THE ALLMAN BROTHERS BAND/AT FILLMORE EAST(オールマン・ブラザーズ・バンド/フィルモア・イースト・ライブ) Vinyl Diary
『AT FILLMORE EAST』1971年3月12〜13日に渡ってニューヨーク、フィルモア・イーストで行われたライブ。
Track List
A1.Statesboro Blues 、2.Done Somebody Wrong 、3.Storm Monday、 B1.You Don’t Love Me
C1. Hot ‘Lanta 、2.In Memory of Elizabeth Reed 、D1.Whipping Post
南部臭漂う、むさ苦しいルックスのこのバンドはオールマン・ブラザーズ・バンド。グレッグとデュアンのオールマン兄弟を中心に1968年結成された6人組。初めてこのバンドを聴いた時はブラック・クロウズみたいと思った。
メンバーはグレッグ・オールマン–ボーカル、オルガン、ピアノ、デュアン・オールマン–リード(スライド)ギター、ディッキー・ベッツ–リードギター、ベリー・オークリー–ベース、ジェイ・ジョハンソン – ドラム、コンガ、ブッチ・トラックス – ドラム、ティンパニ
リードギターが2人、ドラムが2人という変則的な編成。デュアン・オールマンはあのエリック・クラプトンから熱いラブ・コールを受けデレク&ザ・ドミノスに参加した経緯を持つ早逝した名スライド・ギタリスト。
Side A
1.Statesboro Blues ブラインド・ウィリー・マクテル作をノリノリのシャッフル、ブルース・チューンに。それにしてもデュアン・オールマンのスライド・ギターの何と流麗で饒舌なこと!無限に出てくるかのような数々のリック、ヴォーカルの合間を埋める短いフレーズ、丸みのあるニュアンス、素晴らしいとしか言いようがない。やや尖った音で突っ込み気味のギター、ディッキー・ベッツは後半のソロを担当。2.Done Somebody Wrong オリジナルはエルモア・ジェームス。グレッグ・オールマンの熱いヴォーカルの後、ハープ・ソロ、次いでディッキー・ベッツのソロ。ブリッジの後ののソロはデュアン。3.Storm Monday 彼らのライブでは毎度演奏されるメンバーお気に入りのこの曲はT・ボーン・ウォーカーのオリジナル。(因みにT・ボーンはブルースとジャズの架け橋を作った名ギタリスト。フォロワーも多く、ジャズ・ギタリストのケニー・バレルも彼の曲を取り上げている)ソフィスティケイトされたジャジーな原曲を、見事に彼等流のブルースに昇華している。
Side B
1.You Don’t Love Me アルバム片面全てを費やす、ノンストップ19分に及ぶ演奏。ハーピスト、ウィリー・コブスのキャッチーなナンバー。曲の流れは、ヴォーカル→デュアンのギター・ソロ2コーラス〜ヴォーカル→ディッキーのギター・ソロ1コーラス→グレッグのオルガン・ソロ1コーラス→スペシャル・サンクスの2.Thom Doucbtte ハープ・ソロ2コーラス〜ヴォーカル→デュアンのギター・ソロ1コーラス〜間奏〜デュアンの完全なるソロ・ギター、ディッキーのソロ・ギター(聴衆がしっかり演奏に耳を傾けていることが分かる)を経て全員加わって圧巻の演奏。メンバーの集中力と演奏能力の高さがうかがえる。特筆すべきは2人のドラマーで、その微妙なドラミングの違いが立体的な奥行きを演出しており、他のバンドでは味わえないあたたかく分厚いサウンドを作り出している。
Side C
1.Hot ‘Lanta ロング・トーンのギターのフレーズが耳に残る、メンバー全員による共作のジャム。リズムは完全にロックだが、オルガンのジャズっぽいフレーズが新鮮に聴こえる。2.In Memory of Elizabeth Reed 美しいヴァイオリン奏法によるギターのイントロで始まるインストルメンタル。ジャズ・フュージョンのようなニュアンスも持つジャム・ナンバーでギターのハモりがとても美しい。途中ブレイクからテンポが変わり、ファンク・チューンになるという、なんとも難易度の高そうな1曲。
Side D
1.Whipping Postアルバム最長、またもやLPの片面全てを費やす23分に及ぶジャム(歌も入る)。これだけの尺でありながら要所要所でのギターのハモりや、アンサンブルの緩急やキメなど、一矢乱れぬ演奏にはただただ圧倒されるばかりだ。
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。