HEAVY TRASH / MIDNIGHT SOUL SERENADE(ヘヴィ・トラッシュ/ミッドナイト・ソウル・セレナーデ) VINYL DIARY

『MIDNIGHT SOUL SERENADE』
ブルース・エクスプロージョンのヴォーカル+ギタリスト、ジョン・スペンサーとスピードボール・ベイビーのギタリスト、マット・ヴェルタ・レイの双頭ユニットがHEAVY TRASH(ヘヴィ・トラッシュ)である。
ヘヴィ・トラッシュ・ディスコグラフィー
2005年 : 『Heavy Trash』
2007年 :『 Going Way Out with Heavy Trash』
2009年 : 『Midnight Soul Serenade』
2015年 : 『Noir』(未発表曲などを収録した限定盤)
住居が近く、同じような音楽を嗜好することから、意気投合した末、2人はオーセンティックなロカビリー・アルバムを作ることを決める。実は、ヴェルタ・レイ氏にはもう一つの顔があり、ロウワー・イースト・サイドにあるNY HEDレコーディング・スタジオのオーナー兼エンジニアだという。なんでも故ロバート・クワインのようなクセのあるミュージシャンからは人気のスタジオのようだ。
というわけで、ヴェルタ・レイ氏所有の何かと融通の効くスタジオで、2人はロカビリーを作り始めた。で、作り始めると、お互いがどんどん解放され、様々なアイデアが浮かび、ロカビリーはもちろんのこと、ブルース、R&B、R&R、ガレージ・パンクなどの要素も加わっていった。その結果このアルバムが生まれた、ということのようだ。レコーディングではギター以外にもベース、ヴォーカル、ドラム、オルガン、シンセと2人ともが分け隔てなくこなしたらしい。(もちろん、2人以外に、複数の参加ミュージシャンがクレジットされている。
『MIDNIGHT SOUL SERENADE』
Track List
1, Gee, I Really Love You、2, Good Man、3, Bumble Bee、4, Pill、5, Pimento、6, Sometimes You Got to Be) Gentle、7, Isolation、8, Bedevilment、9, Sweet Little Bird、10, That’s What Your Love Gets、11, In My Heart
ジャケット、及びインナー・スリーブのイラストが強烈なヘヴィ・トラッシュの3作目、『ミッドナイト・ソウル・セレナーデ」今回もジョン・スペンサーとマット・ヴェルタ・レイが2人で仲良くプロデュースまで出掛けている。
1, Gee, I Really Love You : 食い気味、つんのめったスペンサーの歌い方から、その調子の良さが伺える。意外にもトロピカルな雰囲気を持つラテン・ロカビリー。
2, Good Man : リバーブがたっぶりかかったスペンサーの抑え気味のヴォーカルとシンプルで歪んだギターがカッコいい。ウッドベースが使われているだろうか。
3, Bumble Bee : 4ビートのアップ・テンポなナンバー。リズム隊はローファイなサウンド。
4, Pill : 打ち込みのドラムが非常に活きたスロー・チューン。時折り聴こえる装飾的でシアトリカルなピアノも効果的。スペンサーの呟くような抑えたヴォーカルも新鮮に聴こえる。
5, Pimento : ヘヴィ・トラッシュ流サーフ・ミュージックといった雰囲気のインスト・ナンバー。
6, Sometimes You Got to Be) Gentle : ミディアム・テンポの爆音ロックンロール。ブルース・エクスプロージョンが演ってもハマりそうなヘビーなナンバー。
7, Isolation : コード・チェンジの少ないスローなナンバー。この曲ではギターと同じくらいの比重でシャープなバッキングのキーボードを取り入れている。またベースもシンセ・ベースを使用し、かなり実験的な音作りといえる。
8, Bedevilment : ミディアム・テンポの曲の合間に恐ろしいほどに凶暴、爆音の高速パンクが時折り挿入される、曲展開が凝っている1曲。
9, Sweet Little Bird : ヘヴィ・トラッシュ・ミーツ・ブルース・フューチャリング・リンク・レイといった雰囲気のナンバー。
10, That’s What Your Love Gets : アルバム中、唯一のドゥー・ワップ。牧歌的な雰囲気で、 スペンサーの声がコミカルに聴こえてくる。
11, In My Heart : なんてことのないR&Bというと失礼だけど、思い入れたっぷりに歌うスペンサーにジーンとくるクロージング・ナンバー。
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。
またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。