CRIME/SAN FRANCISCO’S STILL DOOMED(クライム/サンフランシスコ・スティル・ドゥームド) Vinyl Diary
『SAN FRANCISCO’S STILL DOOMED』クライムは、カリフォルニア州サンフランシスコ出身の、現在でも一部ではカルト的な人気を誇る、アメリカのパンクバンドである。
『SAN FRANCISCO’S STILL DOOMED』
Track List
A1.Frustration 2.Crime Wave 3.I Knew This Nurse 4.San Francisco’s Doomed 5.Rock ‘n’ Roll Enemy No. 1 6.Piss On Your Dog 7.Feel The Beat 8.I Stupid Anyway 9.Twisted 10.Murder By Guitar 11.Instrumental Instrumental 12.Rockabilly Drugstore
B1.Flyeater 2.Dillinger’s Brain 3. Flipout 4.Emergency Music Ward 5.Monkey On Your Back 6.Yakuza 7.Rockin’ Weird 8.Samurai 9.Hot Wire My Heart (Alt. Take) 10.Baby, You’re So Repulsive (Alt. Take)
レコーディングとリハーサルテープのコレクションであるSanFrancisco’s Doomedは、1991年にイギリスのSolar Lodgeからバンドメンバーの承認を得て、アナログ盤とCDでリリースされた。(実際にレコーディングされたのは1978〜1979年)このアルバムは、2004年にスワミレコードによってSan Francisco’s Still Doomedとして再リリースされた。今回紹介している盤はこれで、全22曲の快作である。アルバムの中身を紹介すると、
Side Aノイジーでローファイなロックンロール、A-1、「Frustration 」。ひしゃげたギターとブリブリのベースでグイグイくる2.Crime Wave 。 ルーズな横ノリで聴かせる、A-3、「I Knew This Nurse」。シンプルで痛快な表題曲、リズムの乱れもお構いなしのA-4、「San Francisco’s Doomed」。 剃刀のようなギターがイカした、5.Rock ‘n’ Roll Enemy。イギー・ポップのアイ・ワナ・ビー・ユア・ドッグを髣髴ささせる、A-6、「Piss On Your Dog 」。高速パンク・チューンの短い曲、7.Feel The Beat。歪んだシンプルなリフがカッコ良い、8.I Stupid Anyway。キャッチーなパンク・ロックの9.Twisted。カオスのイントロからスリリングな展開の、10.Murder By Guitar。シンプルなインスト・ナンバー、タイトルもそのまんまな、A11、「Instrumental Instrumental」。意外とハマっているポップでキュートなロカビリー・ナンバー、A-12「Rockabilly Drugstore」(ジャケット裏の曲順表記は一部誤りがある)。
Side Bマイナー調でストゥージズっぽい、コード進行がカッコ良いB-1、「Flyeater」。 これぞローファイ+ガレージな、2.Dillinger’s Brain。独特のうねりとキャッチーなノリの、B-3、「Flipout」。おどろおどろした、ヘヴィーでインダストリアルな、B-4、「Emergency Music Ward 」。ブルージーなコードを使った横ノリの5.Monkey On Your Back。タイトルが笑える、B-6、「Yakuza 」とB-8、「Samurai 」。ガレージ・ミーツ・ロカビリー、7.Rockin’ Weird。バンドをカルト的存在にした、B-9、「Hot Wire My Heart」。轟音のフィードバック・ギターが爽快な、10.Baby, You’re So Repulsive (Alt. Take) 各曲3分に満たないシンプルなロックンロールばかりである。
その後も未発表作品のリリースは続いていて2010年1月、クライムの初期の写真とポスターの本、The Band Crime:Punk ’77 Revisited by JamesStarkがLastGaspBooksから出版され、2013年7月には未発表のスタジオレコーディングのコンピレーションアルバム、Murder by Guitar:1976〜1980がKitten Charmerレーベルからリリースされた。
その後、2015年3月、Munster Recordsは、7インチ45RPMシングルレコードを備えたボックスセットCrime-7×7をリリースした。お世辞にも演奏が上手いバンドとは言えないが、そのビジュアルイメージとあいまって、西海岸のパンク勃興に貢献した貴重でカッコいい存在である。
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ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。