THE DOORS / L.A.WOMAN(ドアーズ / L・Aウーマン) Vinyl Diary

『 L.A.WOMAN』
Jim Morrison – ボーカル、Ray Manzarek – キーボード、Robby Krieger – ギター、John Densmore – ドラムス
ドアーズはエレクトラ・レコードと1966年に契約。1967年1月、シングル「ブレイク・オン・スルー」、アルバム『The Doors』(邦題:ハートに火をつけて)でデヴュー。2ndシングル「ハートに火をつけて(Light My Fire)」がファンの強い要望によってシングル・カットされ大ヒット。(「ジ・エンド」は後に映画『地獄の黙示録』に使用される)。同年2ndアルバム『Strange Days』 (邦題:まぼろしの世界)リリース。USチャート3位の大ヒットとなる。1968年リリースの3thアルバム『Waiting for the Sun』 (邦題:太陽を待ちながら)は初のチャート1位を獲得、シングル「ハロー・アイ・ラヴ・ユー」もチャート1位の大ヒットを記録する。1969年、4thアルバム『The Soft Parade』リリース。シングル・カットされた「タッチ・ミー」はチャート3位のヒット。1970、5thアルバム 『Morrison Hotel』、ライブ・アルバム『Absolutely live』を、1971年には6thアルバム 『L.A.Woman』をリリース。録音後休暇を取得したジム・モリソンは、ガールフレンドのパメラ・カーソンとパリへ渡る。モリソンは同年7月3日にパリのアパートの浴室で死亡した。バンドは残された3人で『Other Voices』(1971年)、『Full Circle』(1972年)の2枚のアルバムをリリースしたもののヒットには至らず。(クリーガーとマンザレクがボーカルを担当 )。1978年、モリソンの詩の朗読のテープに3人が演奏を加えた『An American Prayer』リリース。
『 L.A.WOMAN』
Track List
1, The Changeling 、2, Love Her Madly 、3, Been Down So Long 、4, Cars Hiss by My Window 、5, L.A. Woman 、6, L’America 、7, Hyacinth House 、8, Crawling King Snake 、9, The WASP (Texas Radio and the Big Beat) 、10,Riders on the Storm
1971年に発売されたドアーズのアルバム。ジム・モリソンが参加した最後のアルバムである。本作では、ベースにジェリー・シェフ、ギターにマーク・ベノをゲストに迎えている。 殆どの曲は、デビュー・アルバム同様に一発録りに近い形式で録音されており、モリソンのボーカルは浴室を使って収録された。
1.”The Changeling “
アップ・テンポのR&B。かなりベース音が前に出ていることと、ワウ・ペダルが全面に配されているのも、ドアーズでは珍しいと思う。アルバムのオープニング、ジム・モリソンのヴォーカルはかなり気合いが入っている感じがする。
2.”Love Her Madly “
ベース・ラインがもろロカビリーな雰囲気のフレーズだが、ロカビリーに仕上げないドアーズ流ポップ・ソング。キャッチー、親しみやすいメロディーで、人気のある曲。
3.”Been Down So Long “
ブギー調のミディアム・ブルース。ギターは2本以上オーバー・ダブされているようで、そのせいかレイ・マンザレクの鍵盤の存在感は若干薄い。白人のブルース・バンドでよく聴かれるタイプの曲で、特に新しい感じはないが演奏は良い。ジム・モリソンのヴォーカルはかなり肩に力が入っているような気がする。
4.”Cars Hiss by My Window “
定番的な3コードのスロー・ブルース。3.”Been Down So Long ” とは真逆のアプローチで、こちらは非常に抑えたトーンの、ブルースバンド然とした、聴かせる演奏。
5.”L.A. Woman “
地を這うようなベース、気迫みなぎるジム・モリソンのヴォーカル、アルバム白眉のタイトル曲である。この曲のカッコ良さは筆舌に尽くしがたい。彼らのキャリア中でも1番のタテノリであり、パンキッシュと言っていいのか、最後の作品で届けてくれた極上のロックンロールである。一筋縄ではいかないドラマティックな凝った展開もドアーズらしい。
6.”L’America “
イントロのロング・トーンの歪んだギター、不穏なムードのベース・ライン、抽象的なオルガン、呪術的なムードを持ったAメロと、定番的ブルースのBメロの対比が聴きどころか。本作では異彩を放つ曲といえるが、こういう曲が配されることで、アルバムがより荘厳で重厚感のある作品になると思う。
7.” Hyacinth House “
枯れた雰囲気を醸すサザン・ロック風のトラック。朗々と歌うジム・モリソン。レイ・マンザレクのソロが秀逸。
8.” Crawling King Snake ” (Hooker)
アルバム中唯一のカバー曲はブギーの帝王ジョン・リー・フッカーのナンバー。原曲ジョン・リーのヴァージョンはフット・ストンプとギターのみの弾き語りだが、ドアーズはどっしりとしたバンド・サウンドに仕上げている。レイ・マンザレクのフェンダー・ローズがとても良い。デビュー前、ブルースをプレーしていた頃に取り上げていた曲だろうか。
9.,” The WASP (Texas Radio and the Big Beat) “
図太いベースが耳を引くこの曲もブギー調のブルース。DJ風のジム・モリソンのリーディングがカッコ良い。ブリッジの凝ったアレンジはドアーズらしい。
10.” Riders on the Storm
スタジオ・アルバムとしては、ジム・モリソンが歌う最後の曲で、5.”L.A. Woman “と並ぶ、このアルバムを象徴する非常に印象的なナンバー。曇天の空、嵐の中の荒野を、長い髪を靡かせながら当てもなく走り続けるチョッパー・ハンドルのバイク。この曲を聴くといつもそんな光景を思い浮かべてしまう。このバンドには名曲が沢山あるが、この曲もまたドアーズの代表曲の一つといえる。
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。