DR.FEELGOOD /MALPRACTICE ( ドクター・フィールグッド/不正療法) Vinyl Diary
『MALPRACTICE』『MALPRACTICE』はDr. Feelgoodの2ndアルバム、’76年2月にリリースされた
ドクター・フィールグッド(Dr. Feelgood)は、イギリスのロックバンド。1970年代初頭からパブロックシーンを牽引し、パンク・ロックへの橋渡しをした重要なバンドである。
DR.FEELGOOD
Dr. Feelgood : Lee Brilleaux – guitar, harmonica, lead vocals、Wilko Johnson – guitar, backing vocals、The Big Figure – drums、John B. Sparks – bass
1971年にウィルコ・ジョンソン、リー・ブリロー、ジョン・B・スパークス、ビッグ・フィガーでドクター・フィールグッドが結成される。粗野で卑猥かつクレイジーな彼らのステージパフォーマンスはパンク・ロック前夜の若者を魅了、1975年、アルバム『 Down By The Jetty 』でメジャー・デビュー。’76年、セカンド・アルバム『 Malpractice~不正療法』』をリリース。同年、ライブ・アルバム『Stupidity ~殺人病棟』が全英チャートで1位を獲得する。大成功を収めたものの、バンド内での不和が悪化し、4作目の『Sneakin’ Suspicion』完成と同時に1977年ウィルコは脱退。第一期のドクター・フィールグッドは終わりを告げる。
ウィルコ・ジョンソン(Wilko Johnson、1947年7月12日 )は、イングランドのギタリスト、ソングライター、ボーカリスト。ドクター・フィールグッドのオリジナル・メンバー。エセックス州、キャンベイ・アイランド出身。フィンガー・ピッキングとカール・コードがトレード・マークのギタリスト。大学卒業後、、教師をしながらドクター・フィールグッドに参加する(後にロックバンドに在籍している教師は教育上好ましくないということで教師をクビになってしまった)。
ドクター・フィールグッド脱退後もジョンソンは、ソリッドセンダース、ウィルコ・ジョンソン・バンド、またイアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズ IAN DURY & THE BLOCKHEADSのアルバム『ラーフター』、ジョニー・サンダース『ケ・セラ・セラ』JOHNNY THUNDERS /QUE SERA SERA( RESURECTED) へ参加するなど活動は多岐に渡る。頻繁に来日しており、親日家としても知られていた。2022年11月21日、自宅にて逝去。享年75歳。
『MALPRACTICE』
Track list
SIDE A
1,I CAN TELL 2,GOING BACK HOME 3,BACK IN THE NIGHT 4,ANOTHER MAN , 5ROLLING AND TUMBLING , 6DON’T LET YOUR DADDY KNOW
SIDE B
1,WATCH YOUR STEP , 2,DON’T YOU JUST KNOW IT , 3,RIOT IN CELL BLOCK #9 , 4,BECAUSE YOUR MINE , 5,YOU SHOULDN’T CALL THE DOCTOR(If You Can’t Afford The Bill,
Personnel
Lee Brilleaux – slide guitar, harmonica, lead vocals、Wilko Johnson – guitar, backing vocals、The Big Figure – drums、John B. Sparks – bass、Bob Andrews – piano, keyboards, saxophone
前作からのインターバルが約半年という短いスパンで、曲作りをする時間が足りなかったのだろうか、オリジナルとカバーが半分ずつという構成になっている。また前作のモノラル録音に対して、本作はステレオでの録音。勢いのある1stに比べ、この2ndはいくぶん落ち着いた印象で、疾走感は残しつつ、よりじっくり聴き込める内容となっている。
SIDE A
1,I CAN TELL
アルバム・オープニングを飾るのはボー・ディドリーのオリジナル。フィールグッドはジョニー・キッド&パイレーツのヴァージョンをベースにしているようだ。切れ味鋭いR&B。ドスの効いたブリローの声も健在。因みにジョニー・サンダースもキャリアの後半でこの曲をたびたび取り上げていた。
2,GOING BACK HOME
パイレーツのミック・グリーンとウィルコ・ジョンソンの共作のブギー調のナンバー。ノリ一発といった感じのブリローの長尺ハープが気持ち良い。ジョンソンのギターはまるで2人いるかのように聴こえる。
3,BACK IN THE NIGHT
ウィルコ・ジョンソン作、8ビートのミディアム・チューン。スライド・ギターはブリロー。ブリローとジョンソンのコーラス・ワークも聴きもの。
4,ANOTHER MAN
ウィルコ・ジョンソン作。これぞウィルコ!なバッキバキのバッキング・ギターが楽しめる。コミカルな曲調でこの曲でもコーラス・ワークが丁寧だ。ギター・ソロも秀逸で、コード感を残しつつ鋭さと滑らかさを取り入れたテクニックは流石である。
5,ROLLING AND TUMBLING
マディ・ウォーターズのオリジナル。スライド・ギターはブリロー。元曲の軽くハネたリズムをフィールグッドはイーブンな重めのビートでプレーしている。ブリローのヴォーカルとジョンソンのギターの交互の掛け合いがカッコいい。
6,DON’T LET YOUR DADDY KNOW
ウィルコ・ジョンソン作。ヴォーカルはウィルコ・ジョンソン。この曲ではジョンソンのヴォーカルとブリローのハープの掛け合いが楽しめる、リラックスした雰囲気の曲。
SIDE B
1,WATCH YOUR STEP
オリジナルはロバート・パーカー。フィールグッドは比較的元曲の持ち味を壊さずプレーしている。余談だかこの曲はビートルズの“I FEEL FINE”の元ネタでもある。
2,DON’T YOU JUST KNOW IT
ヒューイ・ピアノ・スミスのオリジナル。元曲はピアノと管が主体のコミカルなナンバー。これをフィールグッドは大胆なギター・ロックに仕上げている。元曲同様楽しい仕上がり。
3,RIOT IN CELL BLOCK #9
コースターズのカバー。ジャズっぽさも感じるムーディーな元曲をフィールグッドはヘビーでタフななブルースに料理している。こういった選曲にバンドの守備範囲の広さを知ることが出来る。
4,BECAUSE YOUR MINE
ベースのジョン・Bとニック・ロウ、ウィルコ・ジョンソンの共作。いわゆる王道の3コードのブルースをフォーマットとしたナンバーだが、リズムのアプローチが面白く、バンドの懐の深さを感じる。ニック・ロウが曲作りのどの辺りに貢献したのかが気になる。
5,YOU SHOULDN’T CALL THE DOCTOR(If You Can’t Afford The Bills)
アルバム・ラストを飾るクロージング・ナンバーはウィルコ・ジョンソン作。フィールグッドらしい8ビート。この曲でのピアノはボブ・アンドリュース(彼はDON’T YOU JUST KNOW IT でもピアノを担当している)プリローがダブル・トラックで勢いよく歌っている。
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ他)絵画に興味ある方はご覧ください。