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花田裕之 ROCK’N’ROLL GYPSIES “風が吹いてきた”(ハナダヒロユキ/カゼガフイテキタ) Vinyl Diary

『風が吹いてきた』  『花田裕之/風が吹いてきた』は花田裕之7作目のソロ・アルバム。1996年にリリースされた。

 

ROCK’N’ROLL GYPSIES

元THE ROOSETERS(Z)の花田裕之(G,Vo)を中心に結成されたロックバンド。(以下敬称略)

 

『花田裕之/ROCK’N’ROLL GYPSIES 』(1995年1月)

花田裕之5作目のソロアルバム。元ROOSTERSの池畑潤二(Dr)、井上富雄(B)、元ROOSTERZの下山淳(G)という新旧ルースターズ・メンバーが一堂に会してレコーディングが行われた。

◇『花田裕之 R・R・G RENT-A-SONG 』19959月)

花田裕之6作目のソロ・アルバムは前作と同年にリリースされた。メンバーも前作同様。全7曲の邦楽のみのカバー・アルバム。

 

『花田裕之 ROCK’N’ROLL GYPSIES “風が吹いてきた”』(1996年5月)

花田裕之の6作目のソロ・アルバム「RENT-A-SONG』を挟んで、リリースされた7枚目のソロ・アルバム。メンバーは『花田裕之/ROCK’N’ROLL GYPSIES』と同じく下山淳(G)、井上富雄(B)、池畑潤二(Dr)

 

「ROCK’N’ROLL GYPSIES /WHO THE FUCK IS THE ROOSTER?』 (2002年2月)

2001年10月14日、北九州でのロック・フェスにROCK’N’ROLL GYPSIES名義で(ライブ1度きりの予定で)出演。もちろんメンバーは花田裕之(Vo.G)  井上富雄(B)  下山淳(G)  池畑潤ニ(Ds)の4人

 

『ROCK’N’ROLL GYPSIES I -FIRST-』(2003年6月)

イベント出演をきっかけに、旧ルースターズメンバーで構成された花田裕之ソロプロジェクトがついにバンドへ発展。正式にその名をROCK’N’ROLL GYPSIESと改め本格的に活動を開始

 

◇『ROCK’N’ROLL GYPSIES II』 (2005年11月)

◇『ROCK’N’ROLL GYPSIES /Same Old BackBeat』(ライブ音源  2006年11月)

『ROCK’N’ROLL GYPSIES III』(2010年7月)

◇『ROCK’N’ROLL GYPSIES IV』(2016年4月)

◇『ROCK’N’ROLL GYPSIES /Just For Live at KYOTO takutaku』(ライブ音源  2019年8月)

◇『ROCK’N’ROLL GYPSIES V』(2023年04月)

現在は井上富雄に代わって市川勝也がベースを担当している

『風が吹いてきた』

Track List1,ハイウェイ、2,OOH LA LA、3,FREE BIRD、4,街の生活はせちがらいなあと想っている男の唄、5,二人でいよう、6,HONEY MAKER、7,かなわない恋、8,エレクトリック・マッド、9,洪水の前に、10,ハイウェイ、11,風が吹いてきた

959月にリリースされた花田裕之6枚目のソロ・アルバム『RENT-A-SONG 』はロックンロール・ジプシーズによる全7曲のカバー・アルバムだった。山口富士夫、サンハウスなどを取り上げた花田裕之のルーツである邦楽のカバー・アルバムである。敢えて邦楽をチョイスするあたりが、いかにも花田裕之らしいと思う。バンドの演奏も勢いがあり、溌剌としてかつ瑞々しいロックンロール・アルバムである。そして翌96年にリリースされたのが本作となる。

このアルバム、風が吹いてきた2曲を除いては全曲花田裕之の作詞作曲である。3FREE BIRD」は前々作でも歌詞を提供している柴山俊之、9,「洪水の前に 」は同じく前々作と本作でもプロデュースも担当している小西康陽の作詞。110の「ハイウェイ」は花田作のインストルメンタルである。

外に放たれた痛快なバンド・サウンドが聴けた前々作に比べ本作はやや内省的な、花田裕之のパーソナリティーがより強く出ている印象を受ける。もちろん良い意味で、である。個人的には前作『RENT-A-SONG』を経ることで、花田自身が確固たる何かを掴んだ結果、本作に繋がったのではないか、と思っている。

花田の歌に呼応するように、バンドの音はアコースティックでフォーキー、ミドル・テンポのゆったりした曲が多い。豪放磊落というよりは、何度も繰り返し聴ける実に滋味深い味わいのある作品になっている。下山淳、井上富雄、池畑潤二の3人の演奏は、前作、前々作同様、いやそれ以上に素晴らしいの一言に尽きる。音のタッチ、空気感などとても日本のバンドとは思えない趣きである。加えてオルガン、ピアノ、アコーディオン、マンドリンと多彩な才能を持つ、今作にも参加のKYONのプレーが、5人目のメンバーといってもよいほどにジプシーズに溶け込み、バンドの持つトラディショナルな側面を強調することに貢献していると思う。

