STEVIE RAY VAUGHAN/LIVE ALIVE(スティービー・レイ・ヴォーン/ライブ・アライブ) Vinyl Diary
『LIVE ALIVE』1986年発売、早逝したギタリストの怒涛のライブ・アルバム。
スティービー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブルは、スティービー・レイ・ヴォーン:ギター:ヴォーカル、トミー・シャノン:ベース、クリス・レイトン:ドラムスのトリオ編成。
1981年にこのメンバーに定着。1982年、アルバム未発売にも関わらずモントルー・ジャズ・フェスティバルに出演。1983年デビット・ボウイのアルバム“Let’s Dance“にスティービーが参加。同年1stアルバム“Texas Flood”で衝撃的なデビュー。1984年2ndアルバム“Couldn’t Stand the Weather”発表。1985年3rdアルバム“Soul to Soul”発表。このアルバムからキーボーディストのリース・ワイナンスが加入し4人体制になる。またこの年、最初で最後となる来日公演が実現している。そして1986年に本作が発売される。(僕が初めて購入したのは3rdアルバム、そこから1st〜2ndを聴いて、このライブ・アライブに辿り着いた)1989年4th”In Step”はグラミー賞を受賞。1990年、ヘリコプター事故により35歳という若さで亡くなる。
『LIVE ALIVE』
Track List
A1.Say What! 、2.Ain’t Gone ‘N’ Give Up On Love、 3.Pride And Joy 、4.Mary Had A Little Lamb
B1. Superstition 、2.I’m Leaving You (Commit A Crime) 、3.Cold Shot 4.Willie The Wimp
C1.Look At Little Sister、 2.Texas Flood 、3.Voodoo Chile (Slight Return)
D1.Love Struck Baby 、2.Change It 、3.Life Without You
今や伝説のギタリストであり、逸話も数多い。僕も彼に関する書籍が出る度に購入し読み漁ったものです。彼の魅力はなんといってもそのズ太い音色の華麗なギタープレイなのだけど、僕の記憶が正しければ、1弦が0.13のヘビーゲージ(かわりにチューニングは全弦半音下げ)。使用ギター、ストラトのトレモロユニットは特殊なセッティングによりスプリングがギッチギチで、ベンドするのに相当な力を要する固さ。ティアドロップ型のピックの尖っていない、丸い方でピッキングする。
チョーキングする時の形相。頭の上や、背中にギターを回してのトリッキーなプレイ。あのエリック・クラプトンが「僕が幼い頃に思い描いたギタリストそのもの」といった発言などなど、今となっては語り草の話が数限りなくある人である。尚、本アルバムでは上記4人のメンバーに加えてスティービーの実兄ジミー・ヴォーンが3曲、ギターで参加している。
Side A
1「Say What」3rdアルバム『Soul to Soul』のノリノリのロッキン・インスト・オープニング・ナンバー。変則的なワウ・ギターの曲なのだけど、これはワウ・ペダル2台を繋げて、同時に踏み込むという荒技でプレイしている。リースの鍵盤もスティービーに負けず劣らずエモーショナルで素晴らしい。2「Ain’t Gone ‘N’ Give Up On Love」3rdアルバム『Soul to Soul』から。スティービー作のスロー・ブルース。ギターの音のツヤがなんともいえない魅力。3「Pride And Joy」1stアルバム『Texas Flood』からスティービー作のノリノリのシャッフル。トリオの演奏とはまた違って、4人での演奏もいい。ソロ前半はリースのピアノ、その後スティービー。4「Mary Had A Little Lamb」1stアルバム『Texas Flood』収録、バディ・ガイ作。バディ・ガイはコブラ〜チェス・レコード出身のギタリスト/ヴォーカリスト、スティービーのアイドルの1人。スティービーも彼には随分可愛がられていたようで、共演も果たしている。8ビートに16のノリを入れたスティービーのソロがむちゃくちゃカッコいい。
Side B
1「Superstition」スティービー・ワンダー作の名曲でスタジオ・アルバム未収録の貴重なテイク。2「I’m Leaving You (Commit A Crime)」C・Burnett作でこの曲もスタジオ・アルバム未収録。他のライブでも演っているのを見かけない貴重なテイク。1コード、シンプルなリフのナンバーでグイグイとクる。3「Cold Shot」2ndアルバム『Couldn’t Stand the Weather”』刺さるような音のギター・リフで始まるミディアム・チューン。2nd収録のモノも良いが、鍵盤が入ってカラフルになったこの曲もまた違った雰囲気で良い。4「Willie The Wimp」スタジオ・アルバム未収録、本作外、では耳にすることがなく貴重なテイク。実兄ジミーがギターで参加している。
Side C
1「Look At Little Sister」3rdアルバム『Soul to Soul』から。前半の3コーラスのギター・ソロはジミー。スティービーに比べると音が柔らかく控えめで堅実な演奏。2「Texas Flood」1stアルバム『Texas Flood』収録のスロー・ブルース。ギターもヴォーカルも入魂のスティービーの神懸かったプレイが楽しめる。3「Voodoo Chile (Slight Return)」2ndアルバム『Couldn’t Stand the Weather』 収録。スティービーのギター・ヒーローの1人ジミ・ヘンドリクスのカバー。9分を越す熱演でギターの様々なリックが繰り出されて存分に楽しめる。
Side D
1「Love Struck Baby」1stアルバム『Texas Flood』収録のロッキン・チューン。実兄ジミーがギターで参加。ソロは2コーラス担当、その後4コーラスがスティービーのソロ。リースのキーボードも食い込んできて、かなり賑やかなソロになっている。楽しんで演奏しているのが伝わってくる。2「Change It」3rdアルバム『Soul to Soul』から。この曲にもジミーが参加、低音部を弾いている。バッキングもかなり兄に任せている。ソロはスティービーのみの3コーラス。エンディングのソロもスティービー。3「Life Without You」3rdアルバム『Soul to Soul』収録、アルバムラストを飾る感動的なR&B的ソウル・ミュージック。
3rdアルバムから本作にかけて、スティービーは過度のドラッグ、アルコール中毒により入院(たしかこの時、クラプトンは病院を訪ね激励していたはず)100%クリーンになって見事復活。4thアルバム、名作“『In Step』が生まれる。
ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。 またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。