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THE BUTTERFIELD BLUES BAND/EAST WEST(バタフィールド・ブルース・バンド/イースト・ウェスト) Vinyl Diary

EAST WEST』1966年発売の2ndアルバム。前年リリースの1stを経て、ブルースからジャズにもアプローチした傑作。

Paul Butterfield ポール・バターフィールド :1942年イリノイ州シカゴ生まれ。少年期にフルートを専門的に学んだ後、大学生時代にはブルース・クラブを訪れるようになり、マディ・ウォーターズやリトル・ウォルターなどの演奏を間近に見て、彼らから直にブルースを学という音楽的にはかなり恵まれた環境に育った。
61年、シカゴの大学在学中にタルサ生え抜きのギタリスト、エルビン・ビショップと出逢い意気投合。2人は“The Buttercups”というバンドを結成し演奏活動を始める。1965年23歳の時、“The Paul Butterfield Blues Band”ポール・バターフィールド・ブルース・バンドを結成。当初のメンバーは、ポール(Vo,Harp)、マイク(Read Guit.)、エルヴィン(Rhy.Guit.)、マーク・ナフタリン(Organ)、ジェローム・アーノルド(Bass)、サム・レイ(Drams)の6人。シカゴでも有名になりつつあったバンドは、ロードアイランドで行われたニューポート・フォーク・フェスティバルへの出演を依頼され、1965年7月、そのステージに立ったものの、多くのフォーク・ファンは彼らのエレクトリック・ブルースに対してブーイングを発した。しかし、この時彼らの演奏を聴いて大きなショックを受けたBOB DYLAN(ボブ・ディラン)は、すぐにポールに声をかけ自分のステージのバックで演奏してくれるよう依頼する。(当時フォーク界でナンバー1の地位にいたボブ・ディランはこのフェスの大トリで、エレキ・ギターを携えてステージへ上がり、“プラグ・イン”、「ライク・ア・ローリング・ストーン」、「マギーズ・ファーム」などを披露。ステージから去るとき、彼のフォークソングを期待していた観客からはブーイングの嵐だった)結果的にこの出来事がバンドの知名度を上げることになった。エレクトラ・レコードと契約、1966年、「Born In Chicago」でレコード・デビュー。翌1966年「EAST-WEST」をリリース(ドラムス担当はサム・レイからビリー・ダヴェンポートに代わる) その後、レイ、67年にはブルームフィールドやアーノルドが相次いで脱退。The Paul Butterfield Blues Band黄金のラインナップでのアルバムはこの2作品のみである。

THE BUTTERFIELD BLUES BAND DISCOGRAPHY

1965年『The Paul Butterfield Blues Band 』

1966年『East-West』

1967年 The Resurrection of Pigboy Crabshaw

1968年 In My Own Dream

1969年 Keep On Moving

1971年 Sometimes I Just Feel Like Smilin’

EAST WEST

Track List

A1.Walkin’ Blues 2、.Get Out Of My Life, Woman 、3.I Got A Mind To Give Up Living、 4.All These Blues 、5.Work Song

B1.Mary, Mary 、2.Two Trains Running 、3.Never Say No 、4.East-West

Personnel

Paul Butterfield(ポール・バターフィールド)/vo,hp、Mike Bloomfield(マイク・ブルームフィールド)/gt、Elvin Bishop(エルヴィン・ビショップ)/gt、Jerome Arnold(ジェローム・アーノルド)/ba、Mark Naftalin(マーク・ナフタリン)/or、Sam Lay(サム・レイ)/ds,vo

怒涛のブルース・チューンを集めた1stアルバムが動なら、この2ndが静、といったイメージになるかもしれない。押すばかりではなく、引いてみた感のある作品で、1stと対になっているかのようだ。

Side A

A1.Walkin’ Bluesはロバート・ジョンソンの曲を横ノリに重たく仕上げたオープニング・ナンバー。途中からリズムがハネた感じになるのも飽きさせない。貫禄のポールのハープがよく歌っている。2、.Get Out Of My Life, Woman はアラン・トゥーサン作でソロモン・バークが歌っていたミディアム・ナンバー。ツイン・ボーカルと大きくフィーチャーされたピアノ、また達者なピアノ・ソロも良い。全体のタメ、キメのメリハリ!3.I Got A Mind To Give Up Livingはマイナー・キーのトラッド・ブルース。ここでの演奏の黒っぽさ、表現力は圧倒的。イギリスのビート・バンドが目指した黒っぽさとは、また一味違う黒さがある。 4.All These Blues はアップ・テンポなトラッドブルース。なんてことのない曲のようだけど、自然と身体が揺れてくるようなグルーブを生み出せるのは流石だ。5.Work Songはジャズミュージシャン、ナット・アダレイのカバー。耳馴染みのある、ハネるリズムのマイナー・ブルース。テーマの後、順番にソロを取っていくジャズのスタイルでプレイしていて、メンバーそれぞれが、かなり色んなスケールやシンコペーションを用いてトライしており聞き飽きない。ソロだけでなく、このグルーブを生み出している個々のメンバーの力量も勿論素晴らしい。

Side B

B1.Mary, Maryはマイケル・ネスミスの曲をアグレッシブなブルースに仕上げている。シンプルなギター・リフが耳に残る。ポール入魂のハープが良い。2.Two Trains Running は大御所マディ・ウォーターズ作のシャッフル。アウト気味に歌うポールのボーカルがカッコいい。粘りつくようなクセのあるマイクのギターもグー3.Never Say Noはアンニュイな雰囲気のトラッド・ブルース。アルバム中唯一、エルビン・ビショップがボーカルの曲。技巧派とは言えないが気怠さ、味があるボーカルだし、バックの演奏もピカイチと思う。4.East-Westはアルバム最後を飾るジャムっぽいインスト・ナンバー。エルビン・ビショップ〜ポール・バタフィールド〜マイク・ブルームフィールドとソロが続く。マイクはオリエンタルなスケールを多用している。

ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。  またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。

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