LENNY KRAVITZ/STRUT(レニー・クラヴィッツ/ストラット) Vinyl Diary
『STRUT』
『STRUT』は2014年リリース、レニー・クラヴィッツ10作目のスタジオ・アルバム。本国アメリカでは19位、ヨーロッパ各国で大ヒットを記録した。Track List
SIDE-A
1.Sex、2.The Chamber、3.Dirty White Boots
SIDE-B
1.New York City、2.The Pleasure and the Pain、3.Strut
SIDE-C
1.Frankenstein、2.She’s a Beast、3.I’m a Believer
SIDE-D
1.Happy Birthday、2.I Never Want to Let You Down、3.Ooo Baby Baby
レニー・クラヴィッツ – ボーカル、ギター、ピアノ、ハモンドオルガン、メロトロン、クラビネット、ミニ・モーグ、アープ・ストリングアンサンブル、ベース、ドラムス、パーカッション、ハーモニカ、バリトン・サックス、手拍子
クレイグ・ロス – ギター、スライドギター、タンブリン、手拍子
デヴィッド・バロン – シンセサイザー・プログラミング(on 2.)
ハロルド・トッド – サックス(on 4. 5. 7. 10. 11. 12)
ルドヴィック・ルイ – トランペット(on 4. 5. 7. 11. 12.)
デヴィッド・ボウリン – ヴァイオリン(on 8.)
ケンジ・バンチ – ヴィオラ(on 8.)
ダレット・アドキンス – チェロ(on 8.)
タワサ・アギー – バッキング・ボーカル(on 2. 4. 5. 6. 7. 10. 11. 12.)
ジェイムズ・ウィリアムズ – バッキング・ボーカル(on 4. 5. 6. 7. 10. 11. 12.)
シンディ・ミゼル – バッキング・ボーカル(on 4. 5. 6. 7. 10. 11. 12.)
本作は、クラヴィッツ自身が設立したインディーズ・レーベル”ロキシー・レコード”からの第1弾アルバムとなる。殆どの曲で作詞はクラヴィッツ、作曲はギタリスト、クレイグ・ロスとクラヴィッツの共作。ラストの「ウー・ベイビー・ベイビー」のみカヴァーでオリジナルはスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズである。
レコーディングは自宅兼スタジオがあるバハマで、いつものようにホーン以外のほぼ全ての楽器をクラヴィッツ自身が演奏。ギター・パートは全曲でクレイグ・ロスが参加、クラヴィッツ自身も6曲で弾いている。過度に練り上げることやコンセプトなどは一切設けず、自然体でインスピレーションの赴くまま、一気に録音したという。なお、タイトル曲のギター・ソロはクレイグ・ロスが弾いている。
プロデュースはクラヴィッツ自身、ミキシングにはボブ・クリアマウンテンを起用した。
SIDE-A
1.Sex
フックの効いたカッティングが主体の、ポップでインパクトのあるファンクがオープニング・チューン。弾きすぎないシンプルなベース・ラインが男らしい。装飾音は入るものの、基本ギター+ベース+ドラムのみのバッキングで、随分と削ぎ落とした潔い印象を与える。レニーのヴォーカルは相変わらずパワフル。歌い出しから全開で、とても若々しい。
2.The Chamber
シングル・カットされた、キャッチーなメロディが耳に残るナンバー。この曲はミュージック・ビデオもカッコよく仕上がっている。レニーのMVは、大体がドラマ仕立てで、本人が出演してるモノが多いがこの曲もそうで、美しいモデル(?)さんとのエロティックな絡みがなかなか見応えのあるクライム・サスペンス風の仕上がりになっている。レニーは声も凄いが胸筋や腹筋も凄い。
3.Dirty White Boots
まさにレニー節といった感じの、ゆったりとしたテンポの王道のロッキン・チューン。この曲ではギターが2トラックでレニーとクレイグがそれぞれ担当しているのだろう。ヴォーカルもサビはダブル・トラックで厚みのある演奏。レニーの渾身の歌声が堪能出来る。
SIDE-B
1.New York City
計算された2本のギターの絡みが心地良い16ビート。レニーの生まれ育った街、ニューヨーク讃歌といったところだろうか。間奏に入るサックス(ハロルド・トッド)が良く、実にハマっている。余談だが本作は、レニーのアルバムの中ではサックスの比率が割に高い方だと思う。
2.The Pleasure and the Pain
Aメロのバッキングはギター×1+ベース+ドラムでいたってシンプル、このギターはレニー本人ではないだろうか。サビに入るとホーンが使われソウル・ミュージックな雰囲気。あまりアレンジを細かくしないで、ラフに演奏している感じがこの曲を一層暖かみのある作品にしている。
3.Strut
アメリカン・ウーマン風の、循環コードの非常にシンプルなタイトル・ソング。特に大きく盛り上がるところがある曲ではないが、それでも気持ち良く聴かせる力量は流石である。ギター・ソロはクレイグが担当しているようだ。
SIDE-C
1.Frankenstein
ミディアムスローのファンク・チューン。ここではパーカッションが入り、ややシャープな奥行きを感じるサウンドに仕上げてある。どんな楽器もこなす達者な人とは認識しているが、ここではハープを披露。ブルージーでそつのないプレーを披露している。
2.She’s a Beast
スローなバラード、12弦ギターを使用しているようで、それがとても美しく響く。ストリングスも導入され、柔らかな音が広がりのあるサウンドに仕上がっている。
3.I’m a Believer
難しいことは一切抜きにした感のある、パワー・ポップ風なロックンロール。こういう曲はこれまでのレニーにはあまりなかったのではなかろうか。ラモーンズ・ライクなチープさがカッコいい。
SIDE-D
1.Happy Birthday
タイトル通りハッピネス、ピースフル感満載のレニー流R&B。レニーのヴォーカルに絡む女性コーラスと泣きのサックスが良い感じだ。ストレートに弾いたバッキングのピアノも良い。
2.I Never Want to Let You Down
ブルージーなギターが印象的なスロー・ナンバー。サビの部分、レニーはとにかく気持ち良さそうに歌っている。ソロはサックスが取っていて、それが実にフィットしている。グルーヴィーで、聴いていて気持ちの良い曲。
3.Ooo Baby Baby
クロージング・ナンバーは大きくホーンがフューチャーされたスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズのメロディアスなソウル。心の思うままに、手グセの延長といった風に紡がれるギター、思い入れたっぷりにギミック無しで歌いあげるレニーのヴォーカルに好感が持てる。
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ他)絵画に興味ある方はご覧ください。