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LOU REED/BERLIN(ルー・リード/ベルリン)

『BERLIN』は1973年発表のルーリード3作目のソロ作。

Lou Reedルー・リード:194232 – 20131027日、ニューヨーク州ブルックリン出身。本名ルイス・アレン・リード (Lewis Allen Reed)。 THE VELVET UNDERGROUND (ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)の時代から前衛性とポップさを兼ね備えた斬新かつ挑戦的な音楽性、陰翳と知性に富みながらも様々なスタイルを持つボーカル、音像を形成する上で欠かせないオリジナリティ溢れる独創的なギター・プレイ、人間の暗部を深く鋭く見つめる独特の詩世界を持つ、20世紀以降における最重要アーティストの一人である。ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(19651970)のボーカリスト兼ギタリスト。

RCA時代:1970年に脱退し、ソロ活動を開始した。19724月、アルバム『Lou Reed/ロックの幻想』でソロ・デビューを果たした。同年11月、盟友・デビッド・ボウイとそのパートナーであるミック・ロンソンと事実上共作した『Transformer』を発表。19737月、閉鎖的な都市における内省的かつ陰鬱な恋愛を映画的な手法で描いたコンセプト・アルバム『Berlin』 発表。リードの思惑から外れたオーヴァープロデュースとも言える1974年リリース『Sally Can’t Dance』は自身最高のヒットを記録した。RCA時代最後の作品である1975年『 Metal Machine Music 1976年『Coney Island Baby 』リリース。

アリスタ時代:1976年、ファンクやフリー・ジャズを導入した『Rock And Roll Heart』1978年バイノーラル・サウンドにトライした『Street Hassle』、1979 The Bells』、1980年、AOR的な『Growing Up in Public』リリース。

RCA復帰:第一作となった1982『The Blue Mask』はラフかつノイジーなロック、ほぼ同一の布陣で更にオーソドックスなロックへ遡行した1983年『Legendary Hearts 』を制作した。その後1984年『New Sensations 』、1986年『Mistrial』ではあえて時流に歩み寄った我流のニュー・ウェイブを展開。1989年、自身のルーツと向き合う形となったアルバム『NewYork』で復調、1990年ジョン・ケイルと共作したアンディ・ウォーホル追悼作『Songs for Dorella 』を発表。以後1990年代前半の断続的なヴェルヴェット・アンダーグラウンド再結成をはさみ、1992年『Magic and Loss』、1996『 Set the Twilight Reeling』1998年ライブ・アルバム 『Perfect Night Live In London』  2000年『Ecstasy』といったアルバムを発表、かつてよりスローなペースながら健在を印象付けた。2003年、エドガー・アラン・ポーの「大鴉」を題材にした『The Raven』をリリース。2011年にはフランク・ヴェーデキントの「ルル二部作」をモチーフとした『Lulu』を発表。2013年死去。享年71歳。2015年、書籍 LOU REED/ワイルドサイドの歩き方(JEREMY REED著)出版。

 

BERLIN

Side 1、ベルリン – “Berlin2、レディ・デイ – “Lady Day3、富豪の息子 – “Men of Good Fortune4、キャロラインのはなし (1) – “Caroline Says I5、暗い感覚 – “How Do You Think It Feels6、オー・ジム – “Oh, Jim4、悲しみの歌 – “Sad Song”

Side 1、キャロラインのはなし (2) – “Caroline Says II2、子供たち – “The Kids3、ベッド – “The Bed”

主人公の男と娼婦キャロラインを軸としたストーリーを持つコンセプトアルバムでプロデュースは、ボブ・エズリン。 手元にある”ルーリード伝/ワイルドサイドの歩き方(ジェレミー・リード著)から、このアルバムの引用を取り上げてみると『ジムとキャロラインを主人公に、抑鬱状態のドメスティックバイオレンスを描く陰鬱極まりない物語』であり『か弱いアメリカ女性キャロラインと非道なドイツ人のヤクの売人ジムについて淡々と語る断片的なストーリー』となる。僕はこのアルバムの歌詞の訳を持っていない。多分歌詞の詳細を知ってしまったら、僕の持つこのアルバムの印象も大きく変わることと思うが、音の持つイメージに限定して、思うままに書いてみようと思う。因みに、本作は母国アメリカよりもイギリスで大きな成功を収め、全英アルバムチャートで初のトップ10入りを果たした。

