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NICK CAVE & THE BAD SEEDS / THE FIRST BORN IS DEAD (ニック・ケイブ & ザ・バッド・シーズ / ザ・ファースト・ボーン・イズ・デッド)  VINYL DIARY

『THE FIRST BORN IS DEAD』

『THE FIRST BORN IS DEAD 』は、1985年にリリースされたニック・ケイブ & ザ・バッド・シーズによる2枚目のスタジオアルバム

Nick Cave ニック・ケイヴは(1957年9月22日生まれ)オーストラリア出身のミュージシャン、作家、俳優、脚本家、映画+舞台音楽などマルチな才能を持つアーティスト。

1973年、最初のグループ”The Boys Next Door”( ミック・ハーヴェイ在籍)を結成。バンドはパンク、ロカビリー、フリージャズ、ブルースをベースにした音楽を展開。ケイブのヴォーカルはイギー・ポップやスーサイドのアラン・ヴェガに影響を受けたスタイル、歌詞の面ではアルチュール・ランボーやシャルル・ボードレールに傾倒していた。ローランド・S・ハワードが1978年に加入。1979年、アルバム『Door, Door』リリース。

1980 年、メルボルンからロンドンに拠点を移しバンド名を”The Birthday Party “に変更。同年アルバム『The Birthday Party 』リリース、翌1981年、『Prayers on Fire』、1982 年、西ベルリンに拠点を移しアルバム『Junkyard』リリース。ヨーロッパ、オーストラリア、米国でカルト的な支持者を獲得したが、翌年に解散。

1983年ケイヴは”Nick Cave and the Bad Seeds”を結成した。

 

NICK CAVE & THE BAD SEEDS Discography(Studio albums)

1984年 From Her to Eternity

1985年 The Firstborn Is Dead

1986年 Kicking Against the Pricks

1986年 Your Funeral… My Trial

1988年 Tender Prey

1990年 The Good Son

1992年 Henry’s Dream

1994年 Let Love In

1996年 Murder Ballads

1997年 The Boatman’s Call

2001年 No More Shall We Part

2003年 Nocturama

2004年 Abattoir Blues / The Lyre of Orpheus

2008年 Dig, Lazarus, Dig!!!

2013年 Push the Sky Away

2016年 Skeleton Tree

2019年 Ghosteen

2024年 Wild God

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『THE FIRST BORN IS DEAD』

Track List

1, “Tupelo”、2,  “Say Goodbye to the Little Girl Tree”、3, “Train Long-Suffering”、4, “Black Crow King”、5, “Knockin’ on Joe”、6, “Wanted Man”、7, “Blind Lemon Jefferson”

Nick Cave and the Bad Seeds : Nick Cave – lead vocals; harmonica、Blixa Bargeld – guitar; backing vocals; slide guitar; piano、Barry Adamson – bass; backing vocals; guitar; organ; drums、Mick Harvey – drums; backing vocals; guitar; organ; piano; bass

1984年、衝撃のデビュー作「From Her to Eternity』から1年でリリースされた2ndアルバム。本作も前作に引き続きミック・ハーヴェイ、バリー・アダムソン、ブリクサ・バーゲルトが脇を固めている。1stアルバムは上記メンバー以外にもJG サーウェルやアニタ・レーンなどがバンドに協力していたが、本作はケイブを含む4人のメンバーのみで製作されている。ミック・ハーヴェイはマルチ奏者。元マガジンのバリー・アダムソンはギター、オルガン、ドラム。アインシュテルツェンデ・ノイバウンテンのブリクサ・バーゲルトは、スライド・ギター、ピアノを担当。

アルバムのタイトルは、エルヴィス・プレスリーの死産した一卵性双生児、ジェシー・ガロン・プレスリーにちなんで付けられている。また1曲目テュペロはエルヴィスの生誕地でもあり、ジョン・リー・フッカーのテュペロ・ブルースをベースにしていることや、盲目のブルース・マン、ブラインド・レモン・ジェファーソンの名前もタイトルにあることから、アメリカ南部への関心が高いことが窺える。

混沌、ブードゥー、凶暴、プリミティブ、カオスといったワードが正確かは分からないが、そういったイメージを持ったアルバムである。念仏や呪文のような曲もあれば、子供がおもちやの楽器で戯れているかのような無垢な瞬間もある、とても複雑で不思議な音楽、という印象を持った。

 

SIDE A

雷鳴の鳴り響く音、硬質で単調なベース・ライン、呻きのようなバリトン・ボイス、ミシシッピ州テュペロの洪水を歌ったブルースマン、ジョン・リー・フッカーの曲「Tupelo Blues」をベースにしたオープニング・ナンバーA1. “Tupelo。この曲に登場する「Looky, Looky Yonder」というワードは、同じく弾き語りのブルース・マン、レッド・ベリーが録音した同名の曲から。曲のフォーマットも、テーマも当初は難解に思えたのだけど、ベースにブルースがあることが分かり妙に得心した記憶がある。

 A2. “Say Goodbye to the Little Girl Tree”  はギターとケイブのヴォーカルを主軸に装飾的にスライド・ギターとベースが入り、混沌としたまま展開していく曲。誤解を恐れずに言えばダークでゴシックなロカビリー?といえばよいだろうか。極端に音数が少ないにも関わらずバッド・シーズの世界観は完全に構築されている。因みにロカビリーで思い出したが、ケイブはザ・バースデー・パーティー時代にジーン・ヴィンセントのラブ・ミーをカバーしている。  

A3. “Train Long-Suffering”  は、ワンコードでひたすら進み、ブレイクが何回かあるだけの曲なのだが、ケイブのヴォーカルといい、演奏のスタイルといい無法者の歌といった雰囲気。野獣の凶暴さとスリリングな演奏で、A面のハイライトといってよいと思う。 

 A4. “Black Crow King”  は、ハンズ・クラップ、フット・ストンプ、ケイブの声とメンバーのユニゾンのコーラスから成るナンバー。バックで不規則に鳴っているギターはある意味ブルースといえるかもしれないし、全体的には民族音楽のような感じもある。それにしても、進行の度合いが分かりにくく、全体像も掴みにくいこんな曲をどのような手法でレコーディングを進めていくのだろうか。

SIDE B

B1.  “Knockin’ on Joe”  は、ブルージーな響きを持つピアノ曲。センチメンタル、メランコリックな雰囲気もあり、バラードといえるかもしれない。非構築的というか、敢えてぎりぎり未完成に仕上げている感じがあり、そういうところが非常に魅力的な曲だと思う。ケイブは決して上手いシンガーとは言えないが、聴く者を捉えて離さない圧倒的な説得力を持っている。

 B2. “Wanted Man”  は、ボブ・ディランとジョニー・キャッシュの曲から派生したもので、ケイヴは歌詞を変更して歌っている。ディランとキャッシュが歌う軽快なカントリー風ミディアム・テンポのナンバーをバンドは原曲の香りが全く残らない、疾走感溢れるハイパーなトラックに仕上げている。音の一体感が凄く、バンドの結束力を感じる曲である。本作中の白眉といえる。 

 ラストB3. “Blind Lemon Jefferson” は、レモン・ジェファーソンを賛美する歌だろうか、余白が多く、こちらのイマジネーションを掻き立てる曲。ベース以外はまるで無秩序に即興でプレーしているような音なのに、仕上がりは何故か整然としており、加えて映画音楽のような雰囲気も持っている。稚拙なケイブのハーモニカとブリクサのスライド・ギターが耳に残る。

ロッコ : 本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。

  VINYL DIARY

 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ他)絵画に興味ある方はご覧ください。

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