IGGY POP/TV EYE : 1977 LIVE(イギー・ポップ/TVアイ1977ライブ) Vinyl Diary
『TV EYE : 1977 LIVE』
ストゥージズ時代
1968年10月8日、MC5とともにエレクトラ・レコードとレコードリリース契約を締結。
1969年8月5日、デビュー・アルバム『IGGY POP & THE STOOGES』がリリースされる。プロデューサーはTHE VELVET UNDERGROUNDを辞めたばかりのJohn Cale。
1970年7月7日2ndアルバム『 FUN HOUSE』リリース。一部の批評家には絶賛されるも商業的にはふるわず。
1973年2月「IGGY& THE STOOGES」名義でアルバム『RAW POWER」リリース。このアルバムも商業的な成功を手にすることは出来ず後に解散する。
TV EYE : 1977 LIVE』
Track List
A1.T.V. Eye 、2.Funtime 、3.Sixteen 、4.I Got A Right、 5.Lust For Life 、6.Dirt 、7.Nightclubbing 、8.I Wanna Be Your Dog
ポップは1977年にDavid Bowieのプロデュースで『THE IDIOT』『LUST FOR LIFE』のアルバム2枚をリリース、商業面、批評面の両面で高い成果を挙げた。しかし、所属のRCAレコードはアメリカで熱心なプロモーションをしてくれなかったことに不満を募らせていた。RCAとは3枚のアルバムを制作するという契約であったが、2枚のアルバムリリースに伴うツアーの音源でライブ・アルバムを作ることで「3枚目のアルバム」とすることを決めRCAレコードに申請、制作に取り掛かった。
本作のライブ音源は、『THE IDIOT』ツアー及び『LUST FOR LIFE』ツアーでサウンドボード録音されたものが使用されているが、ポップ自身も本作を「RCAレコードとの契約を終わらせるために制作した作品」であり、急ごしらえであるために完成度が低いことを認めている
ミュージシャンは以下のように会場によって異なっている。
収録曲中 1, 2, 6, 8(アゴラ・シアター・アンド・ボールルーム)の参加メンバー
イギー・ポップ – ヴォーカル、デヴィッド・ボウイ – ピアノ, シンセサイザー、リッキー・ガードナー – ギター、トニー・セイルズ – ベース、ハント・セイルズ – ドラムス
収録曲中 3, 4, 5, 7(アップタウン・シアター)の参加メンバー
イギー・ポップ – ヴォーカル、ステイシー・ヘイドン – ギター、スコット・サーストン – ギター, ピアノ, ハーモニカ, シンセサイザー、トニー・セイルズ – ベース、ハント・セイルズ – ドラムス
1.6がストゥージズ時代のアルバム『 FUN HOUSE』、2.7が1stソロアルバム『THE IDIOT』、3.5が2ndソロアルバム『LUST FOR LIFE』、8はストゥージズ時代の3作目『IGGY POP & THE STOOGES』からの選曲。
全体的に若干、音がモコモコしているが、ブートレグレベルと言われるほどの酷さではない。前面に出ているポップのヴォーカルは精気に満ちて勢いがあり素晴らしい。逆にボウイのキーボード、コーラスは意外にも控えめだが、この人が加わると音が立体的でカラフルになる。また全編通して、トニー・セイルズの歌心にあふれた安定感のあるベースが非常に良い。
獣のようなポップの雄叫びとともにA1.T.V. Eye で幕開け。(強靭なリズム隊のセイルズ兄弟はボウイのTIN MACHINEでも貢献した2人) ギターとベースのユニゾンが実に気持ちのい良いオープニング・ナンバー。精気に満ちたポップとボウイのツイン・ヴォーカルが楽しめる2.Funtime はギターが前面に出てスタジオ・ヴァージョンよりもラウドな演奏。3.Sixteen はスタジオ・ヴァージョンに比べて、リズムがかなり重ためでそれが功を奏し、ポップ流ブルースといった雰囲気に仕上がって、新たな側面を見せている。4.I Got A Right、はラウドなツイン・ギターが原曲のメタリックな荒々しさを踏襲していて好感が持てるし、ポップも軽快に歌っている。ややテンポが速く、スコット・サーストンのハーモニカで新しい味付けがされた感のある5.Lust For Life はパンク・ミーツ・モータウンな仕上がり、この混沌としたライブ・トラックではトニー・セイルズの安定したベースがその骨格を引き締めている。またボウイのコーラスもポップを引き立てている。ともすれば色彩のない、モノトーンなイメージの6.Dirt だがこのライブでは、鍵盤とギターで新たな色彩が加わりカラフルなナンバーに仕上がった。ディスコ・ミュージックっぽい7.Nightclubbing は、インダストリアルなドラムの響きとスライド・ギターが加わり、これまたヘビーなブルースに様変わりしていてカッコいい。変わらぬカッコ良さで聴かせるパンク・クラシック、8.I Wanna Be Your Dogまで、一気に聴かせる怒涛の36分。表現力を増したポップのヴォーカルが存分に堪能できるライブ・アルバムである。
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。