Side A

1、ベルリン – “Berlin”:退廃貴族の没落を音にしたらこんな音になるのではないか、というイントロ。そこから哀しみを帯びたJAZZスタンダードのような美しい旋律のピアノだけをバックにルーが語るように唄いはじめる。2、レディ・デイ – “Lady Day” :ドラマチックな緩急のあるアレンジ、スティーブ・ウィンウッドと思われるオルガンの音がカッコいい。ヴィブラートを効かせてリードはクールに唄う。ビリー・ホリデイのニックネームがレディ・デイだった気がするが、この曲と関係あるのかないのか。3、富豪の息子 – “Men of Good Fortune” :結構ブイブイ隙間なく弾きまくるベースはジャック・ブルース。弾きまくるとは書いたけどうるさいのではなく、歌に寄り添う感じでとても良い。4、キャロラインのはなし (1) – “Caroline Says I” :アルバム中比較的明るい雰囲気で、昔から好きな曲。後ろで聴こえるアコースティックギターはリード自身だろうか。オーケストラアレンジとバッキングコーラスの影響かポップな仕上がり。リードのボーカルもエネルギッシュに響く。5、暗い感覚 – “How Do You Think It Feels”:イントロ、ドラムが良くうたう。このアルバムではスティーブ・ハンターとディック・ワグナーがギターを担当。この2人はライブ盤ロックンロール・アニマルにも参加していたギタリスト。〜アニマルで、この2人のギターってどうなの?って思ったけど、この曲での2人のギターは実に良い。6、オー・ジム – “Oh, Jim” :このアコギ弾き語りのパートは文句無しにカッコいい!

Side B

1、キャロラインのはなし (2) – “Caroline Says II”:バックに聴こえるピアノはプロデューサーのボブ・エズリン本人なのか?同名のA-4とはイメージがガラリと変わってとても美しい曲。2、子供たち – “The Kids”:ウッドベース?っぽい音はトニー・レヴィン。この人も達者なミュージシャン。泥臭すぎないスライドギターも良い。つぷやきとかささやきのような感じの歌い方のリード。後半に入ってくる子供たちの泣き声はプロデューサーのボブが我が子を泣かせて録音したのだそう。3、ベッド – “The Bed”:この曲のアコースティックギターも好きだな。呟くように唄うリード。この時期、リード本人は身体的にもメンタル的にもあまり良い状態ではなかったらしいのだが、それにしてもこの深淵な表現力は何処から来るのだろうか?この曲の録音後、エズリンとリードは2人して泣いたというエピソードを何かで読んだ。4、悲しみの歌 – “Sad Song”:コード進行はサテライト・オブ・ラブにちょっと似てるか。荘厳なコーラスをバックにリードが唄いながらエンディングを迎える。このアルバムの抑制されたリードのボーカルが好きだ。終始冷静に客観視しながら歌っている感じがする。冒頭に書いたように、内容はかなりヘビーなようだけど、音として聴くと整合性の高い極めて美しいアルバムである。

 

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ロッコ :本ブログVINYL DIARY(ビニール・ダイアリー)主催。レコードのことをビニール(又はヴァイナル)と呼ぶことから、この名称に。これまで少しずつ収集してきたロック、ジャズのアナログ盤、CDのレヴューを細く永く日記のように綴っていきたいと思っている。  またH・ペレットの雅号で画家としての顔も持つ(過去、絵画コンクールにて複数回の入選、受賞歴あり)ここ最近は主にミュージシャンの絵を描いている。(ジョニー・サンダース、キース・リチャーズ、トム・ウェイツ、他)絵画に興味ある方はご覧ください。

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