1,ハイウェイ

ブルージーな花田のアコースティック・ギターと揺らぐ下山のギターのトレモロ、そしてスライド・ギターがするりと入ってくる。気負いのない、アルバムのプロローグとなる1分ほどのインスト・ナンバー。

2,OOH LA LA

このタイトルはフェイセズか?花田らしい旅への憧憬溢れる1曲。リラックスした歌声に良く合うレイド・バックした枯れたサウンド、良く歌うギター・ソロも花田自身だろうか。リズミックな井上富雄のベースとKYONの色彩豊かなアコーディオンが華やかさを与えている。虚栄のない、等身大の男を歌っており、実に魅力的に仕上がっている。

3,FREE BIRD

柴山俊之作詞のミディアム〜スロー・ナンバー。コードの動きがそのままテーマ・リフを形成する、ブラック・クロウズのようなアプローチのイントロが印象的。この曲も根無し草的な旅モチーフの内容の歌で、イメージに寄せて柴山俊之が書いたのだろうか。ゆったりした大きいノリ、シームレスなオルガンが厚みを持たせている。

4,街の生活はせちがらいなあと想っている男の唄

まるでセッションをしているかのような気軽さが心地良い雰囲気の1曲。小気味良いKYONのマンドリンと下山のスライド・ギターの絡みが、この曲の印象を決定付けている。あまりにも赤裸々なタイトルの上に、「居心地が悪いから〜田舎へ行こう」と歌われるわけだが、これも花田裕之が持つ嘘偽りの無い一面なのだろう。

5,二人でいよう

花田のエレキのストロークにバックが寄り添うシンプルこの上ない演奏。花田の声も生々しく、目の前で歌っているかのようなルーム・エコーのナチュラルな音で、その素っ気ないまでの飾り気の無さに脱帽する。本作での花田裕之の書く詞は無頼、さすらい、自由といったテーマが多く、内容もこの先どうなるのだろうか?という落とし所が決まっていない曲が多い。が、この曲は曲調はマイナーながら、詞はハッピーな展開。「そしてずっと二人でいよう」の一節になんだかホッとする1曲。

6,HONEY MAKER

隙間のあるツイン・ギターの絡み、ハモンドの響き、ゴスペル・ライクな女性コーラスの加わったアメリカ南部臭が漂うナンバー。中期ストーンズのメインストリート〜とか、ブラック・クロウズの2nd3rdあたりのあの感じといえば伝わるだろうか。こういったスワンプ・チューンとハモンド・オルガンのなんと相性の良いことか!熱いグルーブの波に飲み込まれそうな音である。

7,かなわない恋

シティー・ポップにも通じる洒落たコードと曲展開。初めてこの曲を聴いたときキース・リチャーズの1stアルバムに収録された“MAKE NO MISTAKE”とイメージが重なる感じを覚えた。このアルバムでは異色な気もするが白眉といっても良い名曲である。花田を支えるメンバーも出しゃばらずツボを得ており、花田の声を引き立てる抑えた演奏は心憎いばかりだ。文字通り、かなわない恋を目の前に何も手に付かない男心が歌われる。ほろ苦い大人のロックである。重ねて言うが大名曲である。

8,エレクトリック・マッド

アルバム中1番ハードなファンク・チューン。まず花田の小技の効いたリズム・ギターが実にカッコ良い。この手のギターを弾かせたらこの人は本当に上手い。前半のタメのあるリズムも、躍動感溢れるプレーも聴かせる池畑潤二のドラムと井上富雄のベースも存分に堪能したい。音量は控えめながら、下山淳のフィードバックも含めた激しいギター・ワークも聴ける。

9,洪水の前に

小西康陽作詞の曲。花田のシンプルな弾き語りにメロディアスな井上富雄のベースをメインとしたフォーキーな1曲。ギター・ソロは下山だろうか、KYONのオルガンと池畑のパーカッションは控えめで、かなり音数の限定されたシンプルこの上ないナンバーである。が、そのシンプルさで際立つ1曲であり、なんともいえない魅力で聴き入ってしまう。

10,ハイウェイ

オープニングのインスト・ナンバーのフル・バージョン。花田のアコースティック・ギターを軸に、スライド・ギター、トレモロ・ギター、オルガン、ベース、ドラムが折り重なっていく。どの音も過不足なく聴こえてくる奥行きのある音作りのミックス。芯のある井上富雄のベースが躍動的で耳に残る。起承転結があり、歌モノに引けを取らない濃密な曲で、ここにこの曲をを配したのもそれなりの思い入れがあってのことだろうと思う。

11,風が吹いてきた

フォーキーでグルービーなクロージング・ナンバー。この曲も花田のアコースティック・ギターと歌を軸にして、曲が進むにつれてメンバーが盛り立てていく厚みのある演奏が楽しめる。藤井康一の生音に近いハープが縦横無尽の活躍である。また後半にこれまであまり無かった(と思う)ストリングスが大胆に導入されており、これが意表を突いて効果的でとても興味深い。

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ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。  またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ他)絵画に興味ある方はご覧ください。

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