BUZZ & THE FLYERS (バズ&ザ・フライヤーズ) Vinyl Diary
『BUZZ & THE FLYERS』ネオ・ロカビリーの先陣を切った伝説のバンドの1981年の1stアルバム
Track List
A1,Little Pig、2,You Crazy Gal You 、3,Let’s Bob、4,Go Cat Wild、5,Dance The Bob、6,Everybody’s Movin’
B1,My Baby Can’t Be Satisfied、2, Every Walk Of Life、3,New Girl Friend、4,More Like Love 5,Boomerang、 6,Kiss The Girls
Personnel
Buzz Wayne – vo,rhythm gtMichael.Gene – lead gt、R.E. Landou – ba、Rock Roll – ds
except for Side 1 tracks1.2&3 Pete Morgan
Side 1 tracks1.2&3 Produced by Syl Sylvain
80年代初頭にイギリスに端を発してブームとなったネオ・ロカビリー。その中で、先頭を走り他のバンドに多大な影響を与えながらもこのアルバム1枚で伝説になったのがバズ&ザ・フライヤーズである。
東海岸をベースに活動して人気を確立。80年に元ニューヨークドールズの Sylvain Sylvain(シルベイン・シルベイン!)がプロデュースした3曲入りEPをSing Singレーベルからリリース。そして翌81年、本作でアルバムデビューした。ロカッツがカバーしたことで有名な A4,Go Cat Wildはこのバズ&ザ・フライヤーズがオリジナルである。またポールキャッツも数曲、このアルバムの曲をカバーしている。
STRAY CATS(ストレイキャッツ)がイギリスに渡って成功したのは有名な話だが、そのイギリスにも彼らは早々と渡っており、ポールキャッツ、ストレイキャッツがバズ&ザ・フライヤーズの前座を務めることもあったようだ。また逸話があり、初期ストレイキャッツではブライアンの弟ゲイリー・セッツァーがドラム叩いていた時期があり、そのころ既にバズ&ザ・フライヤーズはスタンディング・ドラムを取り入れていて、それを見たセッツァーが真似し、それを踏襲する形でスリム・ジム・ファントムもスタンディング・ドラムになったらしい。
音の特徴は、ストレイキャッツやロカッツは、ギンギンのギターと深いリバーブ、派手な音と巧みな仕掛けがあって、一聴して単純にカッコ良いと思える。一方バズ&ザ・フライヤーズは、ハイ・テンポでパンキッシュな曲はあるものの、音作りはもっとオーガニックなピュアロカに近く、案外地味に聴こえたりする。ところが、繰り返し聴いていくとジワジワとこのグルービーな音がクセになってくる。他のネオ・ロカ・バンドに比べてギターがあまりギラギラしておらず、メンバー4人の音がバランスよく均等に聴こえてくるミックスがなされている。バズ・ウェインのボーカルはヒーカップも使うが、他のネオ・ロカ・シンガーと比べるともっと粘りと瞬発力、ブルースマンのような独特なグルーブを備えている。
アルバム全12曲、捨て曲なしで(本当に粒揃いに良い曲ばかり!)ラストまで一気に聴かせるロックンロールアルバムである。
Side Aウェインによるダブル・トラックのヴォーカルで聴かせるオープニング・ナンバーA1,Little Pig。ミディアム・チューンの2,You Cracy Gal Yoはギターのプルージーなコードワークとグルービーな演奏が聴きどころ。ハイ・テンポな3,Let’s Bopはシンプルな曲ながらも凝ったコーラスやハンズ・クラップを盛り込んでパンキッシュで実に魅力的なロッキン・チューン。4,Go Cat Wildはアップ・テンポでウェインのエモーショナルなヴォーカルといいバンドの一体感、疾走感といい文句なしのロックンロール。3〜4の流れはA面の白眉。続く2曲5,Dance The Bopと6,Everybody’s Movin’はどちらも小粋でダンディーなウェインのヴォーカルが楽しめる。
Side B3コードでありながらジャズっぽいテイストも感じる耳に残るギター・リフが印象的なB1,My Baby Can’t Be Satisfie。僕はこの曲のギターリフがストレイ・キャッツのラナウェイボーイの元ネタではないかと思っている。初期のビートルズを感じさせる2, Every Walk Of Lifeはウェインの弾くザラザラしたリズム・ギターが良い。3,New Girl Friend、韻を踏んだ早口の歌詞がアップテンポな曲調に実に良くハマっている。ウッドベースのスラップ音が気持ち良い。シンコペートしたリズムがキレキレの4,More Like Love 。指弾きならではのニュアンスが楽しめるギターが良い。パンキッシュな高速ビートの5,Boomerangはウェインのソウルフルなヴォーカルが楽しめる。6,Kiss The Girlsはアルバム最後を飾るミディアム・テンポのクロージング・ナンバー。
1曲3分にも満たない歌の中にロックンロールの全てのエッセンスが注ぎ込まれている。グルーブのある曲とパンキッシュな曲の緩急がこのアルバムを聴き飽きないアルバムたらしめている。
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。