1969 : THE VELVET UNDERGROUND LIVE VOLUME 1(ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・ライブ) Vinyl Diary

『1969 : THE VELVET UNDERGROUND LIVE VOLUME 1』
1969年10月19日、ダラスでのライブ
ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド
ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)は、1964年に結成されたアメリカのロック・バンド。ヴェルヴェッツという略称でも呼ばれる。リードによる文学的素養から生まれた、同性愛やSMなどの性におけるタブーやドラッグなどについての歌詞、ケイルによる実験的、前衛的サウンドが特徴。デヴィッド・ボウイ、ストゥージズ、ドアーズ、テレヴィジョン、エコー&ザ・バニーメン、ジーザス&ザ・メアリーチェーンら、数多くのアーティストに影響を与えた。1996年にロックの殿堂入り。「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第19位。
ドイツ人モデル、ニコをヴォーカルで参加させるというウォーホルからの提案(リードは不満ながらも)を受け入れ1stアルバムの制作が決まる。66年5月、シングル「All Tommrrow’s Parties/I’ll Be Your Mirror」でデビュー。12月、セカンド・シングル「Sunday Morning/Femme Fatale」リリース。1967年3月、1stアルバム『The Velvet Underground and Nico 』 リリース。ビルボード最高192位(最初の5年間で3万枚ほどしか売れなかったという)。2ヶ月後の5月27日、ニコ脱退。ウォーホルとも袂を分かち、暴力性とノイジーさが際立った作品、2ndアルバム『White Light/White Heat 』(1968年)リリース。プロデューサーはトム・ウィルソン。アルバム制作中に関係が悪化していたケイルとリードであるが、新作も相変わらず売れないため、バンドをポップな方向にしたいリードと、過激な路線で攻めたいケイルが対立。同年9月28日、ボストン・ティー・パーティーでのライブを最後にケイルが脱退。翌10月新メンバーとしてダグ・ユールが加入。ベースとヴォーカルを担当する。3rdアルバム『The Velvet Underground 』(1969年)リリース。このアルバムは初のセルフ・プロデュース。リードのポップなセンスが開花した傑作であるが、これも売り上げが芳しくなく、MGMに契約を切られる。加えて4枚目のアルバムになる予定だったこの時期の録音は全てお蔵入り(後に『VU』、『Another View』、ボックス・セットなどで陽の目をみる)新たにレコード会社コティリオンとの契約が決まる。タッカーが妊娠中だったため、ダグ・ユールの弟ビリー・ユール他数人がドラムを担当。名曲揃いの4thアルバム『Loaded 』(1970年)リリース。このアルバムリリース前、8月のマスシズ・カンサス・シティでの連続公演の最終日リードが失踪。その後脱退。残されたユールを中心にメンバーを加えながらバンドは存続。1973年『Squeeze 』リリース。名義こそヴェルヴェッツだが、実質はダグ・ユールのアルバムといえる。
『1969 : THE VELVET UNDERGROUND LIVE』
The Velvet Underground
Lou Reed – vocals, guitar、Sterling Morrison – guitar, vocals、Maureen Tucker – percussion、Doug Yule – bass guitar, organ, vocals
Track List
1, “Waiting for My Man” 、2, “Lisa Says”、3, “What Goes On”、4, “Sweet Jane”、5, “We’re Gonna Have a Real Good Time Together”、6, “Femme Fatale”、7, “New Age”、8, “Rock & Roll”、9, “Beginning 、to See the Light”、10, “Heroin”
『1969: The Velvet Underground Live』は最初、1974年9月にマーキュリー・レコードから2枚組アルバムとしてリリースされ、1988 年 9 月の CD 再リリースの際、ディスク1、2という形で再発された。
1969年、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは北米〜カナダで70公演を超えるツアーを敢行。(同年3月に3rdアルバムをリリースしている) この時期バンドは、ファンの録音機器(手持ち式レコーダーなど)の持ち込みを許可していたという。69年10月19日、ダラスのエンド・オブ・コール・アベニューのクラブで(たまたまレコーディング・エンジニアだった)ファンがプロ仕様の機材で録音したのだが、このライブはその音源が元になっている。
収録曲をアルバム別で確認すると
1stアルバム、「The Velvet Underground and Nico 』(1967年3月リリース)からは 1, “Waiting for My Man” 、6, “Femme Fatale”、10, “Heroin” の3曲。
2ndアルバム、『White Light/White Heat 』(1968年1月リリース)からは選曲なし。
3rdアルバム、『The Velvet Underground 』(1969年3月リリース)からは 2, “Lisa Says”、3, “What Goes On”、9, “Beginning to See the Light”、の3曲。
4thアルバム、『Loaded 』(1970年9月リリース)からは4, “Sweet Jane”、7, “New Age”、8, “Rock & Roll” の3曲。
『VU 』(1985年リリース)からは5, “We’re Gonna Have a Real Good Time Together” の1曲。
なお、このライブが行われた69年時点では4thアルバム『Loaded 』と『VU』は発売されていない。
1, “Waiting for My Man”
冒頭で結構な尺で観客に向けて言葉を投げるリード。ヴェルヴエッツの頃はこんな風にオーディエンスとの対話を楽しんでいたのだろうか。この流れから原曲より少し遅めのテンポで、リラックスした雰囲気のまま演奏が始まる。4人のプレイは段々と熱を帯びていき、エンディングに向けてリズムが倍テンになる様は圧倒的。
2, “Lisa Says”
ブリッジ部分のほとんどジャズのノリを、完全再現している。個人の力量、演奏能力はやはり凄いと改めて思う。
3, “What Goes On”
曲後半のインプロヴィゼーションにかなりの時間を割いており、ダグ・ユールが鍵盤でのソロを頑張っている。リードとモリソンのカッティングは言わずもがなだが、モーリン・タッカーのストイックなほどにストレートなドラムも凄まじい。
4, “Sweet Jane”
アルバムに収録されたものよりも、いくらかメロウなテンポで、リードは感情を込めて歌っている。余談だが、カナダのバンド、”カウボーイ・ジャンキーズ”のアルバム『トリニティ・セッション』に収められた同曲は、このバージョンを参考にしているのかもしれない。
5, “We’re Gonna Have a Real Good Time Together”
シンプルでパンキッシュなロックンロール。単純にカッコいいとしか言いようがない。余談だが、この曲は初期のROOSTERSで花田のヴォーカルでプレイされていた。
6, “Femme Fatale”
1stに収められたニコヴォーカルの曲だが、ここではリードがヴォーカル。自身が作った曲なわけで、当然といえば当然かもしれないが、実に自然に歌いこなしており、全体的によりグルーヴィーにプレイされている。
7, “New Age”
アルバムではダグ・ユールの優しいヴォーカルが聴けるが、ここではリードがニヒルな声で歌っている。緩急の付け方がニクいほどに、非常にイキの合った演奏が聴ける。
8, “Rock & Roll”
タイトル通り、文句無しにカッコいいロックンロール。(この時点では)未発表曲であるにも関わらずこうしてプレイしたということは、リードはよほどこの曲に手応えを感じていたのではないだろうか。
9, “Beginning 、to See the Light”
比較的、原曲に忠実な演奏だが、やはり熱量が圧倒的で、改めて上手いバンドだ思う。コーラス・ワークも手抜きなく丁寧だ。
10, “Heroin”
このようなテーマを歌にするバンドは当時はほとんどいなかったと思うが、ファンはどのような気持ちで、この曲を聴いていたのだろうか。アルバムバージョンに劣らない圧巻の8分である。
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ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。