SERGE GAINSBOURG/DU JAZZ DANS LE RAVIN(セルジュ・ゲンスブール/ジャズと自動車事故) Vinyl Diary
『DU JAZZ DANS LE RAVIN』『Du Jazz Dans Le Ravin』は1997年に発売された初期ゲンスブールの編集盤である
セルジュ・ゲンスブール(1928年4月2日〜1991年3月2日)は、フランスの作曲家、作詞家、歌手、映画監督、俳優。ギンスブルグ家はロシア革命の混乱から逃れてきた移民である。パリで産まれたリュシヤン(ゲンスブールの本名)は父(ピアニスト、美術家)の影響で幼少からクラシック音楽に親しみ、絵画にも興味を持っていた。1947年ごろ、小遣い稼ぎにギターを弾きはじめる。
1948年召集を経て1949年頃からはギターで生計を担うようになり、絵画からは遠ざかってゆく。この期間、貧困に苦しんでさまざまな仕事をする合間にはじめて作曲をする。1954年、パリの有名なキャバレー「ミロール・ラルスイユ」でピアニストとして働きはじめる。そこでボリス・ヴィアンの歌唱を聞いて感銘を受け、「これなら自分にもできる」と考える。(ヴィアンの歌唱を聞き、その反骨精神に感銘を受けたことが後の作風に影響したという。また、ヴィアンもセルジュの才能を絶賛していた)それ以来、セルジュ・ゲンスブールと名乗るようになる。デビュー前から、ほかの歌手に提供する形で作曲はしていた。
1958年、歌手としてメジャーデビューする。デビュー作「リラの門の切符切り」(Le Poinçonneur des Lilas)は、地下鉄のポルト・デ・リラ駅で切符を切り続ける改札係を歌ったものである。60年以降のイエイエ・ブームに乗り、女性シンガーに数多くの楽曲の提供曲がある。
ーオリジナル・スタジオ・アルバムー
1958年 Du chant à la une !…
1959年 N° 2
1961年 L’Étonnant Serge Gainsbourg
1962年 Serge Gainsbourg N° 4
1963年 Gainsbourg Confidentiel
1964年 Gainsbourg Percussions
『Du Jazz Dans Le Ravin』TRACK LIST
A-1.ANGOISSE A-2.DU JAZZ DANS LE RAVIN A-3.REQUIEM POUR UN TWISTEUR A-4.CHEZ LES YE YE A-5.BLACK MARCH A-6.BLACK TROMBONE A-7.CE MORTEL ENNUI A-8.GENERIQUE A-9.COCO AND CO A-
B-1INTOXICATED MAN B-2.ELAEUDANLA TEITEIA B-3.LE TALKIE-WALKIE B-4.SOME SMALL CHANCE B-5.QUAND TU T’Y METS B-6.LA FILLE AU RASOIR B-7.QUAND MON B-8.FUGUE B-9.MACHINS CHOSES B-10.NEGATIVE BLUES B-11.WAKE ME AT FIVE
邦題が『ジャズと自動車事故』という強烈なタイトル。上記6枚のアルバムから選曲された編集盤である。一応、ジャズのフォーマットではあるけれども、曲目リストの曲数からも分かるように1曲1曲は非常に短い。その上、ジャズ特有のインプロビゼーションはかなり少なく、コンパクトにまとまった歌モノのアルバムといった印象である。
Side A
A-1.ANGOISSE は、哀愁漂うトランペットが印象的なインスト・ナンバー。 A-2.DU JAZZ DANS LE RAVIN はジャズ・ブルース。歌というより語りに近いゲンスブールの声。 A-3.REQUIEM POUR UN TWISTEUR はオルガンがコード楽器として使われていて、これがブルージーでモッズっぽい。 A-4.CHEZ LES YE YE はシンプルなギターとベースをバックに歌われる、おそらくこの時期流行の3コードのイエ-イエモノ。 A-5.BLACK MARCH はホーンを主体としたマイナーのインスト・スロー・ナンバー。 A-6.BLACK TROMBONE はタイトル通りトロンボーンとヴォーカルの掛け合い。ジャズというよりシャンソン色が濃い。 A-7.CE MORTEL ENNUI ヴィブラフォンがフューチャーされた小粋なナンバー。 A-8.GENERIQUE アラン・ゴラゲールによるホーン・アレンジが秀逸。A-9.COCO AND CO はアクの強いゲンスブールのヴォーカルが楽しめる。
Side B
フィルム・ノワールに使えそうなカッコ良さのB-1.INTOXICATED MAN 。キャッチーなメロディが耳にのこるB-2.ELAEUDANLA TEITEIA 。B-3.LE TALKIE-WALKIEはギター・トリオをバックにしっとり歌い上げている。オーケストラ・アレンジとヴィブラフォンが豪華な B-4.SOME SMALL CHANCE。エルヴィスの”フィーバー”のように半音ずつ上がっていく B-5.QUAND TU T’Y METS は派手なホーンが楽しめる。 ギターが前面にフューチャーされたB-6.LA FILLE AU RASOIR。 B-7.QUAND MONはゲンスブールの抑えたヴォーカルと、賑やかなドラム+トランペット+パーカッションが対照的で面白く、曲もカッコ良い。B-8.FUGUE は2ホーンでハモる、ハイテンポなインスト・ジャズ。オルガンとサックスの絡みが美しく、気怠いゲンスブールの声が魅力のB-9.MACHINS CHOSES 。B-10.NEGATIVE BLUES は、いわゆるブルースではないが、ウォーキング・ベースが心地良いミディアム・ナンバー。クロージング・ナンバー B-11.WAKE ME AT FIVEはホーン・アレンジも秀逸ながら、ときおり入ってくるリバーブのかかったギターが、現代のクラブ・ジャズを先取りしたようなカッコ良さである。
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。