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BOB DYLAN/ROUGH AND ROWDY WAYS(ボブ・ディラン/ラフ・アンド・ロウディ・ウェイズ) Vinyl Diary

ROUGH AND ROWDY WAYS『ラフ&ロウディ・ウェイズ』は2020年にリリースされたボブ・ディラン39作目のスタジオ・アルバム。

ROUGH AND ROWDY WAYS

新型コロナウイルスが世界で感染拡大する中の2020年3月27日、「皆さん、どうか安全に、油断せず、神とともにあらんことを。」とのコメントと共に発表した17分近くに及ぶ新曲「最も卑劣な殺人」」(Murder Most Foul)はビルボード・シングル・チャートで初の1位を獲得し、シングル史上で最長時間となる全米1位の曲の記録に輝いた。

アルバム・タイトルとなる『ラフ&ロウディ・ウェイズ』から想起されるのは、1960年にRCAが発表したジミー・ロジャースのアルバム『My Rough And Rowdy Ways』。“カントリーの父“と呼ばれながらも、その枠を大きく飛び越え柔軟性をもって音楽を作り続け、アメリカンポップスの先駆者となったジミー・ロジャース。デビュー前からロジャースの歌をカバーしていたディランは、米国大衆音楽の祖ともなったロジャースへのリスペクトを込めている。

ーTrack Listー

 A-1.  I Contain Multitudes (4:36)、A-2.   False Prophet (6:00)、 A-3.  My Own Version of You (6:41)

B-1.   I’ve Made Up My Mind to Give Myself to You (6:32)B-2.  Black Rider (4:12)、B-3.  Goodbye Jimmy Reed (4:13)

C-1.  Mother of Muses (4:29)、C-2.  Crossing the Rubicon (7:22)、C-3.  Key West (Philosopher Pirate) (9:34)

D-1.   Murder Most Foul (16:54)

 Side A

数本のギターをバックに配して訥々とディランが歌うA-1.  I Contain Multitudes はスティール・ギターが優しく響くオープニング・ナンバー。A-2.   False Prophet はタメの効いたスロー・ブルースで、メロディも派手さも控えめなのだが、聴き入ってしまう、いぶし銀の魅力を放っている。続くA-3.  My Own Version of You もスローな曲。年季の入ったザラザラのディランの声だが、比較的軽やかに歌っているように聴こえる。 懐かしさを感じる曲調ではあるのだけれども、実際にこの曲に似た曲などありはしないだろう。

SIDE B

トレモロの効いたギターとバック・コーラスが郷愁を誘うスロー・ナンバー、B-1.   I’ve Made Up My Mind to Give Myself to You は、ディランのヴォーカルが慈味深く響く。マイナー調の曲のB-2.  Black Rider は、リズムを刻んでいる楽器がなく、完全にディランの発声をリズム代わりにしてそこに寄せきった、静かなのに凄みのある演奏である。B-3.  Goodbye Jimmy Reed はタイトル通り、ジミー・リードに贈る歌だろうか、アップなムードのブルースである。演奏のキレも素晴らしい。

SIDE C

C-1.  Mother of Muses とは、なんて素敵なタイトルだろう。ここでもディランはシンプルな演奏をバックに慈しむように歌っていて、全てを包み込むようだ。C-2.  Crossing the Rubicon はブルース・チューン。音だけ聴くとチェスの音源のようだが、紛れもなくディランだけが鳴らせるブルースである。アコーディオンの優しい音が響くC-3.  Key West (Philosopher Pirate) 、時おりヤング・ディランに戻ったかのような錯覚を起こす瞬間がある。この曲の声も、この上なく優しい。

SIDE D

アルバム・ラスト、D-1.   Murder Most Foul (最も卑劣な殺人)は、ケネディ暗殺に始まり、主に60年代に起きた数々の出来事や時代を彩ったミュージシャン、曲名を訥々とディランのヴォーカルでコラージュ風につないでゆく17分に及ぶ大曲。ピアノ、バイオリン、弓弾きのアップライト・ベース、効果的に入るパーカッション。ロックとかポップスとかいう枠が意味を成さない、完全に次元を超えた1曲である。

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ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。  またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。

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