THE BLACK CROWES/AMORICA (ブラック・クロウズ/アモリカ) Vinyl Diary
『AMORICA』『AMORICA』はTHE BLACK CROWESが1994年にリリースした3rdアルバム。全米最高位11位、全英最高位8位を記録した。
Discography
1992年 「The Southern Harmony And Musical Companion』
1994年 『Amorica』
1996年『Three Snakes & One Charm』
1999年『By Your Side』
2000年『Greatest Hits 1990-1999: Tribute Work in Progress』ベスト盤
2001年『Lions』
2008年『Warpaint』
2009年『Before the Frost…』
2009年「Until The Freeze』
2010年『Croweology』
2022年『1972 (EP)』
『AMORICA』
Track List
- A1.Gone、A2.A Conspiracy、A3.High Head Blues、B1.Cursed Diamond、B2.Nonfiction、B3.She Gave Good Sunflower
C1.P.25 London、C2.Ballad in Urgency、C3.Wiser Time、D1.Downtown Money Waster、D2.Descending
Personnel
The Black Crowes : Chris Robinson – vocals, harmonica、Rich Robinson – guitar、Marc Ford – guitar、Johnny Colt – bass guitar、Steve Gorman – drums、Eddie Harsch – keyboards
Additional personnel : Jimmy Ashhurst – mandolin、Eric Bobo – percussion、Bruce Kaphan – pedal steel guitar、Andy Sturmer – “assorted musical gifts”
90年、ブルースとサザン・ロックを軸にしたロックンロールを聴かせてくれた名刺代わりの1st。92年、更にハードにディープに独自の深化を果たし大ヒットした2nd。そして94年、その真価を問われる本作の3rdと、ここまで2年おきに順調にアルバムをリリースしてきたブラック・クロウズである。
そして3rdアルバム『Amorica』、まずはイヤでも目に飛び込んでくる、なんとも強烈なこのジャケットである。これまではメンバーが写る画像だったが、ここにきてどういった思惑があったのだろうか。
この写真は1976年ハスラー誌の7月号の表紙を飾った1枚。このジャケットが物議を醸し、一部地域では発禁となり、ジャケット差し替えでリリースされたところもあるらしい。そんなに問題のある画像だろうか。個人的にはこのアートワーク、肯定派である。
〜SIDE A〜1.Gone
土着的なパーカッション、重くブルージーなギターのカッティングに導かれるオープニング・ナンバー。リッチ・ロビンソンの鋭いギターの上をマーク・フォードのギターが縦横無尽に駆け巡る。1コードのシンプルなリフながら、ハードなギターの絡みがたまらない。
2.A Conspiracy
ギターのヘビーさはそのままに、変拍子で目眩く展開のこの曲はサビのメロディが美しく秀逸。クリス・ロビンソンのヴォーカルのテンションの高さも凄まじい。
3.High Head Blues
一転して分かりやすい、耳に残るリフが印象的なAメロ、対照的なヘビーさを持つBメロ。キャッチーでシンプルな8ビートかと思いきや、そう簡単には終わらない、曲の先が読めない展開。こういった技が本作のクロウズの特徴の1つといえるだろうか。
〜SIDE B〜1.Cursed Diamond
静かな歌い出しから一気にヘビーなモードに進むスワンプ風味たっぷりのクロウズ流R&B。伸びやかなスライド・ギターが実に気持ち良い。喉から搾り出すように歌うクリス・ロビンソンのヴォーカルに思わずこちらも力が入ってしまう。
2.Nonfiction
アーシーで落ち着いたトーンのアコースティック色のナンバー。クリス・ロビンソンのツイン・ヴォーカルでゴスペルっぽい雰囲気も加味してある。
3.She Gave Good Sunflower
肩の力の抜けたサザン・ロック。ファンキーな鍵盤が心地良い。前作、前々作で見られた女性コーラスは今作では聞かれず、殆どの曲をクリス・ロビンソンが1人で歌い切っている。それも本作の1つの特徴といえるだろうか。
〜SIDE C〜1.P.25 London
ヴォーカルとリフが同一のメロディを保ち塊のように襲いかかってくるヘビーなナンバー。
2.Ballad in Urgency
イントロに使われているのはシタールか?ソウルフルなクリス・ロビンソンのヴォーカルとリラックスした、奥行きを感じさせるバンドの演奏が深みのあるバラード。
3.Wiser Time
クリス・ロビンソンのツイン・ヴォーカルと流れるようなスライド・ギターが実に良く響くサザン・ナンバー。アルバム中最も親しみやすく美しい1曲。
〜SIDE D〜1.Downtown Money Waster
ニューオーリンズ+ドブロのワン・コード・ブルース。こういう曲は単純に楽しく、メンバーも楽しみながら演奏しているのではないだろうか。シンプルなナンバーだけに懐の深さがキモになるわけだが、難なくこなせてしまうところは流石である。
2.Descending
ピアノが大々的にフューチャーされたバラードのスロー・チューン。この曲でも味のあるスライド・ギターが冴えている。
文中に本作の特徴をいくつか挙げたが、全体的には、1st、2ndと比べ、リフがガチガチに作り込まれておらず、メンバー各人が伸び伸びと思い思いにプレーしている印象である。そのため各曲の作り込まれ方や個性、キャラ立ちの要素に欠ける感があるが、逆にそこがアルバム全体の統一感に繋がっているとも言え、濃厚で何回も繰り返し聴ける作品になっている。本作の最大の魅力はそんなところにあるのではなかろうか。
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ他)絵画に興味ある方はご覧ください。