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THE BLACK CROWES/ SHAKE YOUR MONEY MAKER(ブラック・クロウズ/シェイク・ユア・マニー・メイカー) Vinyl Diary

『SHAKE YOUR MONEY MAKER』SHAKE YOUR MONEY MAKER』は1990年にリリースされたTHE BLACK CROWES1st、デビュー・アルバである。

ブラック・クロウズはクリス・ロビンソン(ヴォーカル)とリッチ・ロビンソン(ギター)の兄弟を中心に結成されたアメリカのロック・バンド。ジェフ・シーズ(ギター)、ジョニー・コルト(ベース)スティーヴ・ゴーマン(ドラムス)が加わり、1990年にアルバム『シェイク・ユア・マネー・メイカー』でデビュー、全米4位を記録。度重なるメンバー・チェンジ、解散、再結成を重ねながら、現在も活動を続けている。ブルース、サザン・ロックを基調にした、今ではアメリカを代表する骨太なサウンドを聴かせるバンドである。

Discography

1990年『Shake Your Money Maker』

1992年 「The Southern Harmony And Musical Companion』

1994年 『Amorica』

1996年『Three Snakes & One Charm』

1999年『By Your Side』

2000年『Greatest Hits 1990-1999: Tribute Work in Progress』ベスト盤

2001年『Lions』

2008年『Warpaint』

2009年『Before the Frost…』

2009年「Until The Freeze』

2010年『Croweology』

2022年『1972 (EP)』

『SHAKE YOUR MONEY MAKER』Track List

  • A1.  Twice As Hard 、2.  Jealous Again 、3.  Sister Luck 、4.  Could I’ve Been So Blind 、5.  Seeing Things
  • B1.  Hard To Handle 、2.  Thick N’ Thin 、3.  She Talks To Angels 、4.  Struttin’ Blues 、5.  Stare It Cold

Personnel

The Black Crowes : Chris Robinson – vocals、Rich Robinson – guitar、Jeff Cease – guitar、Johnny Colt – bass guitar、Steve Gorman – drums、Additional personnel : Laura Creamer – background vocals、Chuck Leavell – piano, organ、Brendan O’Brien – “a potpourri of instruments”

ブラック・クロウズは僕がデビューからの変遷をずっと追ってきた数少ないバンドの1つだ。振り返ると、このデビュー・アルバム『シェイク・ユア・マニー・メイカー』がリリースされた’90年前後は、ガンズンローゼズとグランジ・ロックが結構な影響力を持っていた頃だったように思う。

ガンズは悪くはなかった。楽曲もルックスも良かったし、イジー・ストラドリンという渋いギタリストを擁していた。ただ、若干泥臭さが物足りなかったのと、友人がその音源を殆ど揃えていたため、友達の家で聴くことで充分な気がして、CDを購入するほどではなかった。

グランジは全てのバンドがというわけではないが、何かしっくり来ないものを割と早くから感じて、結果のめりこむほどには聴き込んでいない。そんなタイミングでブラック・クロウズは登場した。そして僕はこのバンドに飛び付いたのだ。

飛び付いたその1番の理由は B1.  Hard To Handle を取り上げていたことだ。この曲はオーティス・レディングの代表曲の1つであるが、当時僕はオーティスに非常に心酔していて、「この曲をチョイスするバンドが悪かろうはずがない」という確信めいた閃きを得、ブラック・クロウズに接近したというわけである。

その判断は正にドンピシャで、フェイセズ、ストーンズを彷彿とさせるルーツ、アメリカ南部を深く掘り下げるような乾いた泥臭いブルース・ロックだった。デビュー・アルバムにしてこの落ち着き、重心の低い、タメの聴いたプレー、こりゃ只者じゃないと思ったものだ。

ヴォーカルのクリス・ロビンソンの枯れた乾いた声はロッド・スチュアートにちょっと似ているというのが最初の印象。弟のギタリスト、リッチ・ロビンソンは、裏拍から入るリフや、シンコペーションの多用で一筋縄でいかない達者なリズム・ギターを聴かせるプレーヤーである。もう1人、安定したギターを聴かせるジェフ・シーズ、彼はこのアルバムの後脱退した。名前がカッコいいベーシスト、ジョニー・コルトは名前の通り、クールな雰囲気を漂わせている。そして非常にエキサイティングなドラムのスティーブ・ゴーマン、の5人によって10(ラストに隠しトラックが1)が展開される。

ゲスト・プレーヤーとしてオールマン・ブラザーズ・バンドを経てストーンズ、ジャガーやリチャーズ、ウッドのソロまでバック・アップしてきたチャック・リーヴェルがピアノ、オルガンで参加、素晴らしい演奏を聴かせてくれる。

SideA1.  Twice As Hard

重厚なギターに誘われるオープニング・ナンバー。リズムが後ろでタメの効いたリズム隊、豪快なスライド・ギター、クリス・ロビンソンのシャウト、いかにもUSバンドらしい大きなうねりのロックンロール。こういうミッド・チューンを冒頭に持ってくる度胸は凄いと思う。

2.  Jealous Again

心地良い横ノリのロックンロール、ストーンズっぽいナンバーだけど、ラフさやルーズさは無く実にタイトな演奏。ザクザクとしたギター・リフが最高だ。曲に緩急があるのと、ブリッジがあることで広がりのある演奏を展開している。

3.  Sister Luck

スローなバラード。イントロの2本のギターの絡み、隙間を埋めるように弾かれるピアノとオルガンもブルージーで、バンドのサウンドを盛り立てている。説得力のあるクリス・ロビンソンのヴォーカルも実にソウルフルだ。

4.  Could I’ve Been So Blind

ガッツリ腰にくるロックンロール。小技を効かしつつも豪快なリッチ・ロビンソンのギター・ワークが聴きもの。スティーブ・ゴーマンのタイトなドラム、ジョニー・コルトの地を這うようなベースも良い。

5.  Seeing Things

比較的前に出たオルガン、ピアノ、分厚い女性コーラスが加わり、ゴスペルぽさも感じるバラード、ブラック・クロウズ流のR&B。サビ部分のクリス・ロビンソンの渾身のシャウトに思わず胸が熱くなる。

SideB1.  Hard To Handle

これはもうカッコいいの一言に尽きる1曲。オーティスのミディアム・チューン・ナンバーをバンドはもう少しアップ・テンポなファンク・ロッキン・チューンに仕上げている。オリジナルはホーン・セクションが華やかだが、こちらも負けていないくらいにハードなギター・サウンドを作り上げている。

2.  Thick N’ Thin

テンポの速い、アッパーなシャッフルのロック・ナンバー。コルトのイキなウォーキング・ベースと、容赦のないリッチとジェフ・シーズの豪放なギターの、絶妙な対比の演奏が圧巻だ。

3.  She Talks To Angels

ブラック・クロウズの真骨頂ともいえるアコースティックなタッチのバラード。演奏の抑揚とクリスの歌唱が文句なしの素晴らしさ。バンドが一丸となって感動的なシーンを作り上げている。

4.  Struttin’ Blues

ハードな横ノリのロッキン・チューン。この曲でもバンドはシャープでタイトだ。ブリッジ後の熱のこもったギター・ソロには聴いているこちらも思わず力が入ってしまう。

5.  Stare It Cold

スライド・ギターを大きくフューチャーしたアルバムラストのナンバー。この曲でのチャック・リーヴェルの鍵盤もエモーショナルで素晴らしい。後半、倍テンになってのラストのバンドのキレ具合、早口のクリスのヴォーカルも筆舌に尽くせないかっこよさである。

ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。  またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ他)絵画に興味ある方はご覧ください。

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