THE ROLLING STONES / STICKY FINGERS(ザ・ローリング・ストーンズ / スティッキー・フィンガーズ)　Vinyl Diary

SIDE A : 1.Brown Sugar、2.Sway、3.Wild Horses、4.Can’t You Hear Me Knocking、5.You Gotta Move

SIDE B : 1.Bitch、2.I Got the Blues、3.Sister Morphine 、4.Dead Flowers 、5.Moonlight Mile

1971年にリリースされUK、USチャート共に1位を記録、世界中で大ヒットしたアルバム。本作はローリング・ストーンズ・レコードから発売された初のスタジオ・アルバムであり、新加入のミック・テイラーが全編に参加した初のアルバムでもある。プロデュースはジミー・ミラーで前作の路線をより一層強めた南部色の濃い作品に仕上がっている。一度見たら忘れられない強烈なインパクトのジャケット・デザインはアンディ・ウォーホル。

SIDE A

1.Brown Sugar

ファンなら知らぬ者はいないであろう、70年代ストーンズの代表曲の一つ。曲自体はいたってシンプルで、ギミック無くテンポもそんなに速いわけではないのだが、スピードを感じるスリリングなアレンジと独特のグループで、一気にラストまで聴かせる極上のロックンロール。

2.Sway

ミック・ジャガーがエモーショナルに歌うミディアム・テンポのブルージーなチューン。歪んだギターと華麗に絡むピアノはニッキー・ホプキンス。チャーリー・ワッツ入魂ののドラムが素晴らしい。

3.Wild Horses

フォーキーでアーシー、シングル・カットされた、この曲もストーンズの代表曲といえるバラードの名曲。胸を締め付けられるような切ない歌詞に相反して、音作りの方は南部そのものといった豊かさ、大らかさで満ちている。この曲は、そんなギャップが良いのかもしれない。

4.Can’t You Hear Me Knocking

7分に及ぶ長尺ナンバー。強めに歪ませたギターのリフとヴォーカルとがユニゾンで進む前半、ブリッジを経て後半にはミック・テイラーとサックスのボビー・キーズのジャム・セッションが展開される。ピアノはニッキー・ホプキンス、オルガンはビリー・プレストンが担当している。

5.You Gotta Move

ヴォーカルとスライド・ギターのメロディーが完全なユニゾンで進むユニークなナンバー。アメリカで古くから伝わる黒人霊歌が原曲で、バンドはフレッド・マクダウェルのヴァージョンを参考にしているようだ。ライブ・アルバム『ラブ・ユー・ライブ』でも楽しそうにプレーされた。

SIDE B

1.Bitch

シングル「ブラウン・シュガー」のB面に収められたロッキン・チューン。小気味良いリズミックな2本のギターに乗って、ジャガーのノリノリで獰猛なヴォーカルが襲いかかってくる。要所にホーン・セクションが入ることで音に厚みが増し、加えて疾走感のあるサウンドになっている。これも人気のある曲だ。

2.I Got the Blues

哀愁のあるメロディー、ミック・ジャガーが情熱的に歌い上げるスローなＲ＆Ｂ。強烈にブルージーなオルガンでソロを取るビリー・プレストンのプレーも印象に残る。そしてこの曲にも大胆にホーンが導入されている。

3.Sister Morphine

硬質なアコースティック・ギターと饒舌なスライド・ギターの絡みの、哀しげで美しいナンバー。元々はマリアンヌ・フェイスフルのために作られた曲ということだが、なるほどメロディアスで、起伏に富んだ曲展開でストーンズでは取り上げなさそうな曲ではある。ピアノはジャック・ニッチェ。ギターのライ・クーダーが貢献している。

4.Dead Flowers

カントリー・ソング。ミック・ジャガーはこういったカントリー風の曲を歌わせると非常に上手い、と思う。スライド・ギターはミック・テイラーだろうか、実に奥床しいプレー。可憐なフレーズのピアノはイアン・スチュアート。

5.Moonlight Mile

南部臭プンプンのクロージング・ナンバー。この曲のリズムギターはミック・ジャガーが担当しているようだ。途中からストリングスが導入され壮大なエンディングを迎える。