年8th 『What Are You Going to Do with Your Life? 』全英21位。パティスンが2度目の脱退(家庭の事情による脱退で、仲違いしたわけではない)をしたが、マッカロクとサージェントは新たにメンバーを加え活動を続ける。
2001年 9th『Flowers」 全英56位
2005年 10th『Siberia』全英83位
2009年11th 『The Fountain』 全英63位
2014年 12th『Meteorites』全英37位、全米138位
2019年 『 JOHN PEEL SESSIONS1979~1983』(スタジオ・ライブ・コンピレーション)リリース
『PORCUPINE』
Track List
A1.The Cutter 、2.Back Of Love 、3.My White Devil 、4.Clay 、5.Porcupine
B1.Heads Will Roll 、2.Ripeness 、3.Higher Hell 、4.Gods Will Be Gods 、5.In Bluer Skies
1980年、衝撃的な1st『CROCODILES』でデビュー。1981年、評論家に絶賛された2nd『HEAVEN UP HERE』を発表した後、満を辞して発売された3rdアルバム( Ian Broudieプロデュース)が本作。このアルバムは彼らの作品の中でも1番アップ・テンポでコマーシャルで(内に向かうよりも)外に開かれた作品。今聴いても、エモーショナルな瑞々しさに溢れている傑作。1曲1曲キャラが立っていて、かつ捨て曲なし、バニーメンを初めて聴く人にとっては1番入りやすい作品だと思う。全英No.8シングル「The Cutter」を生み出したこのアルバムは、全英でゴールド・アルバムに認定されただけでなく、バンド最高位となる全英アルバム・チャートの2位も獲得。彼らの代表作として広く認識されるアルバムとなった。
Side A
A-1 The Cutter オリエンタルな摩訶不思議な音色のイントロから始まるダンサブルな曲。このアルバムから2枚目のシングルとしてリリースされた。この曲とA-2はライブでも頻繁にプレイされていた。A-2 Back Of Love 一気に沸点に達する激アツなエモーショナル・ナンバー。粘りつくようなイアンのヴォーカルが鬼気迫る雰囲気。アルバム発売前に最初のシングルとしてリリースされた。A-3 My White Devil一転してヒンヤリとした、アルバム・ジャケットにイメージがピッタリの曲。間奏にマリンバ(?)のソロが入り、また新境地を開いたといえる。A-4 Clayハイテンポなダンス・ナンバー。ウィルのリバーブの効いたアヴァンギャルドなギターがカッコいい。クールな演奏に熱いイアンのヴォーカル。こういう不思議な整合感の曲が多いのはバニーメンの一つの特徴といえる。A-5 Porcupine実験的な音を背後に散りばめたスローナンバー。ここでの呪術的なイアンのヴォーカルは、ジム・モリソンを彷彿とさせる。ストリングスが後半に入り、ドラマティックでアレンジも秀逸。
Side B
B-1 Heads Will RollブルージーなAメロとカラッとしたサビのメロディを併せ持つロック・チューン。オリエンタルなフレーズとウィルのギターのカッティングが攻撃的。B-2 Ripeness ゴリゴリしたレスのベース・リフが印象的なナンバー。バッキングのコード・カッティングがハイ・ボルテージ。後半はイアンによるヴォーカルの掛け合いでエンディングを迎える。B-3 Higher Hell イアンのダブル・トラックのヴォーカルとウィルの弾くシンプルなギターのメロディが印象的なスローな曲。B-4 Gods Will Be Godsレスの耳にこびりつくベース・リフと凝ったアレンジが冴え渡る。B-5 n Bluer Skiesハンドクラップとシーケンサー(?)のリズムをバックにした浮遊感漂う曲。因みにバニーメンはピートが加入するまではドラムマシンを使用していた。その頃の音源は「JOHN・PEEL・SESSIONS」で聴ける。
傑作4th 『OCEAN RAIN』に続く。
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。