TELEVISION/THE BLOW UP (テレヴィジョン/ブロウ・アップ)

THE BLOW UPはTELEVISIONが78年3月20日、ニューヨークMy Father’s Placeで行なったライヴ盤(1982年発売)である。
TELEVISION(テレビジョン)はTom Verlaine ; Guitar, Vocals、 RichardLloyd;Guitar,BackingVocals、Billy Ficca ; Drums、Fred Smith ; Bass, Backing Vocalsの4人。
ヒストリー:1971年、トム・ヴァーレイン、リチャード・ヘル(ベース、のちにハートブレイカーズ、ヴォイドイズ)、ビリー・フィッカの3人は、テレヴィジョンの前身ネオンボーイズを結成するものの、すぐに解散。バラバラになっていたが74年初頭に再結集、ギタリスト、リチャード・ロイドを加えて4人組となる。CBGBやマクシズ・カンサス・シティなどのライブハウスで腕を磨いた彼らは、ローワー・イーストサイドで絶大な人気を得る。ヘルの脱退後、ブロンディーに在籍していたフレッド・スミスが加入し、全盛期のメンバーが出揃う。以下はデビューから2ndアルバムをリリース後、解散するまでの経緯。
1975年「Little Johnny Jewel 」をインディーズのオーク・レコードから発表。(当時としては破格の1万枚以上売れたとのこと)。その後ニューヨーク滞在中のブライアン・イーノにより数曲レコーディングが行われるが、未発に終わる(この音源は後に海賊盤「Double Exposure』として流出する、これも名盤)
1976年DOORSドアーズが所属していたという理由からエレクトラと契約。
1977年2月1stアルバム『 Marquee Moon』発表。7月シングル「Prove It / Venus 」発表。
1978年4月、2ndアルバム 『Adventure』 、シングル「Foxhole / Careful」発表。7月シングル「Glory / Ain’t That Nothin’ 」発表。
1978年8月、ニューヨークで行われた6日間のライブの後、呆気なく解散。
1982年ライブ・アルバム 『The Blow Up』 リリース。
1992年、14年ぶりに再結成され、オリジナルアルバムとしては3作目の『Television』を発表、同時に再結成ライブも行なった。 同年、ライブ・アルバム『Live at the Academy』リリース。
1993年に再び活動を休止するも、2001年再々結成。
2003年、ライブ・アルバム 『Live at the Old Waldorf』 リリース。
2007年6月16日、ギターのリチャード・ロイドが脱退。その後テレヴィジョンは、ヴァーレインのソロに参加していたジミー・リップをメンバーに迎えて活動を継続中。
『THE BLOW UP』
Track List
A-1 The Blow-Up 4:00、2 See No Evil 3:22、3 Prove It 5:00、4 Elevation 4:50、5 I Don’t Care 3:04
B-1 Venus de Milo 3:31、2 Foxhole 5:04、3 Ain’t That Nothin’ 6:14、4 Knockin’ on Heaven’s Door (Dylan) 7:50
C-1 Little Johnny Jewel 14:56、 2 Friction 5:01、
D-1 Marquee Moon Verlaine (14:45)、 2 (I Can’t Get No) Satisfaction (Jagger, Richards) 7:18
オシャレなカラービニール↑
本作はテレヴィジョンが78年3月20日、2ndアルバム発売直前の、ニューヨークMy Father’s Placeで行なったライヴ。選曲はトム・ヴァーレイン自身が行っている。オリジナルは米国カセット専門レーベルROIRから82年に発表されたもので、今回紹介しているのはそのアナログ盤2枚組。
A-2.3.4.B-1.C-1 D-1が1stアルバムから。A-5.B-2.3が(この後発売になる)2ndアルバムからの選曲。カバー曲は3曲。A-1「The Blow-Up」は13th Floor Elevators(エコー&ザ・バニーメンのギタリスト、ウィル・サージェントもリスペクトしているバンドらしい)の「Fire Engine」の改題カヴァー。B-4「Knockin’ on Heaven’s Door」はボブ・ディラン、ラストD-2「(I Can’t Get No) Satisfaction」はローリング・ストーンズの曲。
全体的にスタジオ・アルバムと趣きが異なり、かなりパンキッシュな印象を受ける。A-2 See No Evilのあの官能的なイントロが始まるとやはり、感極まってしまう。強固なアンサンブルが聞き応えありのA-3Prove It。次作に収録されるB-2 Foxhole.3 Ain’t That Nothin’ はこの時点で完全に完成された演奏で、ギターの絡みが文句なく素晴らしい。C-1Little Johnny Jewelは混沌とした感じのオリジナルと比べると、ここでの演奏は、長尺のギターソロも飽きさせない、かなりダンサブルでエモーショナルなプレイ。C-2Frictionはエコー&ザ・バニーメンもカバーした名曲。アルバムラストの D-4Satisfactionは本家ですら、こんな演奏をしているのを聴いたことがないほど、リチャード・ロイドの原曲に忠実なギターのバッキングにギター愛、ロック愛が感じられてとても好感が持てる。70年代も終わろうとしているニューヨークが産んだ全13曲の傑作ライブである。