VAN MORRISON/COMMON ONE(ヴァン・モリソン/コモン・ワン) Vinyl Diary
『Common One』1980年にリリースされた北アイルランドのシンガーソングライターVan Morrisonによる12枚目のスタジオアルバムである
1964年にゼムを結成し、デビュー。「グロリア」(パティ・スミスのカバーでも有名)などのヒットを飛ばし、当時イギリスで隆盛したブルー・アイド・ソウルの歌手として人気を博す。
1966年、アメリカ・ツアー終了後、モリソンはゼムを脱退し、一旦は帰国するもののバート・バーンズの誘いに応じてアメリカに渡りソロに転向する。1968年『Astral Weeks』、1970年『Moondance 』など、傑作を次々と発表。現在でも優れた作品を発表し続けている。インナー・スリーブが歌詞カードになっている↑
TRACK LIST
A-1. HAUNTS OF ANCIENT PEACE、A-2. SUMMERTIME IN ENGLAND、A-3. SATISFIED
B-1. WILD HONEY、B-2. SPIRIT、B-3. WHEN HEART IS OPEN
参加ミュージシャン
VAN MORRISON – ALL SONGS COMPOSED & PERFORMED、PETER VAN HOOKE – DRUMS、DAVID HAYES – BASS、JOHN ALLAIR – KEYBOARDS、HERBIE ARMSTRONG – ACOUSTIC & ELECTRIC RHYTHM GUITAR、MICK COX – LEAD GUITAR、MARK ISHAM – TRUMPET & FLUEGELHORN、PEE WEE ELLIS – SAX & FLUTE
アルバムは、フランスのリビエラにあるニース近くのスーパーベアスタジオで9日間にわたって録音された。この作品は、コマーシャルな要素を排した宗教色の濃い作品で、ポップの主流外の音楽ということで、批評家にはあまり受け入れられなかった。15分を越す楽曲2曲を含む、大作6曲という構成。2部構成がとられている”SUMMERTIME IN ENGLAND”では、ワーズワース、ブレイク、エリオットなど詩人の名が綴られていく。また、オープニング・トラックの“HOUNTS OF ANCIENT PEACE”は、アルフレッドオースティン(桂冠詩人1896–1912)の(1902)の本にちなんで名付けられている。
Side A
オープニングを飾るA-1. HAUNTS OF ANCIENT PEACEは、スロー・ナンバー。ゴスペルぽさも感じさせるスピリチュアル・ソウル。全ての楽器がモリソンの声に寄り添うように演奏されている。続くA-2. SUMMERTIME IN ENGLANDは、最初は軽快なファンク・チューン。ホーン、ストリングス、リズム隊とモリソンの声が見事に溶け合っている。途中一旦スロー・ダウンし、しっとりと聴かせてから、またテンポ・アップしていく、といった凝った作り。指を鳴らしながら歌うあたりは心から歌うことを楽しんでいることが感じられる。最後はストリングスの音色で静かなエンディングを迎える。A-3. SATISFIEDはミディアム・テンポのR&B。この曲も“サティスファイド“の掛け合いがゴスペルっぽさを感じる、ファンキーなナンバー。
Side B
ストリングス・アレンジも美しいB-1. WILD HONEYはモリソンが情感たっぷりに歌う壮大なソウル・ミュージック。同じくB-2. SPIRIT、もモリソン流ソウル・ミュージック。モリソンの瞬発力のある歌唱と、アイシャムのミュート・トランペットのソロが素晴らしい。B-3. WHEN HEART IS OPEN は、おそらくインプロビゼーションであろう、(ほとんどヒーリング・ミュージックのような瞬間もある)崇高な気高さ漂う、ポール・ウィンターらにも通じそうなスピリチュアル・チューン。